ダルク代表が語る薬物依存の恐怖「家族だけでは支えられない」

公開: 更新:

薬物依存リハビリ施設「ダルク」代表・近藤恒夫さんが、5月24日に放送された『じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告~』(テレビ東京系、毎週木曜24:12~)に出演。一度使ったら抜け出せない薬物依存に警鐘を鳴らした。

まず、MCの河本準一は、近藤さんのことを「元薬物依存」と呼べばいいのか「今もなお(薬物依存)」と呼べばいいのかを質問。近藤さんは「今もなおです。“止め続ける”ということですから」と言い「収録が終わった後に(覚せい剤を)やるかも分からない」と語った。近藤さんは1980年11月から覚せい剤を止めているそうなのだが、それでも「元薬物依存症」とは言えず、今も闘っていることを明かした。

そもそも近藤さんが覚せい剤に手を染めたのは、知り合いからの紹介がきっかけだったそう。船会社に勤務していた頃、ストレスと激しい歯の痛みが重なった時期があった。その頃、フェリーの常連客で、覚せい剤依存の疑いのあるトラック運転手と知り合った近藤さん。そこで彼に「歯の痛みなんかアレをやれば一発で治る」と言われたのだとか。痛みとストレスから解放されたかった近藤さんは“アレ”が覚せい剤と分かっていながら手を出してしまう。

いざ注射をしてみると「歯の痛みが取れるのに3秒かからなかった」と回顧。さらに、賭け麻雀、チンチロリン、花札など違法遊戯をやる時も、頭が冴えるので「全部勝っちゃう」と言い、当時300万円ほど手に入れたそう。じつはこの“報酬効果”が問題だそうで、手にした報酬が忘れられず、再び薬物に手を出してしまうことが多いのだとか。

クスリが抜けてからは身体のダルさを感じ、食事も噛むことはできるが、飲み込むことができない。そうした症状がありながらも薬物から抜け出すことができなかった近藤さんは、当時70キロあった体重が、3か月で58キロに落ち込んだのだとか。止められない理由として「最初の感覚。期待と効果が離れられない。今でも覚えています」と振り返った。

28歳から始めた薬物依存は逮捕される39歳まで続けた。捕まった際には「自分では止められないから助かった」と感じたそう。薬物を止めても「大変なのは勘ぐり」だと言い、妄想や幻聴が止まらなかったと語った。

裁判の結果、執行猶予4年、懲役1年2か月の刑が下された近藤さん。執行猶予中に参加したアルコール依存症の集会での体験を活かし、1985年に民間の薬物依存リハビリ施設「ダルク」を創設。現在まで日本全国60カ所以上までに活動は広がり、薬物依存者の社会復帰を支援している。

最後に薬物依存の回復に最も大事なことについては、薬物を取り上げるだけでは意味がなく「最大の敵は孤立。止めた仲間と一緒に歩かないと(立ち直りは)難しい」と語り、薬物依存の経験がない人や家族だけが支えることは「無理」だと断言した。

PICK UP