竜星涼、学生役は「求められたらやります」主演ドラマ『都立水商!~令和~』で感じる俳優としての成長とは?

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5月5日からMBSで竜星涼さんが主演を務めるMBS/TBSドラマイズム『都立水商!~令和~』(MBS、毎週日曜24:50~/TBS、毎週火曜25:28~)が放送スタート。原作は、宝積光の小説「都立水商!」(2001年/小学館)。猪熊しのぶ作画で漫画化もされた人気作を、現代の世相と水商売のシステムを反映させた完全オリジナルストーリー&オリジナルキャラクターで実写化した。

水商売のイロハを教える「東京都立水商業高等学校」(通称:水商)を舞台に、水商売の裏側と、濃厚な人間ドラマを描く本作。竜星さんが演じているのは、“先生”の肩書欲しさに教師となり、就職後に水商の実態を知る石綿直樹。『昭和元禄落語心中』(NHK総合、2018年)、『メゾン・ド・ポリス』(TBS系、2019年)と話題作の出演が続く竜星さんに、今作の魅力、そして俳優としての活力について聞いた。

――水商売を目指す高校の先生という役どころ。最初にお話を聞いた時の印象は?

僕、ちょっと前におもしろい先生をやっていたことがありまして……。

――『オトナ高校』(テレビ朝日系、2017年)のペガサス先生ですね!

先生とはいえ、生徒がオトナということで、僕がイメージしていた学園ものとはちょっと違っていて(笑)。今回ようやく理想の学園ドラマの先生がやれると思ったら、水商売を教える学校と聞いて、なかなか普通の学校には入れてもらえないなと(笑)。けれども台本を読んだら、実は生徒と先生が向き合っていく熱い学園ドラマだったんです。なおかつテーマが斬新だし、おもしろいと思いました。

――出演は即決だったということですね。

そうですね、新しいことにまたチャレンジできそうかなと。あとは、意外と直樹のようにノーマルな人間の役はやっていないというところもあって、逆にやりたいと思いました。

――たしかに、キャラクターの濃い役柄が多い印象です。直樹を演じる上で、違いはあるのでしょうか?

今回は、生徒や他の先生たちはキャラが確立されていたので、僕はその人たちを引き立てるぐらいのニュアンスでいいのかなって。主役ということで僕を中心にストーリーが進んでいくので、印象を残そうとすると、それがうるさくなってきてしまう。なので、キャラが濃いと言われているような役とは、またちょっと作り方が違いますね。

――公式サイトでは、“世の中へ挑戦的なメッセージを伝えられればいいなと願っている”とコメントされていました。具体的には、どのようなメッセージになりそうですか?

水商売にはいろんなイメージがあるけれど、ひとつの“仕事”として考えると、そこにはそこのプロがいる。どの仕事であれ、働く人達の熱量は変わらないということが、世の中の人にどう響くかが勝負かなと。「YouTuberになりたい」というのと同じような感覚で、「水商売をやってみたい」と思ってもらえれば、狙い通り。でも、そう思わせる作品ではあるんじゃないかと思います。

――特に、どんなところが見どころでしょうか。

普通の学園ものと同じように、生徒たちは日々悩んで過ごしている。その中で、生徒と同じ目線に立つ直樹が、悪戦苦闘しながら先生として成長していく様は、グッとくる何かがあるんじゃないかと思います。あとは、知らないことが多い“夜の世界”について丁寧に描かれているので、みんなが知りたいことの一歩先を教えてくれる“水商売の教材”のようなところも魅力ですね。「へぇ~、そうなんだ」と、豆知識につながることもあるはずです。

――本当に、今までにないドラマですもんね。

はい。 “今までにない学園もの”というのが、今回のテーマとなっております!(笑)。

――(笑)。では、直樹を演じる上で心がけたことも教えてください。

どれだけ生徒たちのみんなと楽しんで、学んでいけるかですね。直樹は教師を目指していたわけではないので、僕自身も何かを準備するわけでもなく、目の前にいる生徒役のキャストたちと一緒に作品を作っていきました。物語で、直樹は生徒に“先生にしてもらう”ところがあるけれど、役者としても、僕をまたひとつ大人にしてくれたドラマだと思っています。

――生徒役のみなさんとは、たくさんお話されましたか?

撮影のスケジュールが詰まっていたので、ご飯に行く時間もあまりなかったんですよ。でも、自分が生徒役をやっていた頃を思い出して、その時に先生役だった方たちが、どう現場を温めていたかは考えました。先輩たちが残してくれたものを受け継いで、次に繋いでいかなくてはいけないのかなっていう。今回、初めてドラマに出るという子もいたので、少なからず良い思い出として残ってくれればいいなという思いも含めて、差し入れをしたりとか(笑)。

――差し入れ……だいぶわかりやすい手法で (笑)。

あははは(笑)。でも、僕も26歳になって「自分も先生役をやるんだなぁ」って、感慨深くもありますよね。

――ついこの間まで、制服を着ていましたもんね?

広瀬すずさんと同級生役をやっていましたからね(2017年公開の映画『先生!、、、好きになってもいいですか?』)。若干、 僕と広瀬さんが同い年っていうのはどうかなっていうのはありましたけど(笑)。でも、求められたら学生役もやりますよ!

――楽しみにしています! では竜星さん自身が水商に通うとしたら、ホスト科とマネージャー科、どちらを選びますか?

ホスト科ですね。僕、面倒くさがりなんですよ。だから、自分で自分を磨いていくほうがいいなって(笑)。けれど、芸能人がホストをやったからといって、ナンバーワンになれるかと言ったらそうではない世界。きっと僕は、自分が楽しんでやっていくタイプのホストかな。果たしてそれで、指名は入るのかっていう話ですけど(笑)。

――強いて言うなら、ホスト科ということですね。

マネージャーって、“人を持ち上げる”仕事じゃないですか。僕は別に、“人を持ち上げたくない”っていう(笑)。

――極論ですね。人を持ち上げたくない(笑)。

そうそう(笑)。人のために動くのがマネージャーだけど、僕は人のためじゃなくて、自分のために動きたい(笑)。

――なるほど(笑)。でも、その意思でないと、役者という職業は務まらないのかもしれませんね。竜星さんは本当に挑戦的な役柄が多くて、今回もある意味、挑戦的なドラマとなります。そこに挑む活力は何なのでしょう?

新しいことをやるのが、単純に楽しいんです。僕には“これ”というイメージがないので、それを知ろうとしているのかもしれません。でも、イメージがあったらあったで、苦しいと思うんですよ。だから、いろんな役を求められるうちが花というか、チャンスをくれるのであれば、その波に乗っていきたい。そこで新しいことが身に付けば、自分の財産になるじゃないですか。一番素敵なのは「この役者にこういうイメージはないけど、やらせてみたいよね」と、監督やプロデューサーが、転ぶかもしれないことをおもしろがってやってくれること。そういう人と一緒に挑戦していきたいという気持ちが、僕の中では大きいですね。

(取材・文・写真:勝浦阿津希)

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