引退直前の杉山愛に放った母・芙沙子の一言「もういいわね」に驚き

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引退直前の杉山愛に放った母・芙沙子の一言「もういいわね」に驚き

元プロテニスプレイヤーの杉山愛と、その母であり、コーチとしても彼女を支えた母・芙沙子が、5月25日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。アスリート親子の関係を明かした。

5歳でテニスラケットをはじめて握り、15歳で世界ジュニアランキング1位を記録。17歳でプロに転向すると、女子ダブルスでは全米、全仏、全英を制覇し、全豪でも準優勝。最盛期には、WTAの世界ランキングで1位を獲得。シングルスでは全豪と全英でベスト8入りを果たした。さらに女子シングルスのグランドスラム連続出場62回は、未だに破られていない歴代1位の大記録である。

しかし、すべてが順風満帆だったかというとそうではない。ダブルスでは圧倒的な結果を出していたが、自身はシングルスを絶対的に重要視しており「シングルスで勝てない……」と挫折を経験。「ボールが本当に怖くて打ち方がわからない」というまさにドン底の状態にまで追い詰められていた。そこで愛が頼ったのが母だった。アメリカから母に電話をかけると、「テニスが嫌いになった。本当に辞める」と愚痴をこぼし、さらにコーチ就任を打診。「2つ返事でやると言っちゃった(笑)」という芙沙子は、それから9年間、幼少期から誰よりも近くで見守ってきた娘を、献身的にコーチとして支えた。するとシングルスの成績も徐々に回復し、29歳で自己最高となる世界ランキング8位を記録。これは伊達公子以来となる世界ランキングトップ10入りの快挙で、その後のグランドスラム連続出場記録へと繋がった。

その後、愛は34歳で現役を引退。愛の弱音から始まった二人三脚のテニス人生だったが、実は引退直前、今度は芙紗子から「あなた、もういいわね。私、大学院に申し込みたい」と、スタジオメンバーも驚きの告白を受けていた。50代はコーチとして愛と一緒にツアーをまわり、60代で新たなスタートを切るべく動き出した芙沙子は「日本のトップアスリートの幼児期の親の教育方針」をテーマにした卒業論文執筆に着手。石川遼や錦織圭、宮里藍らの両親の力を借りて作り上げた卒論は、大学院の優秀賞を受賞した。

そこから見つかった、一流アスリートを育てるための共通点。一つは、5歳までに色々なスポーツをやらせること。およそ5歳までに脳神経系の8割が発達し、12歳になるとほぼ成人と同じような脳神経系になるという。以前番組に出演した脳医学者・瀧教授(東北大学)も同様のことを話しており、視覚や聴覚を司る部分が発達する0歳の時は、絵本や音楽に触れると感性や感覚が磨かれ、スポーツや楽器は、運動野が発達する3歳から5歳に始めるのが適していると説いた。「色々なスポーツをすること」については、番組アナリストの都並敏史もサッカーを始める前にやっていた野球の経験が活きていると言い、「外野でフライを処理していたから、バックステップから急にクロスステップになる動きも自然にできるようになった」と話した。

そして、近年の芙沙子は、親子が無料で体験できるスポーツ教室で指導を行なっている。ここは一流アスリートの育成が目的ではなく「スポーツを好きになること」が目的で、楽しくスポーツをすることによって身体的な体力だけでなく、何かを判断する知的体力も養われる。また、「子供の好きなことを見つける親の手伝いをするのもミッションの一つ」と語り、愛も「好きだとトレーニングがハードでも乗り越えられるし、どんどん上達する。嫌々では何にもならない。どれだけ好きなことに出会えるかが大きい」と話した。

さらに、オリンピアンを育てた親が講師となり、ジュニアアスリートの能力を最大限伸ばすためのアカデミーにも参加。子供との関わり方に悩むアスリートの親は多く、「自分のエゴでやらせているのではないか?」「スタメンじゃないのに遠征費などにどれくらいお金をかければいいのか?」など悩みは尽きない。そんな中で最も多いのが「子供たちが挫折した時にどうやったらサポートしてあげられるのか?」。

芙沙子は「目標はJリーガーになるとか、世界で戦うとか色々あると思う。でも、もうちょっと大きな目的を親子で共有するとすごく楽になる。“私たちはサッカーを通して世界の人と知り合って楽しみたい”など、スポーツを通してこうなりたいという家族の共通のビジョンを持っていると気持ちが楽になるし、楽しめる。声を大にしてそれを伝えたい」とアドバイスを送った。すると番組MCの勝村政信は「親というのは子供ができて初めて親になる。だから親の年齢と子供の年齢は同じなんだ」というドラマのセリフを紹介。「悩んでも良い。全部が上手くいくワケではなくて、次に違うことで花が開けば良い」と語り、杉山親子の関係を見て「とても幸せな気持ちになりました」と話していた。

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