女子サッカー選手も絶賛の画期的な“生理用品”に秘められた可能性

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9月18日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)では、女性アスリートの“生理”をテーマにトークが展開。ゲストに、なでしこリーグ1部のスフィーダ世田谷FCに所属する下山田志帆と、イタリアでのプレー経験もある元女子サッカー選手の内山穂南を迎え、女性アスリートの悩みを解消する画期的な新商品や、男性にも理解を深めてもらうための取り組みなどを紹介した。

番組MCの勝村政信が「よくぞ踏み込みましたね」と言葉に力を込めた今回は、女性アスリートを悩ませる生理がテーマ。東京オリンピックにおけるアスリートの参加比率は男性51%、女性49%とほぼ均等。初めてジェンダーバランスのとれた大会となった。しかし、日本では、まだまだ女性アスリートを取り巻く環境の整備が追いついておらず、特に生理に関しては男性の理解も進んでいないのが現状。生理の症状にはかなりの個人差があり、生理痛や倦怠感の他、精神的な不安を抱えながらプレーをしている選手も多い。

東明有美
東明有美

ゲストの下山田は「競技中に生理が来ている状態でプレーをするっていうのが、すごく自分たちにとっては苦痛でしたし、個人的には生理用品にすごく悩んできた」と告白。アナリストで、女子サッカー界の黎明期を支えた元女子サッカー日本代表の東明有美も自身の現役時代を振り返り、「監督もスタッフも男性が多いので、悩みを誰に打ち明けたらいいかわからなかった」と語った。

そんな女性アスリートの悩みを解決するために、下山田と内山が開発したのが、速乾性と吸収性に優れた「吸収型ボクサーパンツ OPT」という新商品。下山田は「生理用品の心理的な悩みや機能面の悩みを感じてきたので、そういうものをまるっと解決できるパンツがあったらいいな」と、開発のきっかけについて説明した。

OPTは、ショーツ自体が4層構造で液体を吸収。アスリートレベルでも満足できる機能性を備えており、大きく足を伸ばしたり、ダイナミックな動きをしたりしても、それに合わせて生地が伸びてくれるのだそう。実際にOPTを使用している女子サッカー選手は、その使用感を絶賛。日テレ・東京ヴェルディベレーザの植木理子は「ズレる心配もなく、しっかりフィットしているので、生理中だということをサッカー中に忘れられる」と語り、府中アスレティックFCの藤田実桜は「カッコよく気合の入るものを履きたいなと思うので、そういう部分でも気に入っている」とデザインを評価した。

OPTには、その名の通り、「選択する」という意味も込められており、下山田は「自分の心と体に合ったものを選ぶことができるというのを、OPTを通して示していきたいですし、そういった自分に合った選択ができるようなスポーツ界であるべきだと思います」と主張した。

また、海外チームでのプレー経験のある下山田と内山は、海外と日本の環境の違いもOPTを開発する一因になったと説明。内山は「イタリアに渡って、生理に限らず自分の体に関することをオープンに話す環境が整っているというか、それが当たり前になっているという感覚がありました」と話し、下山田も「自分の体は大切にしようっていう考え方を一人ひとりが持っているんだなと感じました」と同調した。

実際に、イングランドのチェルシー・ウィメンでは、選手の同意を得た上で、アプリを使って月経周期をチーム内で共有。世界で初めて、月経周期に合わせた練習メニューを立てているという。東明は「チームに対する信頼度とか、コミットメントが高まると思う」と、この取り組みがもたらすメリットにも言及。「チームビルディングにも役立つんじゃないかと思いました」と付け加えた。

下山田志帆、内山穂南、東明有美
下山田志帆、内山穂南、東明有美

さらに、番組では下山田と内山と東明が女性アスリートの悩みに答えるコーナーを実施。「大事な試合と生理が重なったらどうすればいい?」という質問に、痛み止めや低用量ピルの使用を提案する下山田に対し、内山は「私の場合特殊で、自分で生理をコントロールできるっていう特殊な能力を備えていまして」と打ち明けて出演者を驚かせる。現役時代は大事な試合が近づくと、生理が来ないように念じていたそうで、実際に試合と生理の時期をズラすことができたという。

他にも、番組では生理にまつわる深刻な問題もピックアップ。下山田も経験したことがあるという無月経は、生理が3か月以上ない状態のことで、運動量に見合った食事が取れておらず、体がエネルギー不足の状態になると起こってしまう。無月経は体が極限状態にあるサインで、疲労骨折のリスクが高まる他、骨粗しょう症や低骨量を抱えたまま生活しなければならない可能性もあるという。

そんな無月経を含む月経不順を解消するために、独自の取り組みを行っているのが、クイーンズ駅伝で連覇を果たしたこともある強豪のパナソニック女子陸上競技部だった。パナソニックでは、バランスの摂れた食事と休息を徹底することで、練習で破壊された筋肉を修復。エネルギー不足による無月経を防いでいる。さらに、選手は月経の有無も含めて日誌に記入して提出することで、男性指導者にも躊躇することなく体の状態を報告。チーム側は、日誌によって選手の体の細かな変化を把握し、未然にトラブルを防いでいる。

スタジオでは下山田が「男性指導者に話しづらいのはしょうがない」と理解を示し、「直接的に情報が届かなくても、間接的に情報が届く仕組みづくりが必要かなと思います」とコメント。最後は勝村がスポーツに携わる全員の相互理解が必要だと強調し、「お二人が開発したパンツはものすごい可能性を秘めていますね」と期待を寄せていた。

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