TBS佐古忠彦キャスター、初監督の映画『カメジロー』満席続きに感無量

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「筑紫哲也NEWS23」でキャスターを務め、筑紫哲也氏の薫陶を受けた佐古忠彦が初監督に挑戦した映画『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』(TBSテレビ製作/彩プロ配給)が、8月26日より東京・ユーロスペースにて公開。2週目となる現在、満席が続くヒットとなっている。

第54回ギャラクシー賞月間賞を受賞した『報道の魂』に追加取材・再編集を行い映画化した本作は、第二次大戦後、米軍統治下の沖縄で唯一人“弾圧”を恐れず米軍に「NO」と叫んだ沖縄のヒーロー・瀬長亀次郎を描いたドキュメンタリー。民衆の前に立ち、演説会を開けば毎回何万人も集め、人々を熱狂させた亀次郎。彼を恐れた米軍は様々な策略を巡らすが、民衆に支えられて、亀次郎は那覇市長、国会議員と立場を変えながら闘い続けた。その知られざる実像と、信念を貫いた抵抗の人生を、稲嶺元沖縄県知事や亀次郎の次女など関係者の証言を通して浮き彫りにしている。

ユーロスペースにおける2日、3日の2日間の成績は、動員1,048名、興収1,475,950円。2週目に入った土日も3回が満席となり、その他も3回の上映がほぼ満席と、2週目に入っても勢いが衰えない好調な興行を記録している。

また、8月12日より先行公開している沖縄・桜坂劇場、26日から公開の沖縄・宮古島のよしもと南の島パニパニシネマ、28日、29の2日間限定で公開した沖縄・あしびなーホール4館の8月12日から9月3日までの累計成績は、動員13,534名、興収16,870,140円となっている。あしびなーホールでは、2日間だけで動員1,618名、1,932,450円を記録し、大盛況。来週末には、沖縄全体の観客動員累計が10,000,000人を突破する見込みだ。

そんな中、9月2日に、ユーロスペースにて佐古監督と藤井和史エグゼクティブプロデューサーによるティーチイン(討論集会)が行われた。

佐古監督は「初めて映画制作に挑戦しまして、上映後に拍手をいただくなんて、こんなに嬉しいことはありません。本当にありがとうございます」と感無量の様子。

瀬長亀次郎を取り上げたきっかけを聞かれると「日々沖縄の基地問題をお伝えする中で、中々瞬間瞬間を切り取るだけで、全体像が伝わらないなという思いがずっとあり、当時の沖縄で一体何があったのか、沖縄の戦後史が本土の人の認識からすっぽり抜け落ちているんだなという気がずっとしていました」と吐露。「あの時代の主人公の一人である亀次郎さんを通して、戦後史を見つめることで、本土の人の一面的な批判がなくなり、沖縄の人が声を上げ続ける理由の核心を感じ取ってもらえるかもしれないと思いました」と続け、「亀次郎さんという人はたくさんのエピソードを持っていて、そこをどんどん掘り下げていきたいという思いと、沖縄の戦後史を見ないといけないという思いもありましたから、そこをどう編み込んでいくか、作り手としては、一番悩ましいところではありました」と苦労を明かした。

沖縄の観客動員数がまもなく1万人を突破することについては、「本当に信じられないことばかりでして、夢を見ているかのような気持ちで過ごしています。沖縄先行公開の際も、朝劇場に着きましたら、驚くような行列ができており、300人収容の劇場がすぐ満席になって、約100人の方が入場できないという大変な状況でした。一人一人の方のお顔を拝見していくと、ある一定の世代の方ですと、またカメジローに会いにきたという表情をしていました。その方々の子ども時代、亀次郎の演説があるという日には、早めに家族揃って晩御飯を食べて、“今日は亀次郎があるよー”とむしろを持って出掛けるといったエピソードを、今回の取材で聞くことが出来ました」と熱く語った。

また、観客からは「ワジワジ(沖縄の方言でイライラするという意味)した気持ちを皆で分かち合えて話が盛り上がった」と声をかけられたそうで、「50年前、60年前の亀次郎さんの演説会はこういう雰囲気だったと思う。沖縄から東京へ熱気が伝わり、先週来満席が続いていて、本当にありがとうございます」と改めて喜びを表していた。

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