東海大学スポーツ・レジャーマネジメント学科の講師・押見大地が、テレビ東京系で1月26日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週土曜24:20~)にゲスト出演。感動をもたらすメカニズムを分析するスペシャリストが、スタジアムで生まれる感動の仕組みについて語った。

スポーツ好きなら忘れることのない瞬間がある。例えば、ウサイン・ボルトのボルトポーズ。世界中の誰もが、そのシルエットを見るだけでボルトだとわかる。しかしなぜ、パフォーマンスは人々の記憶に刻まれるのか? 押見は「記憶に残るシーンは、感情と深く結びついている」と述べ、例えば、ゴールシーンは興奮と喜びで感情が爆発し、その時に見たパフォーマンスは記憶に留まりやすいという。

ゴールパフォーマンスを例に上げると、サンフレッチェ広島がスタメン全員で行った弓矢のパフォーマンス、ブラジル代表のベベットが94年のアメリカワールドカップで最初に披露したと言われるゆりかごダンス、ヴェルディ川崎や鹿島アントラーズで活躍したビスマルクの神への祈り。そして、三浦知良のカズダンスといった数々のパフォーマンスは、今でも人々の脳裏に焼き付いて離れない。

一方で福田は、「皆が喜び合うのがサッカーの醍醐味だけど、計算したように感じられるパフォーマンスをされると僕は引いてしまう。感情をストレートに出してもらった時のほうが感動すると思う」と正直な思いを吐露。すると押見は、福田の意見に対して「感動には2種類ある」と説明。一つは「サプライズによる感動」で、サッカーで言えば劇的な勝利や、福田が言うような、選手が感情を爆発させてとっさに出た行動によって心を打たれるもの。もう一つは「予定調和の感動」があり、「一体感」をキーワードに、その重要性を解説した。

押見曰く、人と違うことをやるなと言われて育ってきた日本人にとって、「お祭りのようなノリで一緒にやればノリやすい。そして、観客だけでなく選手と一体感を持てた方がサポーターはもっと喜ぶ」のだとか。プロ野球ソフトバンクの松田宣浩選手は、ホームランを打つと必ず観客と一緒に「熱男」と叫び盛り上げていると例を示すと、福田も「ドイツでは点を取ったらスタジアムの人と一緒にサポーターも名前を叫ぶのは一体感があって感動する」と同意。押見は「あれをやりに行きたいと思う人はたくさんいる」と分析した。

そんな中、福田は自身が観客と一体になったと感じたというエピソードを披露。「何万人ものサポーターの想いと自分のプレーがシンクロしていると感じる時がある。きっとサポーターも同じように感じていると思うし、そのときはとても気持ちが良い。今でも思い出すことがある」と熱弁。すると勝村も大きくうなずきながら、自身が舞台に立った際に「“この空間は俺のもの!”と感じる瞬間が1公演に1回くらいある。お互いにとって幸せな瞬間だと思う」と目を輝かせながら語った。

より一体感を生み出しやすくなるパフォーマンスとはなにか? 押見は「それぞれの地域の特徴や誇りを取り入れること」と語り、藤本主税が見せた、地元・徳島の名物・阿波おどりのゴールパフォーマンスを紹介。「徳島のサポーターが見ている状況であれば、自分たちの文化や誇りが刺激されて、親しみやすい」と語り、アイデンティティをどう出していくかが重要だと説いた。

また、昨年とあるパフォーマンスが話題になった。川崎に長く在住していたタレントの西城秀樹さんが、63歳の若さで亡くなった。西城さんは、フロンターレがJ1定着もままならない2000年頃からスタジアムで代表曲「YMCA」を披露するなど、クラブとの関係を築いてきた。訃報を聞いたフロンターレは、その直後の試合で、サポーターたちの感謝のメッセージが寄せられた、西城さんのビッグフラッグを掲出。さらにその試合では、中村憲剛が2得点をあげ、その際に「YMCA」のパフォーマンスを披露。試合後のヒーローインタビューで「珍しく2点取ったのですが、これは西城さんのチカラだと思います。ありがとうございました!」と叫び、その後も「YMCA」という偉大なパフォーマンスを通じてスタジアムに集まったサポーターと一体となることで、西城さんを追悼した。

最後に勝村は、「感動は振り切れるもの。それを数値にするのは難しいですよね?」と語り、押見も「最近は脳科学など様々なアプローチを考えている発展途上の分野。研究する仲間を見つけたい」と更なる探究心を見せていた。

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