元日本代表・鈴木啓太が「うんち」と連呼、新視点のコンディショニングとは?

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元日本代表・鈴木啓太が「うんち」と連呼、新視点のコンディショニングとは?

元サッカー日本代表の鈴木啓太が、6月29日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。アスリートのコンディショニングに大切な「うんち」の重要性を熱弁した。

浦和レッズ一筋16年、オシムジャパンでは不動のボランチとして活躍し、代表通算28試合に出場した鈴木。2015年の引退と同時にAuB株式会社を設立し、アスリートの「うんち」から腸内細菌を研究し、アスリートのコンディショニングに活かすべく活動している。

ところで、鈴木はどうして腸の研究をはじめたのか? 子供の頃から母親に「人間は腸が一番大事」と言われ育ち、現役時代には、お灸をしたり、海外遠征時に梅干しを持っていったりして、お腹からコンディショニング。2004年のアテネオリンピック予選では、中東遠征時にメンバーの大半が下痢などで体調を崩す中、鈴木は腸をケアしていたおかげなのか、普段通りに戦うことができたという。こうした経験を活かし、「アスリートのパフォーマンス向上の手助けをしたい」と考え独自の研究を進めると、腸の状態がパフォーマンスに深く関係していることがわかったという。

AuBの研究所をブレインスカウター・サトミキこと佐藤美希が取材。研究部門統括責任者の冨士川凛太郎さんは「うんちの中にはビフィズス菌や乳酸菌など数百種類の腸内細菌が重さにして1~2kgも住んでいる」と語り、サッカー、ラグビー、陸上など27種目のアスリート500名分のうんちを-80℃で冷凍保管し菌の種類や構成を研究していると紹介した。

アスリートを被験者にしているのは、強度の高い運動をしていたり、考えられた食事をしている人が、一般的な人よりも多く菌を保有しているため。例えば、“アスリート菌”と呼ばれる酪酸菌(免疫機能を整えたり、腸の動きを活発にしたりする働きがある)は一般人の約2倍あることが判明。また、人間が生まれたときは無菌なので、それぞれの食生活や競技の運動強度によって腸内細菌が変わっていくこともわかってきた。

さらにデータを蓄積していくうちに「太りやすい競技」も見えてきたという。サッカーとバスケットボールは一般人と同じくらいだが、水泳とラグビーは太りやすいという。もちろん、太りやすいからダメなのではなく「少ない栄養素で自分の中に取り込めるとも言えるはず」と考え研究を進めているという。

また、番組アシスタントの片渕茜アナウンサーが「精神的なことが腸に響くことはないですか? 1年目とかは生放送前に緊張してお腹を壊していました」と質問。すると鈴木は「まさに“腸脳相関”ですね。マラソン大会の前にお腹が痛くなる人がいるのがそれ」とストレスとの関係性に言及。ある駅伝チームを長期的に調べたところ、特定の菌の数が前日だけ極端に減少し、大会後は元通りに。鈴木によると「これが本当にストレスによって変化したのかはわからないが、定点的に追っているとわかってくることがある」と話した。

さらに鈴木は、アスリートから得た研究結果を一般にも還元しようと、腸内フローラを検査するサービス「BENTRE(ベントレ)」をスタート。ベンチャーとあって検査キットは28,000円(税別)とまだ高価だが、郵送後5週間ほどで結果が届き、太りやすさや肌の状態、ストレスなどを数値化し、腸内環境がどのスポーツ選手に近いかを診断。さらに管理栄養士が、電話で食生活や運動習慣についてアドバイスしてくれる。「お子さんがラグビーをやりたいのに陸上タイプと出たら、ラグビーに合った腸内細菌にするにはどのような食事にすれば良いのかアドバイスできるようになるかもしれない。まずは自分を知ることができるという意味で良い検査だと思う」と話した。

番組の最後に鈴木は「コンディションの上にパフォーマンスがある。腸内細菌を整えることで、常に高い状態にコンディションを保ってもらいたい」とメッセージ。将来的には「自身の一番いい状態のうんちを培養して、コンディションが落ちた時に使うことでコンディションをアップできるようになれば」と話していた。

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