日本を震撼させた「北九州監禁殺人事件」「尼崎事件」…容疑者の心理とは

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ノンフィクション作家の小野一光が、3月7日に放送された『わざわざ言うテレビ』(テレビ大阪、毎週火曜24:12~)に出演。かつて日本を騒がせた「尼崎事件」と「北九州監禁殺人事件」について語った。

戦争から風俗、震災までありとあらゆる現場に飛び込み、数カ月かけて取材。さらに、数々の猟奇殺人事件も、加害者と被害者に直接取材を敢行し、今の日本の歪んだ一面をリアルに切り取り続けている小野。事件を起こした人間がどんな生活をしていたのか、それを知ると事件の本質が見えてくるとのこと。中でも印象深かったのが、洗脳した人間たちを暴行した後、次々と殺した「尼崎事件」だと言う。

被告の角田美代子について、小野は「僕が思うには、容疑者は洗脳する相手を選ぶのに長けていた」と話し、「目的はまずお金。それプラス、自分自身のファミリーを作るという点があったと思います。彼女は血縁というものをあまり信用していない。血縁で出来ているファミリーは、本当のファミリーじゃないという考え方をしているんです。それで、養子縁組によって家族というものを作っていって、その頂点に君臨していた」と明かした。

また、MCのメッセンジャー・黒田有が「なぜ被害者は逃げなかったのか」と質問すると「巧みに逃げられないような状況を作っていた。子どもたちを手懐けておいて、側に置いて人質にすることによって、大人たちを逃げられないようにしていた。そして、いくら逃げても追いかけて見つけ出す。そして見つけ出されたら大変な目に合うと知っているから、その恐怖から逃げ出すことができない。虐待する人物を常に一人置いて、それ(虐待)を見せつけることによって“こんな風になりたくなかったら従順にしろ”という」と説明した。

そして、「尼崎事件」に似た事件、主犯の男が内縁の妻とその家族を洗脳し、お互いを殺し合わせた「北九州監禁殺人事件」では、小野は事件の犯人・松永太に直接会い、取材を行った。

松永について、小野は「すごく明るいんですよ。(面会時に)“先生! 本日はわざわざありがとうございます。今、裁判はひどいことになっています。全部僕のせいにしようとしている。先生はそんなこと絶対にないですよね?”と言われた。その松永の怖いと思ったところは、最初は“先生”だったのに、次に会った時は“小野さん”。次は“一光さん”と呼んできた。“どんどん私たちの距離は近くなっていくでしょ?”ということを演出し、相手に好意を持たせることに長けていた」と語り「もしも塀のない場所で会っていたら、どうなるだろう」と、人柄について話した。

また、ノンフィクション作家という仕事柄、加害者側からも「余計なこと書きやがって」と恨まれたことがあると言い、「無期懲役囚が“自分は冤罪だ”と、奥さんを通じて自身が裁判所に提出している資料を持ってきた。それを読んで調べてみた限り、どうも彼は関わっている。だから“僕は協力できそうにありません”と言ったのに、毎年年賀状を送って来られる。圧力ですね」と明かしていた。

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