松下洸平が明かすリアルな恋愛観「飾らず、そのままを愛してほしい」『#リモラブ』インタビュー

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波瑠さんが主演を務める水曜ドラマ『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』(日本テレビ系、毎週水曜22:00~)第8話が12月9日に放送されます。

悠々自適の人生を送っていた産業医の大桜美々(波瑠)が、オンライン上で出会った名前も顔も素性も知らない“檸檬”と愛を育んでいく物語。コロナ禍を描く新たな恋愛ドラマの中で、“檸檬”の正体である“あおちゃん”こと青林風一を演じているのが松下洸平さんです。

これまで舞台を中心に活躍し、『連続テレビ小説 スカーレット』(NHK)でヒロインの夫・八郎を演じてブレイク。その後も、『MIU404』(TBS系)、『東京タラレバ娘2020』(日本テレビ系)といった話題作への出演が続く松下さんに、“あおちゃん”に込める思いと、リアルな恋愛観を聞きました。

演じる青林風一の“壁ドン返し”の裏話も
演じる青林風一の“壁ドン返し”の裏話も

――ドラマの反響はいかがですか?

“檸檬”が誰なのかがわからないところからスタートしているので、僕自身も1話はドキドキしながら見ていました。もちろん僕は正体を知っていますけど、視聴者の方に「誰なんだろう」と予想してもらいながら進んでいく物語だったので、みなさんがどんな気持ちでご覧になっているのか。あとはコロナ禍を描いた作品なので、そのあたりを見ている方がどう感じるのか。前例がない作品なので僕らの方も未知だったんですよね。そんな中で、回を重ねるごとに僕たちが思っている以上に、ご覧になっている人達が楽しんでくださっているのが伝わってきて、すごく嬉しかったです。

――はい、とても楽しんでいます。

ありがとうございます! あおちゃんと美々先生がなかなかくっつかなくて、非常にもどかしい展開が続いた時には、オンエアを見ながら「もう少々お待ちください」というような、諦めずに見てほしいという気持ちでした(笑)。でも、そんなあおちゃんの優しくて頑固でちょっと難しい性格も、たくさんの方が受け止めてくださったのは、すごく嬉しいですね。

――そういうもどかしさがあってからの壁ドンだったので、「おおっ、来たな!」とドキッとしました。

壁ドン、やってみました(笑)。もともと台本に“壁ドン返し”はなくて、やる予定ではなかったんですよ。ただ、演じていく中で、やっぱりここはあおちゃんも男を見せるべきなんじゃないか、という話に現場でなって。急遽、台本に組み込まれて撮影しました。

――“檸檬”の正体が青林だとわかった時を振り返り、「え~青林ぃ?」と連呼する美々先生のマスクを外すシーン(第6話)では、「あおちゃん、あざといな」と思いました。あれは天然なんでしょうか?

そうなんです 、あおちゃんは時々あざといんですよ(笑)。もちろん、あれは天然です。青林は一見丸くて、クセのないすごく普通の人。普通に優しくて、普通に仕事もできて、それ以外の人付き合いに関しても特に不自由なくやれている。その中で、時々出てくるのが彼の天然さ。先ほどお話にあったマスクをふと直したり、かと思えば「美々先生のことは、よくわかりません」とか、人が傷つくことをズバっと言っちゃうみたいな。

そこが彼の人間としてのゴツゴツした部分で、見ているお客様がつかめる部分だと思うんですね。何の変哲もない人であったら、きっとその中にドラマみたいなものは生まれてこないと思っていて。たとえば人とお付き合いしていても、けじめをつけるまでは手を握れないとか、キスができないという変な頑固さ。けじめってなんなのか僕にもちょっとわからないんですけど(笑)、きっと彼の中には譲れない何かがあるんですよね。そういう彼の変なところが、見ている方にとって興味に変わってくれたらいいなと。「この人、何考えてるのかよくわかんない」というのが、気付いたら興味に変わって、最終的にはみなさんの中で、憎めない愛らしい存在になってくれたらいいなと思いながら演じています。

――ドラマでは“会わないと育めない愛”と“会わなくても育める愛”が描かれていますが、松下さんご自身はどう思われますか?

