Jリーグクラブのホペイロがオフシーズンに何をしているか判明

公開:
Jリーグクラブのホペイロがオフシーズンに何をしているか判明

FC東京のホペイロ・山川幸則が、4月27日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。知られざるホペイロのオフシーズンの働きが明らかになった。

ホペイロとは、スパイクを中心に、ユニフォームやドリンクなど選手の身の回りのものを管理する職業。サッカーファンの多くが知る役割だが、実はJリーグ55クラブでホペイロが所属するのはFC東京を含めわずか5クラブしかない。(※各クラブの公式サイトで「ホペイロ」と表記しているクラブ)

サッカーファンの多くが知っている職業と書いたが、実際に何をしているかを知っている人はあまり多くないだろう。山川の場合、FC東京の練習は午前10時にスタートするが、朝7時にはクラブハウスで仕事をスタート。カメラが訪れると、前日の練習後に洗濯したウェアをそれぞれの選手の練習道具入れにしまっていた。一見すると簡単な作業に見えるが、ソックス1つとっても選手の特徴や好みを把握して必要なものを用意しなくてならない。しかも、練習で1人の選手が使うのは20アイテムあり、選手・スタッフを合わせて54人分の洗濯量は約1,000点。それを山川1人で管理している。

中でも注意を払っているのがプレーに直結するスパイク。同じ種類のスパイクでも選手に合わせてカスタマイズされ、スパイクのポイントは選手の好みやプレースタイルに合わせてミリ単位で細かく調整している。FC東京のMF橋本拳人は「本当にきれいにスパイクを磨いてもらっていて、試合前に履いたときにめちゃくちゃフィットして“今日もやってやるぞ!”という気持ちにしてくれる」と大絶賛。山川の完璧な仕事は選手たちの士気の向上にも繋がっている。

ところで、どうしてホペイロという職業に就いたのか? 小学生の頃からサッカーをしていた山川だが、病弱で試合に出られるのは最後の5分程度だったのだとか。それでもサッカーの雰囲気が好きで、荷物などを率先して運び、いつもサッカーショップで眺めていた恰好良いスパイクを履いているチームメイトには「スパイクちょっと磨かせて」と言って磨かせてもらうなど、その頃からホペイロとしての片鱗を見せていた。

そんな山川の人生を大きく変えたのが1998年のフランスワールドカップ。現地で知り合った人に「ホペイロになる夢」を相談したところ、スペイン行きを勧められたという。すると山川は即座にスペイン行きを決断。当時を振り返り「もしかしたらすぐに帰ることになるかもしれないけれど、それしか方法がないので何も情報がないまま旅立ちました」と話し、専門的な知識はおろかスペイン語もままならない状態で海を渡ったと明かした。

そして、ホペイロとしての第一歩を踏み出すことになったのがレアル・オビエド。クラブハウスに練習を見に行って「学びたい」とお願いし、球拾いやドリンクの交換などをしていた。するとある日、高齢だった当時のホペイロが足を怪我していたので、荷物などを一生懸命運んでいるとジャージを渡され、そこから本格的にホペイロの仕事を学ぶことになったという。

それからFC東京でホペイロとして働くようになって19年。今でも技術向上への思いは忘れていない。休日には、東急ハンズなどに足を運び、日用品やDIYなど多岐にわたる商品の中からメンテナンスに役立ちそうなアイテムを探し出し研究を重ねている。また、革靴のメンテンスを専門にする店では、サッカースパイクでも役立つ磨き方がないかと職人に教えを請うという。

そこまで夢中にさせるスパイク磨きとは山川にとって「一体何なのか?」と聞かれると、「磨いている時間に自分がやってきたこととか、チームがどういう道を進むのかを考える。自分自身の時間にもなるので、そういう時間が大好きで気に入っています」と返答。それを聞いた番組アナリストの都並敏史は「磨く時間は大変なのに、それが楽しいと言えるのは最高ですよね」と感嘆し、番組MCの勝村政信も「チームって選手だけじゃなくてクラブスタッフを含めて全員で戦っているということですよね。そうやって尊い1勝を上げているということがよくわかりました。FC東京の試合を観る時は、山川さんも選手の1人として見させていただきます」と語っていた。

PICK UP