高校サッカーの前回王者・山梨学院の名将が選手を育てる“自分ルール”を公開!

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12月25日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)は、山梨学院高校のサッカー部監督・長谷川大がゲスト出演し、MCの勝村政信や解説の北澤豪らとトークを繰り広げた。

高校時代は秋田商業で2度の全国大会を経験した長谷川は、指導者としても母校を指揮。2014年からは大学サッカーに携わり、神奈川大学では現在日本代表として活躍中の伊東純也も指導している。その後、2019年から山梨学院の監督に就任。再び活躍の場を高校サッカーに移し、わずか2年で全国制覇を成し遂げた。

山梨学院を全国優勝に導いた名将は、今年も県大会を制して全国大会出場を決めている。11月に行われた山梨県大会の決勝では、韮崎高校を相手に白熱の攻防戦を展開。最後はPK戦で全国への切符を掴み取った。12月28日に開幕する全国大会で連覇を狙う山梨学院は、長谷川の指導によってさらなる強豪校に。番組では、脅威の勝負強さを生み出す名将の4つの“自分ルール”を掘り下げていった。

長谷川大
長谷川大

最初の“自分ルール”は「イヤホンが必需品」というもの。試合中は常に身につけており、長谷川のトレードマークにもなっているイヤホン。実は、セットプレー中にスタンドの上からコーチが相手の布陣をチェックして、イヤホンを通して進言しているのだという。長谷川はコーチの情報をもとにベストなセットプレーのパターンを決定。情報戦で相手チームを攻略していた。

北澤は「大会になるとセットプレーの重要性というものが高くなりますから」と指摘。実際、前回大会では山梨学院の全8得点中3点がセットプレーから生まれていた。山梨学院サッカー部のコーチはフットサルの元プロ選手・藤本豊。長谷川は「フットサルのセットプレーをうまく活用してサッカーに落とし込んでいます」と語った。

続いての“自分ルール”は「1年生は冬から」。山梨学院では、チーム練習に1年生を加えることなく、1年生単独でトレーニングをさせているという。長谷川は、1年生を上級生たちのチームに入れない理由について、「可能性があるからと上にいかせてしまうと、先輩やチームに合わせてミスをしないようにしようという考えが出てきて、突き抜ける個人にならなかったりすることもある」と解説。可能性を見つけて、伸びるまでの時間を確保するために、1年生は冬まで合流させないのだという。

前回大会でも他校は1年生をベンチ入りさせているのに対し、山梨学院はゼロ。1年生を大事に育てるという方針に、北澤も「15~16歳で自分の可能性がわからない人って多いですからね」と納得していた。冬に上級生と合流するまでの期間、1年生が行うのは“強み”を見つけること。長谷川は「自分が得意と思っているだけで相手にとっては何の脅威になっていないというのであれば、それは得意なだけで強みではない」と断言。それぞれの強みを見つけるためには「成功や失敗を与えないといけない」とし、「3年生になったときには、その強みを組み合わせながらチームの強みにしていく」とプランを明かした。

チームのキャプテン・谷口航大も1年生の時に自分の強みを見つけた選手の一人。入学時は攻撃力が自慢のサイドアタッカーだったが、守備力の高さに気づいてからはボランチへコンバートしている。長谷川は「入ってきたときの技術やレベルで比べず、到達度で青写真を変えていかなければいけない」と持論を展開。これには勝村も、北海道日本ハムファイターズの監督を務める“ビッグボス”こと新庄剛志を例に出し、「内野の選手を外野で練習させたりとか、ああいうことって誰もやってこなかったじゃないですか。同じような感覚を良い監督というのは持っている」と褒め称えた。

続いての“自分ルール”は「戦術と戦略を掛け合わせる」。長谷川は戦術と戦略の違いについて「戦術というのは自分たち中心の考え方。戦略というのは、相手の引き出しの中から持っている武器を取り上げるという感覚。相手が出そうとしている戦術という武器を取り上げることを考えていくのが戦略」と説明する。前回大会の決勝では、まさに相手の“戦術”を取り上げる“戦略”が見事に的中。対戦相手だった青森山田高校のキャプテンでありセンターバックの藤原優大をマンマークすることで、ロングパスという青森山田のストロングポイントを封じ込めた。

さらに、ディフェンスの選手へのマンマークがボールを奪った際のカウンターの起点になることもあるという。長谷川は「相手のいいところを消しながら、自分たちのいいところが出せる」と、戦術と戦略を掛け合わせることの有効性を説いた。

そして最後の“自分ルール”は、なんと戦国武将から。「目指すは武田信玄」というルールに、勝村や北澤もあっけにとられてしまう。長谷川が目指すサッカーに必要なのは、意図的に攻守の切り替えを行うトランジションコントロール。武田軍の軍旗にも書かれている「風林火山」は、まさにトランジション=切り替えを体現しているのだという。

長谷川は選手が意図的に攻守の切り替えを行えるように、攻撃の場面をうまく作りながら、3~4局面が連続して発生するようなトレーニングを実施。実は、この練習方法は元日本代表監督のイビチャ・オシムが行っていた練習をヒントにしたという。練習を重ね、圧倒的な強さを備えた山梨学院。長谷川は全国大会に向けて「優勝したいという思いはどのチームもあると思うんですけど」と前置きしつつ、「まずそこで戦うにふさわしいチームになりたいというのが一番思っているところで、そのために頑張りたいと思います」と意気込んだ。

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