故・大杉漣さんが「出会うべき作品だった」と語ったドラマを再放送

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先月21日に急性心不全のため急逝した大杉漣さんが主演を務めたドラマ『青春の名曲ストーリー 赤いスイートピー 神田川』が、BSジャパンにて3月4日(日)19時から再放送されることがわかった。

本作は、2016年3月12日にBSジャパン開局15周年特別企画として放送されたもので、「赤いスイートピー」(出演:浅野温子、桜庭ななみ)と「神田川」(出演:大杉漣、前田亜季)の2つのエピソードから構成されたオムニバスドラマだ。

「神田川」は、定年退職後の主人公が、映画製作の夢を追い続ける息子の同棲相手が自分自身の大学時代の恋人に瓜二つだったことから、漫画家になる夢を追いかけていた自分の青春時代も思い出す、という内容。大杉さんはクランクアップ時に「演じた役は、43年前の僕自身を投影した人物で、俳優として“出合うべき作品”だった、とコメントしている。

大杉さんのコメント全文を以下にて紹介する。

主人公・和雄は、43年前の僕自身の姿だったのかもしれません。当時、僕は吉祥寺のアパートである女性(妻)と暮らし始めました。演劇の世界に足を踏み入れ、俳優を志した時代でもありました。もちろん経済的には恵まれていなかったのですが、俳優になろうとした夢は、“生きるチカラ”だったのかもしれません。名曲「神田川」が描く世界や情景を自分自身の姿だと感じた者は、僕だけではなかったはずです。今回のドラマ「神田川」は、多少の大袈裟を許していただけるなら、俳優として“出合うべき作品”だったと感じています。根岸和雄は、ぼく自身の"昭和"を投影した人物でもあるのです。

和雄は、特別な人間ではありません。どこにでもいるであろう65歳の男です。定年退職後、何をすればいいのか惑っています。僕の実感を言えば、普通である人間を演ずることが一番難しいと感じているのです。演ずることで心掛けたことは、等身大の65歳の男の姿です。そこにリアルを感じていただければと願っています。あと細かいことですが、星田監督と相談させていただき、今回は老眼鏡以外、眼鏡なし! になりました。これは大杉にとっては珍しいことであると同時に新鮮でもありました。

見どころは、もちろん最初から最後までです(笑) 名曲「神田川」は、今から43年前の作品です。それをモチーフとしたドラマですが、決して懐古的なものではありません。むしろ“今を描いた”ものになっています。生きていくという普遍的なテーマは、若者だけではなく老いゆく者にもあるのです。ドラマ「神田川」は、ささやかな人生の新たな一歩を踏み出した者たちが、再生する姿を描いています。老若男女ひとりでも多くの方に観ていただきたいと願っています。

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