“リアルキャプテン翼”の南葛SCが描くサッカーの未来!「ボールはともだち」がチーム哲学

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3月19日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)は、元日本代表の稲本潤一今野泰幸らが新たに加入した南葛SCを特集。GMを務める岩本義弘をゲストに招き、クラブの経営戦略を紐解いていった。

岩本義弘
岩本義弘

東京の葛飾を本拠地とする南葛SCのオーナーは、人気サッカー漫画「キャプテン翼」の作者・高橋陽一。葛飾で生まれ育ち、今も地元で作品を描き続けている高橋は、Jリーグを目指す地元クラブの存在を知り、最初は後援会長として関わることになったという。

地元クラブをより盛り上げるために、チーム名も漫画と同じ「南葛SC」に改称することを提案。「キャプテン翼」の舞台は静岡だが、実は主人公の大空翼が所属する南葛SCは、高橋の母校・南葛飾高校が由来となっている。

2019年にはオーナーに就任し、運営にも携わることになった高橋は、サッカー専門誌「サッカーキング」の元編集長・岩本をGMに抜擢。スタジオに登場した岩本は「高橋先生は40年間ずっとこの葛飾でやっていて、葛飾の人も“キャプテン翼”の街だと認識している。(クラブが)ニュースにも取り上げられたりすることによって、葛飾の人たちの期待も感じるようになりました」と、注目度が高まっていることを伝えた。

しかし、話題性はあるものの、南葛SCはあくまでアマチュアクラブで、カテゴリはJFLより下の関東リーグ1部。「キャプテン翼」の知名度と資金力があれば、Jリーグに参入することもできたはず。この疑問に対し、岩本は「上のリーグに上がっていくプロセスをサポーターや葛飾の人たちと一緒に味わったほうがむちゃくちゃ盛り上がるじゃないですか」と説明。この考えには、番組MCの勝村政信も「まさに翼くんみたいに、子どもから成長していくということ」と納得していた。

下町のサポーターたちと綴る“リアルキャプテン翼物語”は、着々と進行中。クラブは、一昨年から2年連続でリーグ昇格を果たし、今シーズンからは稲本や今野ら、『ワールドカップ』の出場経験もあるレジェンドたちも加入。夢を現実のものにしようとしている。

南葛SCのチーム哲学は「キャプテン翼」の名ゼリフ「ボールはともだち」。岩本は、その真意について、「普通、Jリーグを目指しているクラブは、守備を固めて、前に強力な選手を置くんですけど、うちは圧倒的にポゼッションでやろうと、高橋先生がこだわっているので」と話す。

ボールキープを重要視するポゼッションサッカーが南葛SCのスタイル。必然的に、このチーム哲学に沿った技術力の高い選手が揃う。J3のSC相模原から南葛SCに移籍した稲本は「しっかり上を目指そうというチームですし、これからすごく大きくなっていく要素がたくさんあるチーム」と評し、「(『キャプテン翼』が連載されていた)ジャンプを買って読んでいたので、南葛でプレーできて、それをみんなに知ってもらえるのは、すごく誇りに思います」とコメント。

J1のジュビロ磐田から移籍した今野も、「オーバーヘッドとかタイガーショットとか真似したりしました。南葛のユニフォームを来てJ1に行ったらすごく盛り上がると思いますし、想像するだけですごい楽しみなので、そこを目標に頑張っていきたいです」と意気込んだ。

また、選手補強だけに留まらず、「キャプテン翼」の力はスポンサー企業にも波及。下町の企業がクラブとパートナー契約を結ぶことで、名刺やチラシ、ポスターなど、様々な形で「キャプテン翼」のコンテンツを利用できるのだとか。

岩本は、「キャプテン翼」を背負っているからこそ、クラブにも絶対的な安心や信頼が生まれると指摘。だからこそ、健全な組織づくりが重要になってくる。「やっぱりちゃんとした選手を選びがちになりますよね」という岩本の言葉に、解説の福田正博も「知名度があるってことはそういうことですよね。良いことだけじゃなくて、良くないことも話題になるから」と同意していた。

さらに、番組では南葛SCが行っている様々な取り組みも紹介。選手をクラブの社員として採用する「選手社員」や、練習着のスポンサー枠を選手に解放した「選手個別パートナー」などの他に、サポーターがデジタル上の資産「トークン」を購入して、クラブを応援する「クラブトークン」なども導入しているという。

新時代のモデルケースにもなり得る南葛SCの経営戦略。「葛飾にサッカー専用スタジアムができて、Jリーグに辿り着いたら、今まで見たことのない下町の熱狂を見られると思う」と未来の展望を語る岩本に対し、勝村は「どんなふうにサッカーでこの国を盛り上げてくれるのか、本当に楽しみでしょうがないです」と期待を寄せていた。

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