宮本亜門、俳優が「怒鳴って欲しい」と直訴しても笑顔

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阿川佐和子が、毎回各界で活躍する著名人とトークを展開する『サワコの朝』(MBS/TBS系ネット、毎週土曜7:30~)。11月12日は、演出家の宮本亜門がゲスト。学校生活に馴染めずひきこもっていた高校生時代のエピソードや、俳優との向き合い方について語った。

■引きこもり生活が名演出家を生んだ!?
これまで115本もの作品を手掛けてきた宮本。演出家として国内外で高い評価を受けているが、高校時代は引きこもり生活を送っていた。子どもの頃から日舞や茶道を習っていて、中学時代は仏像鑑賞が好きだったという宮本には友達ができず「もともと人は好きなんだけど、自分の好きなことが世間と違うことにコンプレックスを抱いて対人関係が上手くいかなかった」と、当時を振り返った。

高校時代、ずっと家に引きこもっていた宮本は数枚のレコードを繰り返し聴くうちに、同じ曲でもシチュエーションの違いで聴こえ方が異なることを発見。視覚的なイメージが膨らんできて「もしかしたら映画監督か、演出家か?」と思ったのが、演出家になる最初の一歩だったのかもしれないと語った。

■「怒鳴って」と言われても笑顔を貫く
2004年に上演されたミュージカル「太平洋序曲」で、トニー賞4部門ノミネート。東洋人の演出家としては初となる快挙だが、ブロードウェイでの稽古中に外国人俳優を演出する難しさを感じたという。演出家として自分が語ることを俳優たちが聞いてくれると思っていたが、舞台監督から「まずは全員の意見を聞くべきだ」と忠告されてびっくり。結果的には全員と話し合うことでコミュニケーションが上手く取れたが、日本では「演出家が言ったことを、まずやってみましょう」というスタンスだったこともあり、強い衝撃を受けたと話す。

また、日本人俳優とのエピソードでは、武田真治の話を披露。ミュージカル「スウィーニー・トッド」(2007年)の時、武田は自分の役を気に入っていない様子で、かなり悩んでいた。通し稽古もできないぐらい追い込まれていた武田は、宮本に、自分を怒鳴って欲しいと直訴。宮本が、どんな時もニコニコしているのがつらかったようで「怒鳴られたら僕は従えばいいじゃないですか、って言われたんです」と、俳優の悲痛な叫びに驚いたことを告白した。しかし「役者と対峙するのではなく寄り添いたい」と考える宮本は「武田くん、絶対怒鳴らないからね」と笑顔で返したそうで、武田は驚愕の表情を浮かべていたとか。

すると、その話を聞いていた阿川の目から涙が。宮本は不思議がるが「セラピストになれますよ」と感動していた。他にも、ある女優から「あなたの言うことは聞きたくない」とペンを投げつけられたことや、夜中に呪いのようなFAXが送られてきたりするなど、演出家として俳優と向き合うことの難しさを語った。

番組で紹介された「記憶の中で今もきらめく曲」は、石原裕次郎&牧村旬子の「銀座の恋の物語」。「今、心に響く曲は」槇原敬之の「Circle of Rainbow」。

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