TBSで放送中の小栗旬主演の日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』(毎週日曜よる9時放送)。小松左京による不朽の名作「日本沈没」この原作に大きくアレンジを加えてお届けする今作は、2023年の東京が舞台。「見出していく希望」をテーマに主人公を含めオリジナルキャラクターが、沈没という目に見えない危機に立ち向かっていく姿を描く。第1話では原作唯一の登場人物で、関東沈没説を訴える田所博士(香川照之)の予想通りに日之島が沈没し、天海(小栗)たちが騒然とした。気になる第2話の放送前にここでは作品の要となる関東沈没説についておさらい。今作で地震学監修を務める山岡耕春氏に話を聞き、実際に起きる可能性なども聞いた。

――今回の田所博士が唱える関東沈没の仕組みを教えてください。

関東地方は現実世界においても太平洋プレートとフィリピン海プレートという二つのプレートが、関東地方が乗っかっている北米プレートの下に沈み込んでいる世界にも稀にみる複雑な場所です。ドラマではその場所が非常に不安定であるという前提を加えています。さらに温暖化によって海水面が上昇することで、海底への力のかかり具合が変わってプレートが急激に沈み込み、関東地方が海に引きずり込まれて沈没するという設定になっています。つまり、いつ沈没が起きてもおかしくない状態だった関東地方に、温暖化による海水面の上昇が沈没の一押しをしたこと。さらにCOMS<コムス>が拍車をかけたというのが田所博士の唱えた関東沈没説です。

日本沈没日本沈没

※関東地方のプレート構造

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※日本列島付近のプレート

日本沈没は実際に起こりえない!

――ズバリこの設定は現実的なものなのでしょうか?

非現実的です。日本が沈没するには実際には何百万年、何千万年かかります。日本列島に起きた最も新しい大変動はユーラシア大陸から日本列島が離れてきて今の場所に移動したものですが、その変動ですら500万年ほどかかっているわけです。なので人間が体感できるような急激な沈没はあり得ません。
そもそも沈没と温暖化を結びつけるのが難しいことなんです。「地球温暖化を沈没の原因としたい」と最初に相談をいただいたときは、頭を抱えました。私たち専門家の常識として、気候変動と地震活動は基本的には関係ないとされてきましたから。しかし、気温変化が地下の力のかかり具合に変動を与えているらしいという研究も最近出てきたので、長期的に気温が上昇していくと地震活動に影響を与える可能性もなくはないのかなとも思ったりします。ただ、量的には少なく、影響も非常に小さいと思います。

――劇中に出てくる「スロースリップ」とは実際の現象です。

「スロースリップ」は地震を伴わないプレート境界で起こる断層滑りのこと。1週間かけて1センチ動くくらいのスピードなので、人体には全く感じませんし高性能の観測装置で計測して初めてわかる現象です。20世紀にはほとんど捉えられていませんでしたが、たくさんの地震計を置いて、日本列島の地殻変動を人工衛星の電波を使って調べるようになって初めて発見された現象です。スロースリップ自体は地震の引き金になる可能性がありますが、沈没に結びつくことは現実にはありません。地震も沈没も海底プレートの沈み込みが関係しているのでスロースリップ現象を取り入れました。

日本沈没日本沈没

※赤い部分がスロースリップ現象の起きている部分。

日之島が沈んだ仕組みとは?

――第1話の最後に日之島が沈みましたが、仕組みを教えてください。

日之島は位置的には伊豆大島周辺に設定しました。実際に伊豆大島あたりはプレートの折れ曲がりの大きい場所に相当し、フィリピン海プレートが北米プレートの下に沈み込む海溝付近に位置しています。いろいろ議論したのですが、設定上、沈没が始まるならばその地点からだろうと。日之島の沈没はこれから始まる大現象の予兆でしかありません。大きな土砂崩れの前に石が転がってくるようなイメージでしょうか。ここからどうなっていくのか、見守っていただければと思います。

【山岡耕春プロフィール】
名古屋大学大学院環境学研究科・地震火山研究センター教授。地震予知連絡会会長。専門は地震学と火山学。2006年に公開された映画「日本沈没」に科学監修として参加した。著書に「南海トラフ地震」(2016年)、「Q&A日本は沈む? 地震・火山と防災」(2007年)。

■番組概要
〔タイトル〕

日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』
〔放送日時〕
毎週日曜よる9時~
※第2話は15分拡大

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