池田エライザ『ルームロンダリング』映画からのドラマ化に「幸せをかみしめています」

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池田エライザさんが、いわくつきの物件に住み、事故の履歴を帳消しにするアルバイトをしながら幽霊たちのお悩みに向き合っていく主人公・八雲御子を演じ、今年7月に劇場公開された映画『ルームロンダリング』が、この秋、連続ドラマ『ルームロンダリング』(MBS、11月4日スタート、毎週日曜24:50~/TBS、11月6日スタート、毎週火曜25:28~)としてファンの前に帰ってくる。

池田さん演じる御子は、天涯孤独で自分の殻に引きこもりがちなこじらせ女子。ワケありな物件で出会う様々な幽霊たちの悩み相談に振り回されるうちに自身も少しずつ成長していく。

ドラマでは池田さんをはじめ、御子の叔父・雷土悟郎役のオダギリジョーさん、伊藤健太郎さん、渋川清彦さん、そして片桐健滋監督も続投。ドラマから映画という流れは、過去にも多数あるが、映画のヒットにより連続ドラマ化され、しかも設定がそのままというのは、非常に珍しいケースだ。「やりたいと思っていたことが、有言実行できることの幸せをかみしめています」と満面の笑顔を見せた池田さんに、本作の見どころを大いに語っていただいた。

――オリジナル脚本の映画が、連続ドラマになりました。映画撮影時から、連続ドラマの話はあったのでしょうか?

映画の編集をしているとき「ドラマも面白いよね」という思いはみんなのなかにあったようなんです。誰でも自分たちが作った作品が広がっていって欲しいと思いますよね。でも、それが実現することは非常に難しい。こうして現実になったことは、とても幸せです。

――映画の撮影からドラマまではどのぐらい期間が空いたのですか?

映画の撮影が終わってから、1年半ぐらい空きましたね。でもオダギリさんをはじめ、みなさんが役を繋げてくださっていたので、まったくタイムラグを感じない現場でした。

――時間軸的には映画のあとが描かれているのですか?

そうですね。映画で0.5歩進んだ御子ちゃんから始まっています。そこからまた、ふとしたときにヒューっと引っ込んだり、大きく前進したり……。相変わらず御子ちゃんはお化けに振り回されているのですが、しっかり向き合うところがスタートです。

――御子への向き合い方もより深まったのではないでしょうか。

お化けに対しては自分のテンポでお話ができるのですが、急に現われる人に対しては恐怖心があるところなどは、映画より演じていて難しかったです。でも御子ちゃんの「なにができて、なにができないか」を監督と話しながら作り上げていく時間は楽しかったです。

――ドラマ化にあたり、意識した部分はありますか?

カット数が増えて、監督の苦労が増えているんだろうなと感じましたが、それによって芝居が薄くなることもなく、私たちのスタンスはなにも変わっていません。映画と同様、自由に伸び伸びとやらせていただきました。

――やはり監督とキャストが映画と同じというのは大きかったですか?

すごく大きかったです。俳優部の方々も、とても芯があり達者で、作品のことを真剣に考えてくださる方たちばかり。そのなかで、片桐監督も私たちを信頼してくださり、ものづくりの現場としては理想的だなと思いました。

――お忙しい方たちが、またそろったのもすごいですね。

それはすごいことだと思います。みなさんすごくお忙しい方たちばかりですからね。でも関わってくださる方が作品を愛しているのが要因だと思います。こんな素敵な現場だったら、みんな「やるでしょ」って気持ちになると思うんですよね(笑)。

――ドラマ版のゲストも矢本悠馬さん、生駒里奈さん、宇野祥平さんと個性的です。

みなさん素敵でした。矢本くんはすごく忙しいのに、ワンカットワンカット悩みながら丁寧に演じてくださいました。生駒ちゃんは本当に可愛くて(笑)。最初はお互い人見知りで、あまり会話がなかったのですが、だんだん壁がなくなって、最後のほうはキャッキャしていました。生駒ちゃんが涙を流すシーンは、本当にきれいな顔で「どうしよう、可愛い」って(笑)。宇野さんも本当に面白い方でした。すごく一生懸命作品に向き合ってくださっているのが嬉しかったです。

――これまでもたくさん素敵な作品に出演されていますが、池田さんにとって『ルームロンダリング』はどんな位置づけですか?

片桐監督が梅本(竜矢)さんと脚本を構築したところから始まり、その本を素晴らしいという人たちと、作品に出たいという人が集まって映画になりました。それを観て、愛してくれた人が、ドラマへと広げてくれました。観てくださる方の愛情でどんどん大きくなっていく生き物のような感じがしています。個人的なことを言えば、世間で思われているイメージで苦しんでいる私に救いの手を差し伸べてくれた作品でもあります。

――具体的に何に苦しんでいたのですか?

私には御子ちゃんと近い部分がたくさんあるのですが、取材で「根暗なんです」と話すのも違うと思って……。表に出る仕事をしている以上、目立つことは本質的には必要なのですが、でもどこかにはゆったりする部分があるのも嘘じゃない。そんな違和感にフィットしてくれたのが御子ちゃんだったんです。私のそういった部分を見捨てないで大事にできるのが『ルームロンダリング』という作品でした。

――2018年はどんな1年でしたか?

無事に来年に繋げることができた1年かな。まだまだやりたいことはいっぱいあるのですが、今年やったことが来年の糧になってくれたのかなと感じた瞬間がたくさんありました。とても光栄な話をいただいたにも関わらず、スケジュール的に受けられなくて悔しい思いをしたこともありましたが、どこかで私の名前を挙げて面白がってくださる方がいるんだということを忘れずに、今年だけで完結せず、来年まで続けていきたいです。

――少し早いですが来年の目標は?

20歳になったとき、考えることはあったのですが、そこから21歳、22歳と年を重ね、24歳ぐらいまでは自由に伸び伸びとやりたいなと思っていますが、25歳になるとまた悩むだろうなと(笑)。でもそういったことを含めて、現状はとても楽しめているので、このまま丁寧に日々を過ごしていきたいです。周囲から心配されることが多いのですが、私自身は好きなことができているので充実しているんですよ(笑)。

――ドラマではどんなところを観てほしいですか?

「Dear 皆様 from 御子ちゃん」みたいな感じ。御子ちゃんを見て、みなさんの心が動いたり、なにか感じていただけたり、引っかかったり、一緒に焦ったり、悩んだり、嬉しくなったりしてくれたら嬉しいです。この作品に携わっているすべての方が、とても繊細にお仕事をされています。誰も見捨てないし、誰も絶望させない作品です。

――劇中、かなり体を張っているシーンもありますね。

台本に書かれている以上に、いろいろなことをやりました。1話では、養豚場でのシーンがあるのですが、ピンクのつなぎを着て、豚にタックルされたり、羊に頭突きされたり、アヒルに逃げられたり、牛に蹴られそうになりながら撮影しました。毎回体を張っているので、そんな御子ちゃんも観てください!

(取材・文:磯部正和)

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