日本成長の鍵は、宇宙ビジネス?ぶっ飛んでるけど、ロマンで進め!

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日本成長の鍵は、宇宙ビジネス?ぶっ飛んでるけど、ロマンで進め!

総選挙を経て新たに発足した岸田政権が掲げる「成長と分配」。分配はいいとして、成長のための戦略はというと、はなはだ心許ない。そこで11月14日の「そこまで言って委員会NP」では4人の有識者が日本経済の大逆転をめざし、独自の成長戦略を提案。「成長戦略SS1グランプリ」と題して、4人の提案を論客たちが徹底討論した。

一人目の提案者は、サイエンス作家の竹内薫氏。彼は「今こそ、宇宙ビジネスに刮目せよ」というぶっ飛んだ提案をしてきた。
宇宙ビジネスは今後10年で、人工衛星に搭載された様々なリモートセンシングサービスが使える時代になると竹内氏は説く。そうなれば世界の気候変動や穀物の生育状況などの情報提供ビジネスや、宇宙空間から要人警護やテロを未然に防ぐビジネスなども可能になるという。また竹内氏はそう遠くない未来、人類は1000年かけて火星を地球化する計画に着手すると予見。火星に眠っている資源を手にした国が、世界経済を支配する時代がやってくるはずだと予測している。
それを可能にするのが、宇宙エレベーターだ。静止衛星からケーブルを使って地球と宇宙とを繋ぐ輸送機関のことで、まず宇宙ホテルを建設、そこから宇宙船が出発するようになれば現在のような高価なロケット燃料は不要となるという。竹内氏は宇宙エレベーター開発に関わった少数の国だけが、火星開発の先陣を切ることができ、圧倒的な優位に立つことになるという。来るべき宇宙開発のビッグバンに乗り遅れないよう、今すぐ国は宇宙ビジネスを一つの柱と考えるべきだというのが彼の提案だ。
竹内氏の壮大な提案はありか、なしか。番組の論客たちに聞くと、8名中6名がありと回答。
「なし」と答えた、番組初登場の原田曜平氏は「途中までは賛成だが、後半の宇宙エレベーターになると“ロマン”なので、経済成長を考えた投資はできないと思った。」成長戦略に“ロマン”は不要ということだろう。
そこに竹田恒泰氏がからんできた。
「でも宇宙エレベーターは既存の技術でできる。静止衛星の高さは3万9000キロ。そことつなぐロープの重さと強度が問題だったところ、カーボンナノチューブが開発されたことで可能になった。」
この発言を受けて竹内氏が解説。宇宙エレベーターはあくまで火星に行きやすくなることで、火星を開発し資源を得るために必要なのだという。やはり“ロマン”な話ではある。
原田氏同様「なし」と答えた宮家邦彦氏はこう主張した。
「宇宙開発はまだ軍事主導。ほとんどの投資は実は軍事システム。日本の場合はその軍事の部分が抜けている。やらねばならないがこの国は向いてない。」
各論客から意見が続々出て議論は錯綜したが、竹内氏は結局火星に目標を置いている。
「ゆくゆく火星移住の話は当然出てくると思う。ただ500年から1000年先だが。」
壮大すぎてみんなついていけない。
原田氏が現実に話を戻す。「大気圏と外気圏の境界の500キロぐらいまでの話をした方が経済成長戦略という意味ではいいのではないか。それ以上は“ロマン”になる。」
だが竹内氏はこう言う。
「ただやはり経済を活性化するためには、ロマンが必要。そのロマンにベンチャーや若者が参入するから活性化される。その入り口として宇宙ビジネスを使ってほしい。」
原田氏も根負けしたのか、「そう言われるとロマンは大事。」と同調した。

火星移住は置いといても、宇宙が新たなビジネスの場になるのは間違いなさそうだ。日本は指をくわえて見ているのか、出遅れていても追いつくべく頑張るのか。今が重要なターニングポイントかもしれない。

【文:境 治】

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