大阪のお好み焼きを全否定する広島県民が、熱愛する大阪のお好み焼きってなに?

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広島県民は気さくで明るい、素敵な人が多い。ただうかつにお好み焼きの話題を振ってしまうと、とたんにガンコでめんどくさい人びとになる。ましてや“広島風お好み焼き”という言葉を口にしてしまうと、「広島のお好み焼きこそが正当なお好み焼きなので”広島風”はおかしい!」「大阪風お好み焼きこそ亜流なのだ!」と延々ご高説を聞かされることになるから要注意だ。

4月5日に放送する「秘密のケンミンSHOW」では、この広島県民のお好み焼きへのまっすぐで屈折した思いを取り上げる。

なにしろ、広島県内のお好み焼き店は1,307店と、大阪府の1,108店を大きく引き離して全国1位。ソースの支出金額も一世帯当たり年間1,276円とこれまた2位の岡山県964円より断然多いのだ。一年間にソースに1,000円以上かけるなんて、他県民には理解できない。

街を歩く広島県民にお好み焼きについて聞くと「カープとお好み焼きがあればそれでいい」と熱愛ぶりを語り、大阪と広島の違いの話になると「大阪のお好み焼きはたこ焼きの大きいものに過ぎない」などとやはり関西風については暑苦しいほど完全否定する。

ではその関西風お好み焼きは食べないのかと聞くと、急にばつが悪そうな顔をして、「食べなくは・・・ないかなあ」と歯切れが悪くなる。中には「♪さっさっさささとかき混ぜまして〜」とわれわれの知らない歌を口ずさみだす人もいる。なんだこの、態度の急変ぶりは?

聞けば、みんな「徳川」という関西風お好み焼き屋さんに、ちょくちょく行って食べるらしいのだ。広島県内に14店も展開する有名店なのだという。それはいったいどういうことだ?

カメラが徳川のお店に乗り込むと、そこには家族連れで関西風お好み焼きを楽しむ大勢の広島県民がいるではないか。しかも注文時には「家継と、吉宗!」とか「家茂二つ!」とか徳川歴代将軍の名前が飛び交う。それぞれ豚入りだのエビ入りだの、お好み焼きのメニューを将軍の名前でネーミングしてあるのだ。

二代目社長・今井誠則氏によれば、初代社長は奥様の幸さん。若いころに大阪で関西風お好み焼きを食べ、自分で作る楽しさを広島でも広めたいとお店を開いたのがはじまりだったという。カウンター中心でお店の人が作ってくれるのが広島のお好み焼きなので、最初はなじんでもらえず閑古鳥の日々だった。それが徐々に作る楽しさをわかってもらうようになり、大型店舗の出店も成功していまのチェーン店展開に至ったのだそうだ。

亡くなってしまった幸さんだが、広島になかった「作る楽しさ」は、昭和50年から変わらない「♪さっさっさささとかき混ぜまして〜」のテレビCMとともに広島県民に愛されている。

さてこうなると、「徳川」のお好み焼きをどうしても食べてみたくなる。広島に行って広島風ではなく関西風お好み焼きを食べる、という屈折した体験をぜひしてみたい!次に広島に行く時は必ず「徳川」に行ってみようと思う。

【文:境 治】

提供:読みテレ

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