終末期医療を受ける4歳児の願いとは…「おうち診療所」で過ごした3か月

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5月20日(日)24時55分からの『NNNドキュメント'18』(日本テレビ)は、「わが子を看取る おうち診療所ですごした3か月」と題して放送する。

国内には、医療的ケアが必要な難病の子どもが約2万人いると言われている(推定)。神戸市のおうち診療所「チャイルド・ケモ・ハウス」(19床)は、感染症予防に力を入れ、難病の子が家族と一緒に暮らしながら治療を受けられる全国でも数少ない施設で、安定期と終末期の子どもを受け入れている。

脳にがんが転移したことで、脳梗塞などのリスクを抱える、米田一華ちゃん(いっちゃん)。弱冠4歳の彼女に残された時間はあとわずか。両親と妹、そして間もなく誕生予定の弟が、一華ちゃんの最期を迎える場として選んだのが、病院と自宅の間のような“おうち診療所”だった。

突然逝ってしまう可能性のあるいっちゃんの願いは、「ママのお弁当を持って幼稚園に行きたい」「妹と遊びたい」「弟を抱っこしたい」といった、誰もが描く日常の幸せ。そんないっちゃんの願いを叶えたいと相談された診療所は、模擬幼稚園を開くことにした。

「おうち診療所」でいっちゃんは歌や字を習い、ママ初めての手作り弁当も完食。その後は、初めて一緒に暮らす妹と走り回って遊ぶ時間だ。仕事から帰ってきたパパを「ただいま」と出迎え歯磨きをしてもらい、4人一緒に眠る。医療ケアのある安心感の下、実現できた何気ない日常だ。

しかし、12月に入るといっちゃんの容体が悪化、診療所のクリスマスイベント後に頭痛を訴え、床についた。12月16日、医師から24時間以内宣告を受けた両親は、1つの決断をした。それは、人工呼吸器などの延命措置はせず、いつも通りの日常で最期を迎えること。いっちゃんが大好きだった歌が奏でられ、ママが「いつも一緒、怖くないよ」と語りかける中、いっちゃんは永眠した。

2週間後の1月4日、ママはいっちゃんの写真を手に弟を産んだ。名前は「稀一(きいち)」。「一華」から一文字取り、「この世に生まれたことは奇跡、1分1秒を大切して生きて欲しい」との願いを込めた。悲しみの中にいる家族の支えは、一緒に毎日を大切に生きることができた日々だ。

「子どもは大人以上に丁寧な緩和ケアが必要だが、日本の体制や社会の理解はまだ不十分」と指摘する楠木重範院長。生と死に直面した家族の選択を描くことで、子どもの終末期医療の充実を訴える。

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