田辺誠一「エネルギーを感じた」中国の杭州から北京へ『中国大紀行"京杭大運河"王宮に繋がる水の路 1794キロを行く』

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田辺誠一が旅人となり、京杭(けいこう)大運河に沿って旅をした番組『日中共同制作 中国大紀行"京杭大運河"王宮に繋がる水の路 1794キロを行く』(BSテレ東/BSテレ東4K)が、2月4日(月)18時55分から放送される。この度、田辺からコメントが到着した。

今回は、中国の杭州から北京へ向かう旅【杭州(浙江省)→ 蘇州(江蘇省)→ 揚州(江蘇省)→ 聊城(山東省)→ 北京・紫禁城】。「京杭大運河」は全長1794km、世界遺産にして世界最長の運河だ。この壮大で破格の運河を4K撮影。さらに中国側の協力を得て、紫禁城など特別に撮影を許されたエリアにも。なぜこの様な大運河が作られたのか? その歴史の謎を解き明かすため田辺が旅をする。

<田辺誠一コメント>
なかなか貴重な体験をさせていただきました。4Kということで壮大な景色が、高精細な画像というのが中国に本当にあっているなと思いましたし、ドローンも。世界のドローンのほとんどを中国のメーカーで作っていますけど、中国のドローンマスターというすごい職人さんが、わざわざ1000Km以上かけて香港とか広東省から来てくれて全部やっているので、映像もかなり見どころになっているのではないかと思います。大運河は、西暦で5、600年の頃なので機械もない中で1800Km……幅も最小限ではなく結構幅もある……これを人の手が作ったということの偉大さといいますが、大変さというか、そういったものを実感しました。

番組の中でも出てきますけど、経済とかが縦に繋がることによって国内が統一されるという、そういった役割というのも実感できました。中国の地図見ても海に向かって川って流れているので、海に沿って縦の水路があることは、ものすごく重要なことなんだなということを実感しました。個人的に17年水泳をやって、その後3年ボートやっていたので、水の中とか上にいる時間が長いので水が好きなんですけど、やっぱり水の上って風の通り方も違いますし、なんか停滞してない、常に流れているので何かエネルギーといいますか、新鮮な空気もありますし、落ち着きますよね。向こうの言い伝えだと龍がいるとされているので、龍が水を飲みに来たり、そこを龍が通ったりというのもあるみたいで、なんかそういう水の力とかエネルギーを感じました。

――旅の出発点、杭州について

杭州は西湖という西の湖という大きな湖が中心にある州ですけど、朝5時台から、みなさんご年配の方が運動されているっていうことで、そういう人々のエネルギーとそれを引き寄せる湖であったり、大地のエネルギーにいきなり圧倒されました。

――蘇州について

蘇州は街の中に水路が張り巡らされていまして、行ったことはないんですけどヴェニスのような、ちょっと柳なんかもかかっていたりして、すごく昔ながらの景色を守っている情緒がある街でした。とても気持ちが良かったです。上海のすぐ近くなので、都会も近いですし。蘇州で作られているレンガは、本当に細かい、密度の高い、空気が入ってない硬いレンガで、ああいったものをずっと作り続けていて、それが故宮、王宮で使われるクオリティのものであるという。職人さんがいて、そういう素材が取れる、技術があるっていうのは本当に驚きました。今もまだ手作業でやっていましたね。コツコツコツコツと……ちょっと感動しました。

――揚州について

長江、揚子江が近いので、あそこではタンカーがいっぱいいますし、場所的に運河がないころから長江が近いので、たぶんものすごく栄えた、ものすごく地の利がよかったということで、番組でも紹介されていますけど、鑑真和尚であったり、逆に空海が日本から来たりして、ここに京杭大運河のルートを作る意味がとてもあるんだなと思いました。鑑真和尚は番組でも触れていますけども、ずっと日本に行って仏教を広めたいと思っていたのに、嵐に見舞われて断念して、それで5回目か6回目でやっと日本に行けたということで。今でも上海から日本に行くフェリーの名前が「鑑真号」ということで、それだけ日本に対して強い想いがあることに感動しました。空海も、尊敬する鑑真和尚がいたところに、まず初めに絶対行きたいという思いだったんですよね。

――聊城について

聊城では閘門という、船が山越えするために堰き止めて水面を上げて、また堰き止めて上げていくというのを実際に見てみて、人力でやっていたというのにまず驚きました。木の板を人力で上げ下げしていた……その水の水圧、重さも、ものすごいことだと思うんですけど、それを何十か所も門を作ってやっていたというのは、本当にすごいなと思いました。また聊城では、農家で50度以上の強いお酒をいただいたんですけど、やっぱりそれだけ肉体を酷使する仕事をされていると、強いお酒がガツンと欲しくなるのかなと思いました。印象深かったのは、お酒をいただいたのと、その人たちがやっているお祭り。お祭り自体の歴史の背景もそうですし、文化的な素晴らしさもあるんですけど、そのお祭りを見ているおじいちゃん、おばあちゃん、子供たちの顔っていうのが忘れられないです。ああいうイベントは年に何回もないと思うんですけど、みんなが集まって楽しんで、見ている人たちの顔はすごく印象的です。その場にいたことが……。なので自分のカメラを持って行っていたので、団員の人以上に、人々の写真や村の景色とかを撮っていました。

――北京について

紫禁城は、想像をはるかに超えた大きさ、スケールでした。すごい、なんともいえない、いろんなものを感じましたね。もちろん旅は京杭大運河というのが紫禁城に向かって旅をしていたというのもありますし、その各地でのいろんな人とか、技術・想いというのを見てきていたので。番組の中にもありますけど「紫禁城・故宮は川から漂ってきた」という表現が、すごく美しい表現で、すごく儚げなのですが、それが目の前にある、堂々と……というのにすごく感銘を受けました。その存在感に。そして現在でも、北京には全然ビルがないんです。だから紫禁城がドーンッと目立っていて。首都だからもっとビルとかすごいのかと思っていましたけど、建物が低かったですね。それに北京はあんまり晴れないって言われていましたが、当日すごく晴れて青空の中の紫禁城の朱色がものすごく映えていました。

――全体を通して、美味しかったもの、印象に残っている人などは?

この4年間で10回くらい旅番組に行かせてもらって、旅は好きなので断らないですね。お茶と、小分けの袋に入っているドーナツを持っていきます。それから大好物であるグミも日数分持っていきます。中国ではお茶は問題なかったですね。ロンジン茶がとてもおいしかったです。今回の旅では何食べても美味しかったんですけど、揚州チャーハンは美味しかったです。パラパラしていて、金色で、いっぱい食べました(笑)。あと、上海蟹をいただきました。聊城で山の村で出会って、お家に招いていただいたところの団長さんと、そのお友達の方々はものすごく心に残っています。なんかお顔にその生き様というか、歴史が本当に刻み込まれていて、もちろん大変な時代も生きてきて、その中であの年齢に達して友達と一緒にいることができるっていう、そこでお酒が飲めるっていう、あの方々の顔は忘れられないですね。こういった運河があることは、僕も知りませんでしたし、なぜ作ったのか? それによってどうなったのか? その周りにはどんな人たちが、どんな思いを持って住んでいるのか? というのは、日本に住んでいる僕たちにも、気持ちの部分では共通点があると思うので、そういった人々の営みを、運河を通して観ていただけたら嬉しいです。

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