名古屋グランパスの小西工己社長と清水克洋マーケティング部長が、テレビ東京系で11月24日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週土曜24:20~)にゲスト出演。好調を維持する観客動員のヒミツについて語った。

クラブのトップに小西社長、チームのトップに風間八宏監督が就任し、新体制で挑んだ初のJ2。なんとか1年でのJ1復帰を達成したものの、2018シーズンも残留争いから抜け出せずにいる。しかし、チームの成績が振るわないにもかかわらず観客動員は絶好調。2~3割は観客が減ると言われるJ2で前年の31.9万人から32.3万人へと動員を増やし、さらに今年は2試合を残して40万人突破が確実となった。

まず小西社長は、就任当初の予算編成時のエピソードを披露。観客動員の見込みから金額を決めていくのだが、J2降格ということもあり提示された見積もりが低かったのだとか。「意味がわからなかったので、去年を超えましょう。“(前年比)100%”と申し上げた」と笑顔で明かし、隣の清水部長は「正直、難しいと思いました」と当時を振り返った。

しかし、これによってクラブは大きく変化。改めて、どうしたらスタジアムを好きになってもらえるかを調べるために、サポーターのデータ収集に着手。プレイガイドがメインだったチケット販売を公式サイトで行うように呼びかけ、チケット購入者の情報や傾向を把握した。

そこからわかったのが、他クラブに比べて女性客の比率が低いとされていた名古屋だったが、実はそうでもないという事実。するとクラブは女性ファン向けの企画を考案。「ガールズフェスタ」を開催し、来場した女性客全員に特製ユニフォームを配布した。しかも、女性向けということで、脱ぎ着がしやすく、裾を前で結ぶこともできるなど着こなしを意識し、ベースボールシャツのような前にボタンが付いているデザインを採用。さらにクラブカラーとは少し違ったピンクをメインにするなど、これまでの固定概念にしばられないアイデアを実現した。さらに今年の第31節には、来場者全員にレプリカユニフォームをプレゼント。スタジアムレコードとなる43579人を達成している。

データ活用では他にも「3試合観戦したら1試合無料」という施策を実施。一見すると売上に悪影響を及ぼしそうに思えるが、狙ったのはサポーターとのコミュニケーション。紙のチケットを渡すだけでは誰が実際に着たのかわからなくなってしまうが、メールで申し込んでもらうことで、その次の試合に声をかけることができるなどメリットがあるという。また、データを分析すると、チケット購入を試合開始の1か月前に検討している人が多いことが判明。これまで試合の1週間前から行っていた告知を1か月前に変更したことでチケット収入が増加した。

小西社長は「クラブの人間だけでなく、サポーターのみなさんと一緒になって運営するということ。アンケートなどのお客さんの声も経営判断に影響をおよぼす。これはお客さんの経営参加と言える。それがうまく回り始めてきた」と分析。それを聞いた番組MCの勝村政信は、「ソシオの考えに近づいている」と表現し、「Jリーグは企業ありきで地域とのギャップをどう埋めていくのかを25年間やり続けていた。地域全体で“俺たちのクラブだ”と言って応援するようになっていきますよね」と絶賛した。

さらにシーズンチケット購入者向けには、選手と一緒に行う前代未聞のボウリング大会を開催。エドゥアルド・ネット選手も「ブラジルでもこんなイベントやった事がないよ!」と驚き、参加したサポーターも「楽しい。緊張するけど!」「興奮しちゃって大変」と言って大喜び。これらの施策について、楢崎正剛選手は「名古屋はそういうアイデアが少ないと感じていましたが、最近は見直されてきました。クラブ全体が頑張っている証だと思いますし、観客動員が伸びているのも努力が実っている」と話した。

また、これらの取り組みについて、スタジアムの観客を増やしたいと公言してきた風間監督も賛同。「グラウンドで見せるものとは違う姿も見てもらい、地域はもちろん、その枠を飛び越えた方々も集まるようにしたい。お客さんが集まると数字では考えられない色々なことが起こってくる。それを追求して、さらに勝ちが増えていければ良いと思っている」と思いを明かした。

最後に小西社長は、かつての上司で現トヨタ自動車の豊田章男社長が「フルスイングして三振したら野次るのではなくて“ナイススイング”と言って笑顔で迎え入れてやると言ってくれていたので、私はそういう上司に恵まれて、今それをやっているだけ」とコメント。「とにかく突き抜けないと。その先の世界を見ることができない。4.3万人でスタジアムが埋まったら、お客さんの交通整理で問題がおこるかもしれない。安全と安心は妥協してはいけないが、他のことは多少の失敗をしても私が“ゴメンナサイ”と言えば済むので、どんどん面白いことをやってくださいと言っています」と言って、上がってきた企画に対しては、ほぼNGなしで積極的に仕掛けていく理由を明かした。

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