錦戸亮&満島ひかり演じる教師の言葉が胸に刺さる!『ごめんね青春!』はTVerで配信中

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7月9日スタートのTBS系金曜ドラマ『#家族募集します』(毎週金曜22:00~)の放送を記念して、主演を務める重岡大毅(ジャニーズWEST)の出演作品『ごめんね青春!』(TBS系、2014年)が、民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」にて期間限定で配信されている。

学校を舞台にしたテレビドラマのジャンルである「学園ドラマ」。それはそのまま「青春」という2文字に直結し、時に甘美に、時にほろ苦く私たちの胸を締め付けてくれる。アイドルや若手俳優の登竜門として機能している教室。そして熱血漢の教師。そこは全学生の憧れの場所だった。クラスにあの生徒が、あの先生がいたらどんなに楽しいだろう。

しかし、近年学園ドラマの舞台となる学校は、いじめ、スクールカースト、モンスターペアレント……と問題だらけの巣窟、鬼の住処と化している。平和な教室ってもうないんだろうか。そんな時に思い出してほしいのが、宮藤官九郎が脚本を担当した『ごめんね青春!』だ。

このドラマは、いじめや不登校など、学校の闇は一切なし。閉塞感を漂わせることなく、ただ単純に明るく楽しい「学園ドラマ」になっている。教室も同調圧力に支配されることなく、他者の違いを認め合い尊重し合える場所(本来教室はそうあるべき……)として描いているのだ。

テーマはもちろん「青春」。夢や希望が見つけづらいこの時代に青春を謳われても……と思うかもしれない。しかし、青春はきっと、生きる上での糧になる。実はそんな大したことはなかったのに、「あの時は良かった」と美化される思い出が「青春」なのだから。

物語は、仲の悪い男子校(通称:東高)と女子校(通称:三女)が合併に向け、試験的に実施した共学クラスが舞台。共学クラスは2つあり、ひとつは物語の主人公である原平助(錦戸亮)が担任をするクラスで、もうひとつは蜂矢りさ(満島ひかり)が担任をするクラス。共学クラスが設けられた当初は男女の対立が激しかったが、さまざまな交流を通して打ち解けていく。両校合同の文化祭が最大のクライマックスなのだが、そこへ盛り上がりはまさに理想的な青春の姿だと思う。

錦戸、満島を取り巻く共演者に、斉藤由貴えなりかずき森下愛子坂井真紀生瀬勝久風間杜夫永山絢斗波瑠ら多彩な顔ぶれが集結しているほか、共学クラスの生徒たちもすごい。重岡のほか、トリンドル玲奈川栄李奈黒島結菜白洲迅小関裕太矢本悠馬竜星涼森川葵と、今や第一線で活躍中の俳優がズラリ。やはり学園ドラマは明日のスターを探す楽しさもある(その後このキャストから3人も朝ドラヒロインが誕生する)。

さらに、からくり人形、コスメ、クイズバカ……生徒たちに付けられたあだ名からも分かるように、それぞれキャラが立っている。本来この個性的なキャラたちを捌き切るだけで大変なのに、そこに複雑な人間関係が絡んでくるのだ。回を追うごとに相関図のやじるしがぐちゃぐちゃになっていくにも関わらず、スピード感ある演出のおかげでそれを苦に思わせないのはさすがクドカン脚本(その都度説明が入る優しさもありがたい)。生徒たちの入れ組む恋愛模様にも注目だ。

物語の主軸は主人公・原先生の過去の清算。だからこそ原先生は自分が素通りした青春を、生徒たちにやり尽くしてほしいと願っている。教師と生徒の成長を描くこの感じ……ここは金八フォーマットを受け継ぎながらも、青春のきめらきだけを詰め込んだ理想郷だ。学園ドラマは生徒たちの青春物語であると同時に、視聴者が青春の気持ちを取り戻すドラマでもあるのだなと、学生時代を終えてから改めて見るとしじみじ思う。

特に注目なのは第5話で「腑に落ちない」と言う生徒に向かって蜂矢先生が、「腑に落ちないくらい我慢しなさい! 青春なんだから!」というパワーワードを放つシーン。この台詞を受けて原先生が「大人になって思い出すのは、腑に落ちないことばかりです。だって、腑に落ちたら忘れちゃうんだもの」と言う。そうか、腑に落ちないことだらけだったから青春はずっと心に残っているのか。だからこそ、大人になってからも青春の記憶は残り続けてしまうのか。

青春はいきなり始まりあっという間に終わるが、死ぬまで思い出して楽しめるすばらしい期間。まぁ実際の学生時代はもっと泥臭くてヒリヒリしていたように思うが、現実よりも「こうであったかもしれない(こうでありたかった)輝かしい青春」を追体験できるのが本作の魅力だと思う。

また、劇中ラジオ番組 『カバヤキ三太郎のごめんね青春!』も楽しみのひとつ。リアルにリスナーと電話をつなげる人気コーナー 「ごめんね電話」では、毎回登場人物たちが匿名で懺悔をするのだが、それが物語のポイントになってくる。みんな何かしらの後ろめたさや罪悪感を抱えて生きているもの。ぜひ自分自身の後悔や青春時代を思い出しながらドラマを楽しんでほしい。

なお、TVerでは「これぞTVer!傑作ドラマ特集」と題し、過去に話題となった作品が続々と配信されている。

(文:綿貫大介)

■7月9日放送スタート『#家族募集します』概要

重岡が主演を務め、木村文乃仲野太賀岸井ゆきのが出演し、それぞれに悩みや秘密を抱えるシングルファーザー&マザーたちが、ひとつ屋根の下で子育てをしながら共に過ごし“家族”になっていく姿を描く、新時代のホームドラマ。

ある事情で3か月前にシングルファーザーになったばかりの赤城俊平(重岡)。5歳のひとり息子の子育てに苦戦する中、偶然再会した幼馴染の小山内蒼介(仲野)がお節介な思いつきでSNSに投稿した「#家族募集します」という突飛な募集に巻き込まれてしまう。蒼介は自身が働く古びたお好み焼き屋「にじや」を立て直すため、「にじや」の2階の空き物件で共同生活をして家賃収入を得ようと考えていたのだ。その投稿をきっかけに、ちょっと堅物な小学校教師のシングルマザー・桃田礼(木村)と、夢を追い続ける子持ちシンガーソングライター・横瀬めいく(岸井)と出会い、大人4人+子供3人でひとつ屋根の下で暮らすことになり……。

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