クイズ王・伊沢拓司が明かす受験やスポーツで使える“集中力”の鍛え方

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クイズ王・伊沢拓司が明かす受験やスポーツで使える“集中力”の鍛え方

東京大学卒のクイズ王・伊沢拓司が、2月15日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。サッカーに必要不可欠な“集中力”を高める頭脳の使い方を考察した。

まずはMCの勝村政信とアナリストの都並敏史がクイズ王・伊沢と3問先取のサッカークイズで対決。サッカーの知識では負けていないはずの勝村と都並だったが1-3で敢え無く敗戦。この対戦の中だけでクイズ王ならではのテクニックを披露した。片渕茜アナウンサーが「1996年、20万人もの観客動員を記録したスタジアムはブラジルの……」と問題を読み上げたタイミングで勝村が早押しするも、伊沢は静観。勝村が「……はマナカナンですが? のひっかけ問題じゃない?」と警戒し予感は当たるも、不正解。実際の問題は「1996年、20万人もの観客動員を記録したスタジアムはブラジルのマナカナンですが、現在、世界一の収容人数を誇るスタジアムはどこでしょう?」というもの。正解は北朝鮮で約15万人収容を誇るルンナド・メーデースタジアムで、伊沢も正解を知らなかったものの、ひっかけの有無や自分が答えられる問題かを見分ける洞察力の鋭さを見せつけた。

そんな“頭脳スポーツ”ともいえるクイズを極めた伊沢が「勝利の方程式」を解説。まず大切になるのが「集中力を維持」すること。クイズ大会は丸1日かけて競い合うことが多く、そこで集中力を保ち続けるために実践しているのが「こまめにボーっとすること」だという。伊沢は東大入試の際にも、1科目100分の試験時間の中で、30分程集中したら2分間の何もしない時間を設定。「集中が切れそうになったらいっそのこと切って、無の状態を作ってから再び高い集中を作っていた」と解説。事前にそのような集中力を上げるトレーニングを積み本番でも実践したという。それを聞いた都並も「ラモスさんは何にもやらないような瞬間があった。逆に常に集中しようとしている選手ほど集中力が維持できずにやられてしまうことがある」と語り、あるべき瞬間に集中することの大切さを話していた。

続いて伊沢が語ったのは「研究と対策」について。スポーツ同様、クイズの世界でも勝利のためには事前の対策が不可欠。クイズ番組であれば、番組ごとに「どのような問題が出るか」「テロップの文字サイズ」「アナウンサーの読み方のクセなど」を研究。また、スポーツ選手同様に“ルーティン”があり、クイズをやる前に「どんな問題でも絶対に正解できる。自分のペースで早押しすれば自分のところに正解が飛び込んでくる」と唱えるようにして、自己暗示をかけて集中力を高めているという。

また、知識を蓄積する際に大切にしているのが「感情」で、正解したときの嬉しい気持ちなどを覚えていると知識が定着しやすいという。その考えに勝村も「感情の入ったセリフは入りやすいし、出てきやすい」と役者ならではの視点で賛同した。

そして伊沢は、クイズ問題や試験に対峙する時、答えを導き出すには出題者の意図を読み解く必要があると言って「相手の視点を読み解く」ことの重要性を指摘。「受験はどういう生徒が欲しいかを読み取って答えていく作業」だと言い、東大だと思考力を試す問題が出るからこのパートは使うとか、逆に早稲田は小さな差をつけるために細かな知識が求められるから、これはいるけどこれはいらないなどを選別していくという。「そうやって傾向と対策を練るのはクイズ番組と同じ。なるべく試験官の立場になって教科書を読むことを徹底していた」と明かした。

また上手く行かないときの対処法としては、自分は怠け者だからもっと真面目にやろうなどと考えがちだが性格を変えるのは難しいので、それよりは集中力がブレないように環境を変えることが大切だと提案。伊沢自身、受験生時代にゲームセンターのサッカーゲームにはまってしまい、まずいと感じてゲームセンターのない通学路に変えることで誘惑との接触を絶った。さらにモチベーションが高い時に家にあったゲームソフトをハサミで切断。「意志が弱い時のことを考えて、意志が強い時にやってしまう。ルール決めをしておいて、その中で動くようにしておくと誘惑の入り込む余地を減らせる」と話した。実はここにスポーツ選手の結婚事情が関係していると言い、都並は「誘惑があるから結婚してしまえということは言われる。早めに結婚する人は意識が高い場合が多い」と明かした。

また、勝負に至るまでの「アプローチを変える」ことも有効だとか。「東大入試のちょうど1年前に数学が80点満点中0点で、数学の勉強法を一から見直した。高校2年生だったけど、中学3年生の教科書まで戻ってやり方を変えた。そしたら点数が取れるようになった」と話した。都並も現役時代に信じた道を進むうちに袋小路に入ってしまい、当時のハンス・オフト日本代表監督が「お前は今スランプだ。人間はスランプになると自信がないからボールを止めたがって下を向くんだよ。そういう選手は狙われやすいだろ?」と言いながら、サイドバックの都並に対していつもより1m中にポジションを取るように指示。すると、ライン際のスペースが気になるために顔が少し上がるようになり、たったそれだけわずかにアプローチを変えることで一気にスランプを脱したという。

最後に「勉強を通して頭の使い方を学べばスポーツに活かせると思う?」と問われると「サッカーも勉強も色々な選択肢を頭の中で整理して、その中から一番いいものを選ぶということは同じ」と語り、その選択をする上で勉強はカリキュラムや答えが決められていて可視化しやすい。一方、サッカーは可視化しづらいので、そのトレーニングとして勉強は適していると語っていた。

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