『サバイバル・ウェディング』働きマン女優・波瑠が婚活戦国時代に勝利を掲げるのか?

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2時間待ちは当たり前! の人気かき氷屋さんが近所にあります。先日、お客さんが熱中症によって救急車で搬送されていました……。涼を求めてきたはずが本末転倒じゃなかろうか。

今回は『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系・毎週土曜22:00〜)に主演する波瑠さんについて。彼女が世間へ一斉に知られた作品といえば朝ドラ『あさが来た』(NHK総合・2015年)。そこからまったく淀みなく、次々と作品に出演し続ける波瑠さん。朝ドラ出身女優さんって“その後”に明暗がパッキリ分かれますけど、彼女には絶対後光が差していると思います。まぶしくてまっすぐに見ていられない……。

■“清楚”という言葉だけは括れない存在感

30歳の誕生日に結婚するはずだった黒木さやか(波瑠)は婚約者・石橋和也(風間俊介)の浮気発覚により婚約破談に! なんとか仕事だけは確保、女性ファッション雑誌『riz』編集部で働くようになったものの、奇才・やり手と呼ばれる宇佐美編集長(伊勢谷友介)がさやかに「半年以内に結婚しなかったらクビ」という無謀なミッションを与える。

『サバイバル・ウェディング』。第一印象、このドラマタイトルにときめいた。私も(波瑠じゃないけど)役所に行けば独身証明を発行してもらえる、未婚である。その立場だから共感するのだけれど、この世は結婚戦国時代に突入している。この戦いは何かと厳しい。

と、まずさやかのように負け戦宣言をする女性に向かって結婚とは、恋愛とは、男とはなんぞよについて我流の理論を教えていくのが宇佐美。この教えがドラマのキモだ。この紙媒体が不振の時代に、女性ファッション雑誌の編集長を務めてヒット企画を手がけてきた。一流を知っているからこそ、女の価値の高め方も知っている。そんな宇佐美からのアドバイスとは……。

「おまえがなぜ男に捨てられたのか教えてやろうか? 特別に教えてやろう。それはな、おまえが“安い”からだ。安いというのは、市場価値が相対的に低いということだ。バッグと同じように、男も無意識のうちに女の価値を計算しているんだ」

「おまえを自分のものだと認識するためにも、あいつ(和也)は必ず体を求めてくる。でもな、人間というのは苦労して手に入れたものほど大切にするし、楽に手に入れたものは大切にしない。大切にされたかったら体を許すなよ」

「1ミリたりとも妥協するな。たった一度の結婚だぞ? 妥協した相手と結婚したくないだろう」

このような名言の数々を伊勢谷さんの心地良い低音ボイスと、抑揚のある話し方でぶっこまれると五臓六腑に染み渡るものがある。しかも教えのたとえ話をメゾンブランドになぞらえるのでわかりやすい。

婚活ドラマといえば少し前に『私結婚できないんじゃなくて、しないんです』(TBS系・2016年)で、料理人の十倉(藤木直人)が唱えるスパルタ婚活指南がテーマのドラマがあった。

『できしな』と違うのはさやかが、あくまで普通の女性ということだ。才色兼備で仕事も順風満帆、プライドは富士山よりも高いみやび(中谷美紀)とは違う。自分の市場価値を高めろというのが宇佐美の指導方針だ。これがいい。共感を覚える。土曜の夜はこのドラマを見てから狩り(飲み)に出かけたい。

そしてその教示を受けるのがさやかを演じる波瑠さん。この人、本当にすごいなと尊敬するのはよく働いているのだ。2014年付近からフィーバーは始まっていたけれど、朝ドラ出演以降、まったく止まることがない。毎クールドラマに主演、出演し続けて違うタイプの人物を演じ続けている。数年間、テレビにずっと映っていれば「また?」と思われることもあるだろうに、彼女からその香りがしない。

清楚なイメージだから? いやそれだけではない。静かなる闘志を秘めているから? それも合っているのだけれど、それだけじゃ説明しきれない。

むちゃくちゃ可愛いけど嫌味がない。つかみどころがなさすぎて逆にこちらを「すごいな」と思わせる存在感を漂わせているのが波瑠さんだと思う。個人的に好きなのは、いきなりシーンをぶった切るような強いセリフを波瑠さんが吐くところ。『世界一難しい恋』(日本テレビ系・2016年)の柴山美咲が彼氏の鮫島に向かって

「(こだわりが色々あるなら)じゃあ(家事を)自分でやれっ!」

と一蹴。『もみ消して冬〜我が家の問題なかったことに〜』(日本テレビ系・2018年)の北沢知晶役で

「恵方巻き食ってろ!」

と、キレるシーンが思い出される。気持ち良かったなー。

さて『サバイバル・ウェディング』。いろいろ展開はありそうだけど、悪いこと言わないので、さやかは年下広告マンの柏木祐一(吉沢亮)を選んでほしい。そして和也は「恵方巻き食ってろ!」ということで。

(文・スナイパー小林)

■8月4日(土)放送『サバイバル・ウェディング』第4話
祐一(吉沢亮)にランチに誘われてときめくさやか(波瑠)だったが、そこには祐一に絶賛アプローチ中の愛され系女子・美里(奈緒)の姿も。自分を巡る女の戦いが繰り広げられていることに気付く気配のない祐一の鈍感さを嘆きつつ、美里との女子力勝負を受けて立つことに。しかし、結果は完敗。しかも、話の流れでつい「27歳」だと祐一にウソをついてしまう。

しかし、実際には30歳の誕生日のカウントダウン真っただ中のさやか。結婚までのタイムリミットも4か月しかなくなってしまった。そんなさやかに宇佐美(伊勢谷友介)が命じたのは「出会う男の数を増やす」こと。環境の変化に柔軟に対応して成長を遂げたハイブランドのように、さやかも“男が消極的な時代”に合わせて行動するべきだと説く宇佐美は、スペックは高いが受け身の男性を狙って自分から声をかけるよう、さやかにアドバイスを送る。

宇佐美の言葉を受けて、20代の最後を“出会いの修業期間”に定めたさやかは、多香子(高橋メアリージュン)と一緒に片っ端から合コンに参加。すると、学生時代の友人・健太郎(渋谷謙人)に頼み込んでセッティングしてもらった合コンに、なんと祐一が現れる。思わぬビッグチャンスが到来かと思いきや、健太郎のおせっかいで事態は思わぬ方向に……。

ついに30歳の誕生日を迎えたさやか。誕生日を祝ってくれる相手もおらず、仕事でもミスをしてしまい落ち込んでいるところに、思いがけない相手から電話がきて……。

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