石井裕也監督「まさか少女漫画原作をやるとは…」最新作『町田くんの世界』予測不可能な結末に期待

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石井裕也監督(35歳)の最新作『町田くんの世界』が、6月7日(金)より全国公開することが決定した。

本作は、安藤ゆきによる第20回手塚治虫文化賞受賞作「町田くんの世界」の実写映画化。主人公の町田くんは物静かなメガネ男子、でも成績は中の下。アナログ人間で不器用。運動神経は見た目通りに鈍い......。そんな平凡っぽい町田くんが、不思議な魅力でクラスメイトからご近所さんまで老若男女を落としまくり愛されまくるという、ユニークな物語。安藤は、「一人の人間から生まれた小さな作品がたくさんの人が構築する大きな企画になっていくということは、わくわくする一方で不思議な気持ちでいっぱいです。この映画の関係者の一人になれたことを幸福に思います」と語っている。

メガホンを取る石井は、2009年の商業デビュー作『川の底からこんにちは』で、第53回ブルーリボン賞監督賞を史上最年少で受賞。その後も様々な作品を世に送り出し、2013年公開の三浦しをんによるベストセラーを映画化した『舟を編む』で、第37回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞をW受賞する快挙を達成。さらに第86回アカデミー賞外国語映画部門の日本代表作品にも選出さるなど各映画賞を総なめ。2018年公開『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』では、第12回アジア・フィルム・アワードで名だたる監督達を抑え、監督賞を見事受賞。手掛けてきたほぼすべての作品が、海外の国際映画祭への招待や、数々の賞を受賞するなど、国内だけでなく海外にも多くのファンを持つ、今、最も新作が期待される若手実力派監督だ。

今回、自身初となる漫画原作、しかも少女漫画原作の映画化。脚本と監督を担当した石井は、「人を好きになる気持ち、愛とかそういうものは、普通であれば恥ずかしくて口に出すのもはばかられますが、やはりどう考えても人間にとって必要なこと。それが今、本当にやるべき題材だと感じ、それをまったくてらいもなく、恥ずかしげもなくやってる“少女漫画原作の力”に僕も乗っかりたいと思いました。この作品では、本当に例外的なことをやりまくっています。まさか自分が少女漫画原作をやるとは思っていなかったので、逆に振り切れたというか、冒険的になれたし、映画的な自由を得られたんだと思います」とコメントを寄せている。

自身も“例外的”と語るほど、これまでの監督のイメージとは一線を画するジャンルへのチャレンジ。今まで人間をおかしくも、その本質を描いてきた監督が、新ジャンルでどのようなドラマを私たちに見せてくれるのか。撮影では、このデジタル全盛の時代に逆行する35mmフィルムで全編を撮影、その他常識に囚われない手法が取り入れられている。

北島直明プロデューサーは、「石井監督が作る少女漫画原作の映画を僕自身が観たかった。例えば、その材料を誰が調理するかで全然違う料理になるように、監督と話していると『町田くんの世界』を映画として再構築したらどんなものが仕上がるのか、それが楽しみで仕方がありませんでした」と明かしている。さらに、「兎にも角にも、絶対に予想できないラストシーンを用意しましたので、エンディングを観て、皆さんの“好き”が見つかってくれたら嬉しいです。石井監督の才能が爆発しています」と絶賛しており、予想不可能な結末にも期待が高まる。また、本作のキャスティングの続報にも注目したい。

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