加藤一二三、知るべきは“外国人の精神構造”根本的な違いをアドバイス

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“ひふみん”の愛称で親しまれている元プロ棋士の加藤一二三が、テレビ東京で11月5日に放送されるサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京、毎週日曜11:00~)にゲスト出演。番組MCの勝村政信皆藤愛子、番組アナリストの都並敏史と共に、“将棋とサッカーの共通点”や“勝負に勝つ条件”を語り合った。

今年6月、62年10か月もの長きにわたるプロ棋士人生に幕を下ろした加藤。“最高齢勝利”“最高齢対局数”といった歴代1位の記録や、“1分将棋の神様”“神武以来の天才”などの異名を持つ、まさに将棋界のレジェンドだ。

そんな加藤だが、これまでに何度かトヨタカップの観戦に足を運び、ヨーロッパを中心にサッカー情報をチェックしているサッカー好き。レアル・マドリードの2~3本のパスをつないでゴールをゲットするスタイルはとても手堅く、将棋でいえば“矢倉”のような戦い方と表現するなど、棋士ならではのサッカー観を持っている。

番組で加藤は、数々の大勝負に挑んできた経験を元に、日本サッカーが世界と戦うためのヒントを提言。42歳で名人となったことを振り返りながら、「いつもの自分の力が9だとするならば、大きな勝負の際に10か11の力を発揮できた時にトップに立てる」と語り、「将棋もそうだけど、面白くて楽しくて奥が深い。たぶんサッカーも同じで、選手がつまらないと思ってプレーするわけがないですよ。感動を覚えてワクワクしながら戦っていて、その中で冴えたプレーができた時に勝てているはず」と、大事な局面でいつも以上のパフォーマンスを発揮できないとトップに立つことは難しいと述べた。

そして都並は「対戦前に行った相手の分析結果を、対局中は気にするのか? 自分のスタイルを貫くのか?」と質問。すると加藤は「スタートの段階はお互いに研究していますが、30手くらい進むと、そこからはお互いのミスを突く戦いになり、未知の世界になる」と回答。もし、最善の手が見つからなかった時は、故・大山康晴名人の「対戦相手が嫌がる手を選ぶ」という言葉を思い出していたと明かした。

一方で加藤は、どのような時に負けてしまったかを振り返り、「状況が有利だと思って、少し緩やかな戦い方をして決めそこなって負けることが圧倒的に多かった」と告白。これはサッカーで危険なスコアと言われる“2-0”の状況と同じで、「本当はギリギリのプレーをして3点目を取りに行けば良いのだけど、有利だし、緩やかに行こうとしているうちに相手が息を吹き返して負けてしまう」と、棋士とサッカー選手が共通して陥りがちな心理状態だと分析した。

さらに、勝負を分ける大きなポイントに“メンタル”をあげ、そこには“宗教”が大きく影響していると述べ、「宗教を持っている人の特徴に“吹っ切りの良さ”があります。ミスをしても引きずらないですし、人生は何があってもおかしくないと思っている。自分たちが戦う相手はそういう精神構造を持っているということを知るのが大事」と提案。カトリック教徒だという加藤自身も「15歳でプロになって以来、どんな人とあたることになっても難敵だなと思ったことは1回もありません」と心理状態の違いを説明した。

番組の最後、勝村に「日本はワールドカップで勝てそうですか?」と聞かれると、「僕も応援していますが、優勝を目指して全員一致で勝利に向かって頑張りましょう」とエールを送っていた。

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