『鳥人間コンテスト』の絶対王者が大いに語る! 「飛び降りろ」発言の真相と、大会への熱い情熱。

公開: 更新: 読みテレ
『鳥人間コンテスト』の絶対王者が大いに語る! 「飛び降りろ」発言の真相と、大会への熱い情熱。

ナインティナイン矢部浩之を新MCに迎え、7月27日(土)・28日(日)に開催された『Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2019』。42回目を迎える今大会では、昨年に続き、近畿地方に接近した台風6号の影響による大波乱や、「人力プロペラ機部門」での大記録の達成などもあり、大きな盛り上がりを見せた。その最中、出場するバードマンや番組スタッフたちの間では、ある人物の大会不参加の話題で持ち切りになっていた。その人物とは、人呼んで“ミスター鳥人間”、大木祥資(おおき しょうじ)。動力を一切使わずグライダーのように飛行機を飛ばして距離を競う「滑空機部門」の絶対王者として君臨し、優勝12回という驚異の記録を打ち立てた、いわば生きるレジェンドである。昨年大会の墜落で、機体の主要部分を大きく破損してしまい、今年はやむを得ず飛ぶことが叶わなかったのだ。
 今回、「読みテレ」では、大会初日「滑空機部門」の一部をリアルタイムでネット配信した「限定生配信」のゲスト出演後の大木を直撃。物議を醸した昨年大会での衝撃発言の真相をはじめ、現在の心境や大会への熱い想いなどを包み隠さず語ってくれた…。

【取材/文】橋本 未来  【構成/文】村上 高明

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どうして、オレの飛行機がねぇんだ…

———最初に、出場が叶わず大会を迎えられた現在の心境を聞かせてください。

大木 やっぱり、悔しいですよね。「どうして、オレの飛行機がねぇんだ!」っていう気持ちです(笑)。それが、どうも不自然な感じがしていて…。逆に言えば、飛行機がなくて楽だなって思うようになったら、その時は引退するときなのかなと…。

———その悔しい気持ちをバネにしても、大会までに修理が間に合わないほど機体の損傷は激しかったのですか?

大木 昨年、着水直後に「これは、来年無理だわ」って思ったぐらい壊れてましたから。機体の外側ならすぐに修理はできたんですが、それを支える骨組みが損傷してしまったので。

———「来年は、参加できない」と思ったときは、大木さんもそうですが、チームのみなさんもとても落ち込まれたのではないですか?

大木 いえいえ。落ち込んだのは、ほんの一瞬ですよ! 大会が終わった後の打ち上げでは、気持ちを切り替えて立ち直ってしましたからね(笑)。

———それは、ずいぶんと立ち直りが早いですね?(笑)

大木 そうじゃないと、何度も出場できませんよ。

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飛び降りろ発言の真相は…

———昨年のフライトを振り返ったときに、どうしてもお聞きしておきたいのが、飛び終えた後の大木さんの発言です。チームの方々に、「飛び降りろ!」と叫んだことが、世間の話題になりましたが、あれは悔しさのあまり出た言葉なのですか?

大木 もちろん、それもあります。でも、本当はメンバーに対する冗談なんですよ(笑)。

———え!?…冗談だったんですか?

大木 というのも、あんな機体の落ち方をすると、メンバーも心配するじゃないですか。だから、まずは、大きくゆっくり平泳ぎをして、身体は無事だとアピールしました。それから、気持ちが落ち込まないように、笑わせるつもりで「飛び降りろ!」って言ったんです。放送されてなかったですが、あの言葉を聞いたメンバーは、プラットホーム上で爆笑してましたからね(笑)。

———そういう冗談もおっしゃるんですね。

大木 私と親しい人は、あれが冗談だってわかっていると思いますよ。この間、久しぶりに同窓会に行って、その話になったのですが、みんなから「昔から、変わってないな」って言われましたよ。

———昔から大木さんを知っている方にとっては、よくある冗談だったのですね。では、その後、1年間はメンバーの方々と一丸となって機体の修復にのぞまれた訳ですね?

