戸田恵梨香が映画『予告犯』で挑んだ“大人への第一歩”とは?

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衝撃的な展開と鮮烈なメッセージ性が話題を呼んだ筒井哲也原作の同名漫画に、独自の解釈を加え、突き抜けたエンターテインメントとして実写化した映画『予告犯』が、6月6日(土)に公開される。主演を務める生田斗真は、これまで幅広い振り幅の役を巧みに演じてきた実力派。そんな彼が今回演じるのは、閉そく感漂う現代日本に現れたダークヒーローで、物語の鍵を握る“シンブンシ”の一人、ゲイツ(=奥田宏明)だ。

物語は、突如ネット上に降臨し、警察や法律では罰を与えることができない人々の罪を動画で暴露、彼らへの制裁を“予告”通りに実行する謎の男たち4人組、通称“シンブンシ”と、警察庁のエリート女捜査官がスリリングな頭脳戦を展開する。

本作で、謎に包まれた“シンブンシ”を追う若きキャリア刑事・吉野絵里香を演じた戸田恵梨香さんにインタビューを行い、初共演となる生田さんの印象や、吉野というキャラクター、作品の見どころなどについて語っていただいた。

――『予告犯』の原作コミックを読んでのご感想は?

普段あまり漫画を読まないので、最近の漫画事情には詳しくないのですが、現代ならではの問題を描いた作品で、とうとうこんな時代が来たんだなと思いました。フィクションなのにノンフィクションのようなパワーがありますよね。インタ―ネットが進化していくことは素晴らしいことですが、それに依存しすぎていることも多い現代。そういった恐ろしさを知っていてもネットに頼ってしまうし、そこが人間の恐ろしさだと思うので、作品を通じて何かを変えられたらいいなと思いました。

――さまざまな作品で刑事役を演じていらっしゃる戸田さんですが、今作の吉野絵里香というエリート女刑事を演じてみていかがでしたか?

これまで「BOSS」「DOG×POLICE 純白の絆」「SPEC」などで刑事役を演じてきました。どれも全く異なるキャラクターの刑事でしたが、彼女たちにある強さは吉野絵里香を演じるうえでも活きていると思います。今回は“大人への第一歩”を少しだけ意識しました。というのは、少しずつ社会が男女平等になってきていますが、それでも吉野は恐怖感を背負っている気がします。吉野のプライドの高さや女性でもトップに立てる強さが出たらいいなと思って挑みました。

――吉野のどんな点に共感できましたか?

共感できる部分は沢山ありますが、まず、彼女は自分を守るために「頑張らなくちゃいけないんだ」と決意して強くなったので、自分の弱さを隠したいという気持ちも理解できました。ずっと格好良い存在だった吉野が、ゲイツに「それ(社会に出て“頑張れる”こと)が普通にできること自体が幸せなんだ」と言われてズタズタにされた時の気持ちもわかるし、シンブンシたちの考えや気持ちもわかります。『予告犯』には、吉野だけではなく、私たちの世代には引っかかるものを残していくキャラクターが多いと思います。

――では、シンブンシに対してはいかがですか?

ここ最近は、就職難で高学歴でも職に就けない人が多いというニュースも耳にします。どうやって生きるのが正解なのかがわからない時代に生まれてきたのは、単純に運や環境が良くなかっただけだと思うんです。一生懸命頑張って生きようと思っていたのに、たまたま邪魔が入って頑張れなくなってしまう……。そういうところから、彼らは世間を恨むようになったと思うし、彼らを支えてあげられる人がいなかったことが一番の闇なのかなとも思いました。

――吉野というキャラクターを通じて、どんなことを伝えたいですか?

今回は、吉野を通して何かを伝えるということは考えていなく、この作品を通していろいろなことが伝わればいいなと思っています。確かに奥田たちの行動は悪いことですが、そうさせてしまったのは社会にも責任があると思うので、完全に間違っているとは思いません。例えば、私の世代は「ゆとり世代」と言われていますが、ひとくくりに「これだからゆとり世代は……」というような言われかたをすることについては疑問があります。そういうことも『予告犯』を通して訴えかけているのではないかと思います。

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