ハシヤスメ・アツコ、BiSHのターニングポイントを語る「アユニ・Dが入ってきて…」【連載PERSON vol.23】

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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」vol.23は、「ドラマDELI」シリーズ第1弾『ボクとツチノ娘の1ヶ月』(読売テレビ、3月5日より金曜深夜全4話放送)で、和田雅成さんとW主演を務めているハシヤスメ・アツコさん(BiSH)が登場します。

2015年8月、“楽器を持たないパンクバンド”BiSHに加入したハシヤスメさん。2016年にメジャーデビュー後、横浜アリーナや幕張メッセでのワンマンライブを成功させ、昨年発売されたベストアルバム「FOR LiVE -BiSH BEST-」は、オリコン週間アルバムランキング1位を獲得しています。

個人としては、2019年にライブ会場や通販サイトで手に入るソロデビューシングル「ア・ラ・モード」をリリース、さらにドラマ『ざんねんないきもの辞典』『京阪沿線物語~古民家民泊きずな屋へようこそ』に出演を果たし、俳優としても着実にステップアップしています。

彼女が『ボクとツチノ娘の1ヶ月』で演じるのは、まさかの“ツチノコ人間”ツチノコ娘! ドラマ出演3作目にして難役に挑戦するも、本人は「ワクワクしています」と楽しんでいる様子。劇中でボクを演じる和田さんともユニークな掛けあいを見せています。

そんな幅広い活躍を続ける彼女へ、表現者としての原点であるテレビのことや、活動の母体・BiSHのターニングポイントを伺いつつ、その素顔に迫りました。なぜハシヤスメさんが清掃員(BiSHファンの呼称)の心を掴んで離さないのか? 今回、その答えが垣間見えるインタビューとなりました。

影響を受けたエンタメ界の人はあの大御所MC
影響を受けたエンタメ界の人はあの大御所MC

――ハシヤスメさんが影響を受けたテレビ番組は?

テレビが好きなんですが、昔は親が厳しくて「1日1時間までにしなさい」っていう家庭だったんです。でも、母が仕事へ行っている間にめっちゃ見まくっていました。その中でもよく見ていたのが『うたばん』とか『ハロー!モーニング。』。ドラマというよりも、バラエティ系を見ることが多かったですね。

――アーティストさんの新たな一面が見られる番組が好きだったんですかね。

そうですね。音楽も好きでしたし、『エンタの神様』とか、お笑い系も好きでした。『うたばん』は、それが合体したような番組なので、最強だなと思っていました。

――現在、BiSHでは「コント担当」としても活躍されていますが、そういった番組が活動の源流になっているんですか?

当時、アイドルを含めてアーティストさんってそんなに素を出していないイメージがあったんです。アーティストさんがバラエティに挑戦されているのを拝見して、見てはいけないものを見てしまったような気がしましたし、“そういう面を見せてくれるんだ!”っていう嬉しさもあったので、自分もそういう人になりたいなって思ったんですよね。だから、今も自然と、カワイイとかキレイというよりも、ちょっと面白味がある方向になっているんだと思います。

――影響を受けたエンタメ界の方はいらっしゃいますか?

たくさん素晴らしい方がいらっしゃるので、憧れの人ってたくさんいるんですけど、最初は、みのもんたさんです。小さい頃に番組を見ていて、すごくズバズバ言うし、当時から「的確なことを言うな」って思っていて大好きでした。いつかみのさんと仕事してみたいです。

小さい頃は、MCをやってみたいっていう気持ちがあったんですが、話もうまくないので、諦めちゃったんです。自分に持っていないものを持っている人とか、自分ができないことを簡単に飛び越える人に魅力を感じていましたね。

――歌手や役者など、表現者として活動するにあたって、大切にしている軸や信念はありますか?

私自身、めちゃめちゃポジティブなんですよ。あまり暗くなることがなくて、“暗いなら場を明るくしちゃおう”っていうよく分からないものが働くし、どんなときも明るくいようっていう性格で。

最近役者仕事をやらせてもらうことがあるんですけど、“ウザイ”って思われないようにしようと思いましたね(笑)。なかには雰囲気作りを大事にしている方や、役に入り込みたい方もいることが分かったので、あまりガヤガヤしないでおこうと……。だから少しブレています(笑)。

――芸能活動する上で、印象に残っている言葉や、指針となった言葉があれば教えてください。

BiSHのオーディションに合格したって聞いたのが、会社の社長でもあり、マネージャーでもある渡辺(淳之介)さんからの一本の電話でした。そこで「清水の舞台から飛び降りる気持ちで合格」って言われたんです(笑)。それを聞いた時に、私のことを取らない気持ちだったんだけど、それでも、可能性があったり、気になるところがあったりしたから、人生かける気持ちで採用してくれたんだなって。だからこそ、この人の期待に応えて頑張ろうって思ったし、当たり前ですけど、一つひとつの仕事を大切にして、悔いのないように活動しようと決心しました。

――後に大きい一言だったと気づくような言葉ですね。

最初は何を言っているのか分からなかったんですけど、仕事をしていくなかで、少しずつその言葉をかけてくれた意味が分かってきて……。ずっと忘れられないですね。

今後挑戦したいのは“サンバ”
今後挑戦したいのは“サンバ”

――いまや芸能界でもファンの多いBiSHさんですが、これまで紆余曲折あったかと思います。グループとしてのターニングポイントとなった出来事やエピソードはありますか?

今のメンバーでかれこれ5年ほどやれているのは結構大きいなって思いますね。なかでも、BiSHの最後のピースでもあるアユニ・Dが入ってきたことが、一番のターニングポイントなのかなと思います。(加入当時は)いろんな意味で真っ白で、これから色が塗られていくような子だったんですよ。そんな子が(グループに)入ってきた時、“この6人でずっとやっていけそうな気がする”って……。恥ずかしいんですけど、“この6人だったら、どこまででもいける”って思いました。そこから「オーケストラ」っていう曲が生まれたり、いろいろな機会が増えたので、今となっては(ターニングポイントが)そこなのかなって思います。

――昨年はコロナ禍で、BiSHさんのツアーが中止になったものの、アルバム発売、クリスマスイブにライブをするなど、止まることなく活動をしてきました。表現者として気持ちに変化はありましたか?

こういう状況になってから、ライブハウスで声が出せなかったり、お客さんをパンパンに入れてやれなかったり、今まで普通にやっていたことが出来なくなるんだろうなって考えちゃいましたね。BiSHの良さって、ファンの方がワイワイして、密着して、一緒に楽しむところもあったので、どうやればいいんだろうと思いました。それでも、BiSHがポジティブでいい方向に向けたのは、今まで培った経験があったからなのかなって思います。

――アーティストとしてはもちろん、役者業も挑戦されていますが、今後はどんな活動をしていきたいですか?

2019年にソロCDを出したんですけど、第2弾をやりたいです。

――BiSHさんの公式Twitterにアップされていた動画で、渡辺さんにソロ第2弾を熱望する動画を拝見しました。YouTubeの「ア・ラ・モード」のMV再生回数がいいとおっしゃっていましたよね。

そうなんです。いま、176万回再生(インタビュー時)いっています(笑)。こういうご時世だからこそ、明るくなってほしい気持ちがずっとあるんですよ。できたら後ろに水着のお姉さんとかマッチョを連れて、サンバとかいいですね(笑)。とにかく“何やってんだろ”って鼻で笑ってもらえるようなソロ第2弾をやりたいです。

(取材・文:浜瀬将樹)

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