大木 実は、ここ5年ほど、機体に不満があったんです。羽を今より安定させた方が、もっと記録が伸びるんじゃないかなと。だから、この期間はちゃんと修理できる猶予をもらったと思って、有意義に過ごしていました。今年は飛べないとわかっていたのですが、身体のコンディションも整えていましたし……本当の事を言うと、今日も身体は仕上がっているので、飛行機さえあれば、いつでも飛べます!(笑)。

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チームが解散していた!

———さすが、“ミスター鳥人間”ですね! とはいえ、1996年に初めてパイロットとして出場されて以来、今年は初の不参加です。その影響で、大木さんやメンバーの方々に何か変化は?

大木 時間ができたので、この機会をきっかけに、チームを解散したことですかね?

———え?! 解散されたのですか?

大木 そうなんです。純粋に、良い機体を作って、とにかく遠くに飛ばしたいという気持ちがあるメンバーだけが集まって、改めてチームを作り直そうと思ったんです。別の言い方をすると、“鳥人間原理主義者”たちだけでチームを作ろうということですね。

———そこまでこの大会に気持ちを注げるのは、なぜですか?

大木 ん〜……。どれだけ良い記録が出ても、大会が終われば「次は、ここを改良したら、もっと記録が伸びるんじゃないかな」と、必ず改善点が見えてくるんです。すると、気持ちが途絶えることなく、また来年に向かって改良に没頭していけるんです。その繰り返しで、ここまで来てしまったという感じですね。これが完成形だと思える答えがないからこそ、どんどん引き込まれていくような気がします。

———今、改良途中ということですが、機体はどのような状態なのですか?

大木 今は、ただの1本の棒ですね(笑)。

———1本の棒?! まだ、飛行機の形にはなっていないんですね?

大木 でも、ぼくのイメージでは、これまで以上に優れた機体になると、ちゃんと仕上がりが見えています。来年は、天候というチャンスをしっかりと掴んで、もっと遠くまで機体を飛ばしてみせますよ!

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———最後に、目標やライバルなどについて、メッセージをいただけますか?

大木 毎年、自分自身の記録を塗り替えようと思って大会に臨んできました。ですので、ライバルは、自分自身です。とにかく、自分が納得できるフライトをするだけですよ!

もはや“世界のオオキ”とも言える大木が見せた、「鳥人間コンテスト」への熱き想いの数々。残念ながら、今大会では、その勇姿を見ることは叶わないが、2020年には、よりパワーアップした機体と共に、大木祥資の力強い飛翔を目の当たりにすることができるだろう。その男、鳥人間につき、鳥人から超人への空路をまた一歩ずつ進んでいく。

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今年の滑空機部門は7機目となるチームが、プラットホームに上ったところで、強風のため“競技続行不可能”との判断に至り、この日の競技は中止となった。翌28日午後には再開され、前日とは打って変わった好天のなか、それぞれの熱き思いを抱えた鳥人間たちが大空へと羽ばたいていった。
 第2回〜4回大会の出場経験を持ち、「令和元年に昭和の自分を超えたい!」との目標を掲げてフライトしたのは、最年長参加者の長裕さんがパイロットを務めた「羽ばたいて飛びたい親父達の会」。自己ベスト16.23mを超えるフライトに挑んだ。
 ほかにも、キラキラ女子が活躍する「上智大学 Flying Turkeys」や、昨年に引き続き、チーム代表の土取雅明さんのプロポーズを求めて参加した「飛ん女の会 with Flight Works」のパイロット・山口樹さんが見せた奇跡のフライトなど、個性あふれる9機が青天を駆ける!
 圧巻の300mを超えるビッグフライドが続く中、ラストに登場したのが、3連覇を狙う「日本大学生産工学部津田沼航空研究会」。パイロットの松田ゆずはさんは、3連覇の達成と共に女性パイロット初優勝も狙い、大空を舞う。
 さらに、人力プロペラ部門では、数々のビッグフライトも生まれ、会場全体が大興奮の渦に包まれた前人未踏の新記録も飛び出す。沖合に新設された2つの大きなパイロンを旋回し、新ルールとなった競技を手中に収め、琵琶湖の勝利の女神が微笑みかけたパイロットは果たして?

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【番組情報】
 『Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2019』
 2019年8月28日(水)午後7時~ 読売テレビ・日本テレビ系全国ネット

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