高木豊、息子3人をJリーガーに育てた極意は「雰囲気づくり」と「自分で決める」

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高木豊、息子3人をJリーガーに育てた極意は「雰囲気づくり」と「自分で決める」

3人の息子をJリーガーに育てた元プロ野球選手の高木豊が、10月18日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。高木が実践してきた子供の個性を伸ばす“子育て術”に迫った。

現役時代は、大洋ホエールズ・横浜ベイスターズなどに所属。加藤博一、屋敷要と共に、スーパーカートリオとして名を馳せた高木。3人の息子がおり、長男・俊幸は、足元のテクニックに秀でたフォワードとしてセレッソ大阪などで活躍。二男の善朗は、18歳にしてオランダのユトレヒトでプレー。清水エスパルスなどを経て現在はアルビレックス新潟の中心選手の一人となった。そして、三男・大輔は、 東京ヴェルディでキャリアをスタートさせ、今年8月、移籍したガンバ大阪でJ1デビュー。三兄弟全員がJ1のピッチに立った。

自身と同じように野球選手になってほしくなかったのか? と聞かれると「子供は親の私物じゃない。親のエゴを押し付けるべきではない」と即答。一方で、3人の子供たちには「プロは結果がすべてなのでJ1に行ったから万歳かというと……。プロとしての足跡を残さないといけない」と、まだ物足りなさがあると明かした。番組MCの勝村政信が「3人全員がJ1というだけでもすごいこと」と感嘆しても、高木は「不思議なもので、僕もプロ野球選手になれないと思った瞬間はない。同じように子供たちもいずれプロサッカー選手になると思っていた」と言ってのけた。

また、親がプロ野球の名選手だったことで子供たちはプレッシャーを受けていたのではないかと質問されると、長男・俊幸は「それで注目されるなら名前が出てきて得」、二男・喜朗は「実力ではないのかと葛藤していた」、三男・大輔は「(良いようにも悪いようにも)使い分けができる」と三者三様に捉えていたと明かした。

そして、「高木流 子育ての極意」が話題に。まず、真剣な話をする時は、テレビなどを消して、高圧的にならずに対面で話し合うなどして雰囲気を作ることが重要だと話した。息子たちも印象的な父の言葉があると言い、俊幸は「強気でやれと言われ続けていた」、善朗「毎日ボールを触りなさいと言われ続けて、毎日の練習を大事にやれるのはその影響」、大輔「お前は決してうまい選手じゃない。ただ、チームを助ける声や動きができるからプロになっても続けても欲しいと言われ、教訓になっている」とそれぞれが明かした。

続いて「子供を比較してはいけない。それぞれの長所を見出すべき」と提言。高木3兄弟でさえもそれぞれのプレースタイルが違うのだから比較することに意味がなく、他人との比較などもってのほか。「サッカー選手として自分の理想と戦いなさいと。他人を意識すると辛くなるし、人と比べるより、自分の理想を描けていてどうなりたいかが大切」と話した。

そして、学校教育では個々への教育は難しく、同じような対応になるため個性が伸びづらいと指摘。子供の個性を伸ばすのは親次第で、「自分の個性を主張できるようにしてあげないといけない」と話し、そのためには自由にやらせることが重要だと提案。「自由になって何ができるのかを自分で考えなくてはならない。それを考える能力が大切。子供の頃は本当に好きなことをやらせて、そこから選ばせてあげる。それに対して親は協力するだけでいい」と話した。これについては二男・義明も自身が父親になったことで身に染みてわかったようで、「常に選択肢を与えてくれる父だったので、自分の息子たちにも選択肢を与えてあげたい」と話していた。

さらに、決定権を子供に持たせることが重要だという高木。例えば「高校に行く」「サッカーをやる」「プロに入る」などの重要な局面でも決定権は子供に託してきた。「親だからアドバイスしたり助けたりはするが、責任までは取れない」と、それぞれの人生であることを一貫して伝えた。VTRでは「自分を構成する中で、父の要素は何%くらいあるか?」と3人の息子たちに尋ねるシーンも。それぞれが「半分はある」と口を揃え、大きな影響を受けていることを伺わせた。

スポーツ少年・少女の親が持つ悩みについても持論を展開。「6年生で受験とサッカーをどうしたらいいか?」という悩みには、「子供がサッカーを続けたいのか、子供の気持ちが大事。子供がやらなくちゃいけない課題に対して、親が口を出して、勝手に親が悩んでいる。それは子供なりの世界で子供が考えなくてはならない。子供の課題と親の課題を分けて考えることが必要」と語った。また、「どうやって叱ったら子供は言うことを聞いてくれるか?」という悩みに対しては、「なぜ叱ることが前提なのか?」と投げかけ、「今は否定の時代じゃない。昔は無理だって決めつけていたけど、現在は子供が言っていることにどうやったら導けるかを考える時代。それは親が考え直した方が良い」とアドバイスしていた。

これらの話を聞き、勝村は「昔のトップダウンで教えていた教育から脱却しようとしている現代の指導者の方々に非常に近い考え」と驚き、「現役時代から見てきていますが、今でもトップランナーのままですね。こういう方だから3人の子供たちがトップレベルのJリーグに全員が入っているとわかりました」と感心していた。

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