最終的には会わないとわからない愛は大いにあると思います。僕はSNSから恋を始めた経験はないですし、『#リモラブ』の台本をもらった時には「こんな恋愛が成立するのか!?」と思っていたんです。でも、回を重ねるごとに、大事なのは出会い方ではなくて出会った後だな、そこからどう進めていくかなんだな、ということに僕自身も気づかされましたね。

――ドラマをやる前と後で、考え方が変わったということですね。

まったく変わりました。SNS 上で恋をするというのも、実際にあるみたいなんですよ。僕はゲームをしないからわからないけど、オンラインゲームで世界中の人と繋がったり、顔も名前もわからない人と友達になったり。ただ、 最終的にはやっぱり目と目を合わせて育まないといけないものは、変わらずにあるとは思います。

松下洸平さんの恋愛観は?
松下洸平さんの恋愛観は?

――では、恋愛をする上で松下さんが大事にしたいと思うことは?

無理をしない相手が理想だなと思います。

――そこは年齢を重ねて変わってきた部分でもありますか?

……多少?(笑)。無理してでも一緒にいたいと思う時期が、確かにありましたね。高校とか専門学校の頃、僕は音楽をやっていてお金がなかったので、当時付き合っていた彼女に何もしてあげられなかったんですよ。その中でも、無理をしてその人の前でカッコつけたりしていた時期はあるし、それはあっていいものだと思うんです。無理をしている自分と、本来の自分とのギャップを感じた時の「もっとカッコよくなりたい」とか「もっともっとこの子に好かれたい」という気持ちが、人を成長させると思うので。

でも今は、そういう欲よりも「このままを愛していただけませんでしょうか?」っていう(笑)。あくまでフラットな状態で「すみませんが、こんな僕でどうでしょう?」と。そこで「そんなあなたが好きです」と言われたら「あぁ、よかった」と思えるし、そこから先、その人と一緒にいる時に無理をすることはないでしょうし。すごく楽にずっと一緒にいられると思うので、飾らずにそのままを愛していただけるように、というのが目標です。

――松下さんは掃除もお好きで料理もお上手ですが、女性にどんなことを求めるのでしょうか?

う~ん……なんでしょうね。いっぱいありますよ。いっぱいあるっていうのもアレですけど(笑)。でも、もしも家族になった時には、自分にとって“帰る場所”でいてほしいんです。だから、安心感ですかね。 ありのままを愛してもらって、僕もその人のありのままを愛せたらすごく幸せじゃないですか。料理ができなきゃダメとか、掃除ができなきゃダメとかは全然ないので。

――家事が苦手なので、そう言っていただけるとなんだか安心します。

だって料理なんて、できなかったら一緒に作っていけばいいんですよ。重要なのはそこじゃなくて、それをやっている時に、その人と一緒にいて楽しいかどうか。それは理屈ではないものだと思うんです。心と心が重なったところで、安らぎを感じられる人。唯一求めるなら、そこかもしれないですね。

――世の女性たちに、勇気が届けられたかなと思います。

逆にもしかしたら、女性からは「絶対年収1000万以上ないとダメ」とかあるのかもしれないですけど……。

――ないです、ないです(笑)。

あはは(笑)。だとしたら、きっと同じですよ。少なくとも僕は、一年で辞めると思ってお付き合いをするわけでなくて、ずっと一緒にいたい。そうやって長く一緒にいると、上辺にある“皮”の部分がどんどん削られていって、最後は中の“餡”みたいなものが残る。そこが自分にとって魅力的かどうかですよね。それは、安らぎとか安心感とか、言葉や条件ではカバーできないところなので、そこを見極めたいですよね……なんて偉そうに言ってますけど(笑)。

――いえいえ、素敵なお話をありがとうございます。では最後に、ドラマを通して視聴者にどんなことを届けたいか、メッセージをお願いします。

もちろんコロナ禍を描く作品ではあるけれど、ここから先のテーマはそこではなくなって、もっとリアルな恋愛ドラマになっていきます。人を好きになる時に“一番大切なのは何か”という根本が描かれていくので、「人を好きになるってすごく素敵なことなんだな」とか「幸せなことなんだな」と感じられる、恋がしたくなるような作品になると思います。僕も視聴者の方をキュンとさせられるように、引き続きがんばります!

(取材・撮影:勝浦阿津希)

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