子どもの頃に海や砂場で、砂の城を作った方もいるのではないでしょうか。それとは比べ物にならないほど巨大な「砂で出来た城」が世界にはありました。
砂漠にそびえる巨大な城
砂で作られた城があるのは、インド・ラジャスターン州の大砂漠にあるオアシス。この場所で高さ100mの丘に立つ城「ジャイサルメール」がその正体です。
12世紀、マハラジャ(王様)の一人によって建築され、シルクロード交易の中継地点でもありました。当時、地方ごとに君臨していたマハラジャは、地形や風土を利用した独自の城を築いたそうです。
ジャイサルメールは日を浴びて金色に輝いて見えることから“ゴールデンシティ”とも呼ばれ、広さは東京ドームおよそ二つ分。
城内は路地が細く、建物が密集して迷路のようですが、現在でも約2,500人が暮らしています。
しかし建物の複雑な造形を見ると、とても砂で出来ているようには思えないのですが…どんな秘密があるのでしょうか?
材料に使われたのは、ただの砂ではない?
その答えは、建物の材料に使われている“砂岩”にありました。
砂が固まってできた砂岩は、削りやすく加工に適しているそうです。
今も装飾技術を引き継ぐ工房では、その岩の板に細工を行うそうです。
また、ジャイサルメールが金色に映る理由も、砂岩に関係しています。砂岩にある砂の成分が光を反射し、輝いて見えるのです。
王宮にはマハラジャのダンスホール
ジャイサルメールには王宮があり、当時そこにはマハラジャが住んでいました。
王宮も砂岩で作られているため、基本は砂の色ですが、中には異なる色彩のところも。
モノクロの床が目につくこの場所は、言うなれば“ダンスホール”のような場所。
音楽が奏でられ、女性たちは踊りを踊っていたそうです。こうした装飾タイルは、マハラジャが持つ富の片鱗でもありました。
オアシスに築かれた「砂で出来た城」。
かつてのマハラジャの夢の跡は、今もゴールデンシティとして大砂漠にそびえています。
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