アザラシなのに海に棲まない
ロシアのシベリアにある世界遺産「バイカル湖」は、世界で最も古く、最も深い湖。この場所には、世界でここにしか生息していない動物「バイカルアザラシ」がいます。

一般的にアザラシは、海で暮らす動物。淡水である湖で暮らすのは、バイカルアザラシだけです。
現在の生息数は、10万頭ほど。小さな水音にも敏感に反応し水中に姿を隠してしまうほど、警戒心がとても強い動物です。
バイカル湖にアザラシがいる理由
およそ40万年前、バイカル湖に近い北極海は、現在よりも内陸に入り込んでいました。そのため、アザラシは海から川を伝って湖にやってきました。
しかしその後、長い年月を経てバイカル湖が海から遠ざかったことから、アザラシたちは湖に閉じ込められてしまい、現在に至ります。

かつて北極海で暮らしていた名残から、バイカルアザラシは湖が全面凍結する2~4月の間、出産・子育ての時期を迎えます。

ちなみに子育ては、ひび割れて積み重なった氷の下に巣穴を掘って行います。巣穴からはバイカルアザラシの赤ちゃんが姿を現すことも。
いくつもの“世界一”を持つ湖
冬には全面凍結をするバイカル湖ですが、“シベリアの青い真珠”とも謳われ、世界一の透明度を誇る湖でもあります。

それを支えるのは、水中に岩場に群生する「カイメン」という原始的な動物。
一見、海藻のようにも見えますが、植物ではありません。“スポンジ”とも呼ばれており、汚れた水を体内に取り込みキレイにします。

わずか2平方センチの大きさで、1日20リットルの水を浄化することができます。
湖にはほかにも、1000種以上の生き物が生息。そのおよそ7割がこの場所だけの固有種です。
「バイカル湖」は世界で最も古く、多様な淡水生物が住む湖として、1996年 世界遺産に登録されました。シベリアの巨大な湖には、いくつもの“世界一”と不思議な魅力が存在しています。
8/23(日) の『世界遺産』
世界遺産
日曜よる6:00~