元Jリーガー・近藤岳登、お笑いの魅力に取り憑かれた瞬間は「アドレナリン出まくり」

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ヴィッセル神戸などで活躍し、現在はお笑い界で大注目の近藤岳登が、5月18日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。自身のサッカー人生とサッカー選手のセカンドキャリアについて語った。

サッカーボールをフリップに持ち替え、初出場した「R-1ぐらんぷり2019」で準決勝に進出するなど大きな話題となっている近藤。スタジオに登場すると「いちばん大切なお金の話をします」と言ってフリップ芸を披露。新卒でJリーグクラブに所属する際に結ぶC契約(最高年俸460万円)と、J1の場合450分以上の公式戦への出場で結ぶことのできるA契約(最低年俸460万円以上、上限なし)の違いを巧みに盛り込んだ、Jリーガーとの合コンネタでスタジオを沸かせた。

Jリーガーからお笑いという異色の経歴を持つ近藤だが、「サッカー選手で良かったのが、とにかく追求しなくちゃ気がすまないことと、負けず嫌いなこと」と語り、サッカー同様にネタ作りにも限界はなく、1つのフレーズを考えるのに1~2日使うことも少なくないという。しかし、R-1の壁は厚く、「上には霜降り明星の粗品がいました」と同じフリップ芸で敗れた際の悔しさを滲ませた。また、「Jリーグの試合よりも緊張した」と言って、11人でやるサッカーと違い、1人で挑むR-1の舞台は一切のミスが許されない難しさがあると感じたという。また、「Jリーグで2得点しかしてないですけど、ウケた時はその2点よりも嬉しかった。すごいです。アドレナリン出まくりです」とお笑いの魅力に取り憑かれた瞬間を振り返った。

そんな近藤が「サッカー選手はエンターティナーであるべき」と提案。選手時代は、サッカーと同じくらいファンサービスやファン感謝祭に情熱を注ぎ、「主戦場がファン感謝祭」と言われるほど。クラブに任され、スタジアムでギターの弾き語りライブをしたこともあるという。ヴィッセル神戸に同期で加入した大久保嘉人にも「お前は芸人になったほうが稼げるから早くサッカー辞めろ」と言われていたと明かした。

新加入選手の近藤と大久保が同期と聞いて不思議に思う人もいるだろう。実は、近藤がプロ選手になったのは26歳の時。高校卒業後、サッカーで大学に進学したにもかかわらず、遊びたい盛りだった近藤は退学。「モテたい」という思いから地元・愛知のサーフショップで働くことに。しかし、モテるという目的は果たしたものの、サーフィンをやっていても、心から熱くなれない自分がいたという。そこで改めてサッカー愛に気付いた近藤は、もう一度、サッカーと向き合うためにびわこ成蹊スポーツ大学に入学。ブランクを物ともせずに2年連続で関西選抜入りを果たした。そして、ヴィッセル神戸との練習試合でゴールを量産したことで当時の神戸を率いたバクスター監督の目に留まりプロデビューへと繋がった。近藤は「サッカーから離れたことで、もの凄く自分がサッカー好きだと気付けた。この2年間がなかったら恐らくプロにはなれていなかった」と振り返った。

紆余曲折のサッカー人生だが「後悔はないか?」と聞かれると、「後悔しかない」と正直な思いを告白。「もっとサッカーでこうしておけば良かったという思いはたくさんある。それを子どもたちに伝えることが僕の使命。天才と言われる人たちが子どもたちに教えるのは感覚などで難しい部分もあると思う。あまり活躍できなかった僕みたいな選手が、こうしておけば良かったと思う練習や技術を教えられる」と語った。

現役引退後、近藤はお笑いの活動だけでなく、サッカー指導やラジオパーソナリティ、なでしこリーグのスタジアムDJなどでマルチな才能を発揮。R-1出場もその一つで、そこには「今のサッカー選手はエンターテインメント性が足りない」という思いが根底にあるのだとか。近藤は「サッカーだけやっていれば良いという選手が多すぎる。だからサッカーの人気がドーンと来ない」と指摘。選手たちのセカンドキャリアについても、「多くの選手がサッカーに関わる選択肢しか見えていない。でも、そこまでサッカーをやってきた男たちが、他の仕事で活躍できないわけがない。サッカーで活躍できなかった僕でも活躍できるということを、R-1などに挑戦して可能性を見せたい!」と心に秘めた熱い思いを伝えた。

実際、元Jリーガーという肩書きが、サッカー界から離れることで高められる可能性も感じていた。R-1初挑戦時には、1回戦を勝ち上がっただけで「元JリーガーがR-1の1回戦を突破」と大きくニュースで取り上げられた。「これはサッカー界の外で挑戦したから」と手応えを語り、「サッカー選手ってこんなに面白いと知ってもらって、サッカー選手の価値を上げたい」と意気込んでいた。

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