なでしこ高倉監督「変わらないようでは勝てない」W杯で必要なこと

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なでしこ高倉監督「変わらないようでは勝てない」W杯で必要なこと

6月7日に開幕する「FIFA 女子ワールドカップ フランス 2019」で、なでしこジャパンを率いる高倉麻子監督が、6月1日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。優勝するために「チームに必要なこと」を明かした。

1985年に17歳で名門・読売ベレーザに入団した高倉。高校生で代表デビューを果たし、36歳で現役を引退するまでに、リーグ通算226試合44ゴール、MVP2回、ベストイレブン7回と大活躍。指導者としてもAFC U-16選手権で初タイトルを獲得すると、その後も各世代で結果を残し、AFC女子年間最優秀監督を6度受賞。2016年、その手腕が評価され女性初のなでしこジャパン監督に就任した。

現在の女子サッカーを取り巻く環境の話題になると「今は恵まれている」と断言。90年代、バブル崩壊後の経済危機は、横浜フリューゲルスの消滅などJリーグも影響を受けたが、女子サッカー界も例外ではなく、「お金がないから女子チームはいらないみたいな空気があった」と明かした。しかし、様々な苦難を乗り越え、2011年のワールドカップでなでしこジャパンが初優勝。それをきっかけに女子サッカーは全国に広まった。

また、高倉の現役時代は代表選手でも自腹で遠征をしていたが、今では各世代で開かれる国際大会に無料で帯同し、海外で様々な刺激を受けられるようになった。さらに、高校生だった澤穂希や宮間あやは、高倉ら上の世代が日中に仕事をしてから夜練習している姿を見ており、ワールドカップで勝った時にも「これまで女子サッカーを繋いできてくれた先輩たちのためにも頑張りたかった」と言っていたことを明かした。

続いて、高倉の育成法がテーマに。すると「答えを欲しがる選手はいるけど、答えは教えない」と言って笑みを浮かべながら「自分で考え、決断して、やってみること」が重要だと話した。また、選手たちの考える力を鍛えるために、試合後に自分やチームの良かった点や悪かった点など感じたことのレポート提出を選手たちに要請。「試合で失敗しても次に変えてくる選手がいて、そういう選手は生き残っていく。良いモノを持っていても、学ばない選手と変えられない選手はそこまで」と話した。

考えることを要求する高倉だが、一方で、常にサッカーのことばかりを考えているわけではなく、本を読んでいつもとは違う世界に行くことでリラックスしているという。その理由を「(試合に向けて」研ぎ澄ました感じをとっておきたいから」と語り、スタジオメンバーを唸らせた。

そして、女子サッカーの人気については「減ってない。というか増やしたい」と答え、「全体的に女子サッカーを知っている人は増えたし、なでしこが再び勝てばスタジアムに行ってみようと思ってくれる潜在的な層はたくさんいると思う」と分析。そして、ワールドカップを目前に控え「澤や宮間の系譜を継ぐリーダーはいるか?」と聞かれると、「今のところはいない」と返答。例えば、最近の選手たちの試合のテクニックや判断力は上がっているが、現状では流れを読む力は澤には及ばないと指摘。「勝負時にゲームの流れを変えてくれる選手を探している状態。大会が始まってから変わっていくと思うし、変わらないようでは勝てない。リーダーに誰がなっていくかは大きな要素」だと話した。

最後に高倉は「出場するからには世界一を目指したい」と目標を掲げ、「チームは変わったけれど、若い世代はU-17やU-20で世界一になった選手が多い。物怖じしないし、試合を通して伸びてくると全体の力が上がってくる。それを優勝経験のあるベテラン選手たちがぐっと締めてくれれば、勢いと落ち着きの両方を持ったチームになっていくはず」と話した。

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