こじらせ系イケメン職人、電子化の時代に「筆で文字を書くこと」を提唱

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製硯師(せいけんし)の青柳貴史が、1月21日(日)23時20分より放送される『情熱大陸』(MBS/TBS系ネット)に出演する。

誰もが小学生の時に経験した「書道」の時間。近年、その現場にちょっとした異変が起きている。実は現在、多くの小学校で使用されている硯は石ではなく、セラミックやプラスチックで作られており、墨を使わず水で習字できる道具が登場しているのだ。どれも軽くて安価で使いやすいが、製硯師の青柳は「石の硯で墨を擦るときの感触、音、香り、その全てが日本の毛筆文化の基本。何としても次の世代に継承しなくてはならない」と、この流れに警鐘を鳴らす。

「製硯師」とは、オーダーメイドの硯製作から修理・復元までを一手に担ういわば「硯の何でも屋さん」のこと。昭和14年創業の書道用具専門店「宝研堂」の4代目である青柳は、今ではその技術の日本唯一の継承者だ。「こじらせ系イケメン職人」と呼ばれる彼の硯は、美しい彫りや磨きで世界中にファンを持つ。

昨年、青柳のもとにかの文豪 夏目漱石が愛用していた硯と寸分たがわぬ「レプリカ製作」の依頼が舞い込んだ。徹底的な復元のために、同じ材質の石を探そうとその手触り、匂い、味までも確かめて産地を推測する青柳。明治時代の職人技術の研究は勿論、夏目漱石が書いた手紙に登場する硯の描写までも深く読み解こうとする姿はまるで“石のソムリエ”だ。

今回番組では、その硯作りへの徹底したこだわりに密着。さらに、書道発祥の地である中国の硯に負けない良質な国産硯材を求め、山梨や北海道の険しい山々へと足を運ぶ姿も捉えた。電子化、ペーパーレス化の流れが加速する現代日本で、「硯で墨を擦り、筆で文字を書くことによって伝わる思いは、メールの何十倍にもなる。毛筆文化を継承することが、日本人の心を継承することに繋がるはず」と、硯の新たな可能性に懸ける男の姿を追う。

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