中村蒼、“命を売る”役を演じ切る「やりごたえあった」

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BSジャパンにて放送されているドラマ『命売ります』(毎週土曜21:00~)が、3月24日に最終回を迎える。この度、主人公・山田羽仁男を演じた中村蒼と、羽仁男の相棒となる井上薫を演じた前田旺志郎からコメントが寄せられた。

本作は、昨年「隠れた怪作小説発見!」と銘打って重版が進み、30~50代を中心に26万部という異例の大ヒットを記録し、ベストセラーとなった三島由紀夫の同名小説が原作。作中、自分の人生行く先を悟ってしまった男・山田羽仁男(中村)が始めたのは、“命を売ること”。“命を売る男”と“企みを持つ依頼人たち”との駆け引きは、毎回思わぬ展開へ向かう。

最終話では、羽仁男に関わる人が次々と死んでゆくという事件が勃発。失意の羽仁男はビルの屋上から飛び降りようとするが、あと一歩を踏み出せない自分に気付く。その時「死ぬんでしょ? 死にたいんでしょ?」と羽仁男の背中を押したのは、薫だった……。果たして、どんな結末が待ち受けるのか?

2人から寄せられたコメントは以下の通り。

<印象に残っているセリフ、シーン>
中村:それぞれ思い出がありますね。自分のセリフじゃなくてもほかの人のセリフでも良いセリフがたくさんあって、あぁ確かになぁ、と考えさせられるところもありましたね。6話で大地真央さんの役が「人の評価ほどあてにならないものはない」と言っていて、確かにそうだなぁと思う瞬間がありました。前までは良かったのに、やっぱり違うということもよくあるし、僕たちは第三者の人たちから評価されているし、僕も第三者になりますけど、第三者は無責任でいられるので、良かったら良いと言うし、悪かったら悪かったと言うし、すぐに手の平を返せる。それが悪いとかではなくて、それが第三者なので。だから、その時の評価はちゃんとありがたく真摯に受け止めるけど、その後どうなっていくかはわからないし、いかに自分を信じて、ちゃんと思った通りに進められるかという、結局は自分との闘いなので。6話で大地さんが演じたみさとさんは、人間は周りの評価を気にしているという中で、そういうセリフか出てくるんですけど、そういった意味でも僕の中では印象的です。

前田:僕はもともと2話のゲストで、お母さんとのストーリーが最初にあったんですけど、その時に最後にお母さんが僕をぎゅっと抱きしめて「たまにはいいじゃない」というシーンがあるんです。その後、3話から10話まで撮ったんですけど、他のシーンを撮っていてもフラッシュバックとかでそのシーンが出てきて、薫自身も思い出して、僕自身もやりながらそのシーンを思い出すんです。後悔じゃないですけど、あの時冷たい態度を最後にお母さんに取っていて、自分も今、リアルに高校生で現実でもお母さんに冷たい対応をしてしまうことがあるんです。お母さんがいるというのが当たり前ではなくて、もしかしたらほんとに明日いなくなるかもしれないし、自分の周りにいる人をもっと大切にしなきゃなぁ、と思ったシーンでした。

<10話まで演じ終えて、今の気持ち>
中村:いろんな感情の波がある役を演られて良かったですし、僕も羽仁男に対して変わってほしいと思いながら演じていたんで、羽仁男がちゃんと気づいて変われたっていうのは良かったですね。中盤ぐらいまでは「死にたい」という気持ちはずっと一緒なんですけど、だんだんそれが揺れて、最後は人間らしいところも出せたし。羽仁男は特に何も理由もなく中身が全然ないという人間だったんで、だんだん内面が出て人間らしくなって、半径5メートルくらいの距離感の人たちを大切にできるようになったし、足元を見られるようになったし……。ホッとしているし、やりごたえはとてもあったかな、という感じですね。

前田:羽仁男が変わってくれてよかったな、というのが一番ですかね。しかも、薫の中でモヤモヤがある中で、羽仁男だけが変わるんじゃなくて、羽仁男の喜怒哀楽や揺らぎを共有しつつ、2人ともが乗り越えて人間らしい人になれた。薫もちゃんと心の底から羽仁男のことを理解して“人として好き”と思えるようになったので、なんかすがすがしいというか、本当に良かったなぁ、という気持ちですね。

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