エスムラルダ「アタシの心を鷲掴み」坂元脚本『anone』の展開に期待大

公開: 更新:

みなさん、こんにちは。アタシの名はエスムラルダ。新宿二丁目を中心に活動している、テレビドラマが大好きなドラァグクイーンだよ!

さて、早いもので2月も半ばにさしかかり、1月にスタートしたドラマたちは、そろそろ折り返し地点に突入。というわけで今回は、今クールのドラマの中で、特にアタシがハマっている作品ベスト3を、(完全な独断と偏見で)紹介するわ!

■第3位『アンナチュラル』(TBS系、金曜22時)

石原さとみ演じる法医解剖医・三澄ミコトが、井浦新演じる中堂系など「不自然死究明研究所(UDIラボ)」の同僚たちと共に、さまざまな「不自然な死」の真相をつきとめるという内容。これまで『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』など、原作もので高い評価を得てきた野木亜紀子さんが、初めてオリジナルの連続ドラマに挑戦! ということで、放送前からかなり期待もし、「野木さん、頑張れ!」と心の中で応援もしていたんだけど……(ってアタシ、野木さんの何なんだ)。もうね、期待をはるかに上回る完成度の高さなの。

まずこのドラマ、基本的には一話完結の形をとっているんだけど、一つひとつの話が非常に濃密。意外な展開に驚かせつつ、笑わせどころ、泣かせどころもしっかり入れて、決してきれいごとで終わらせない。2月7日に放送された第5話のラストなんて壮絶すぎて、作り手側の覚悟というか、気迫のようなものを感じたわ。

なお、前半のいたるところに、ミコトの実の家族の死や、系の恋人の死についての情報がちりばめられていたけど、後半ではおそらく、それらの真相の解明が大きな焦点となってくるはず。最後まで目が離せないわ!

■第2位『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系、木曜22時)

コーポラティブハウスに住む、4つの家庭それぞれの事情を描いたドラマ。不妊治療に取り組む、深田恭子松山ケンイチ演じる若い夫婦の話がメインなんだけど、アタシがなぜこのドラマを推しているかというと……4家族のうちの一つが、なんとゲイカップルなの!

最近、『逃げ恥』など、「普通の」ゲイが登場するドラマが少しずつ増えているけど、ゴールデンタイムのドラマで、こんなに丁寧に(笑いという文脈でも、特殊な人たちという文脈でもなく)ゲイカップルが描かれるのは初めてじゃないかしら。

しかも年長のゲイ(渉)を演じているのは、アタシが前々から好きだった眞島秀和さん。DV夫とか死んだ夫とかテロリストとかスナイパーとか、わりといつも陰のある役が多い眞島さんだけど、今回は北村匠海くん演じる若い男の子(朔)に振り回される建築士役で、アタシにとっては萌え要素だらけ……。

ちなみにこの「わたさく」カップル、腐女子のみなさんの間で人気を集めつつあるらしく、なんと第4話は、わたさくによる副音声までオンエアされたの! その副音声がまたね、眞島さんと北村くんの仲の良さ、2人のかわいらしさ、役に対する向き合い方の誠実さが伝わってくる内容で、最近とみに腐女子(腐ゲイ?)化しているアタシは、聴きながら萌えたり笑ったり感動したり、大忙しだったわ。

そしてドラマ自体も、いろいろなテーマにきちんと向き合おうとしている感じがあって好印象。このスタンスを貫いてほしいし、わたさくカップルには最後まで幸せでいてほしいわ!

■第1位『anone』(日本テレビ系、水曜22時)

このところ、『それでも、生きてゆく』『最高の離婚』『カルテット』などの名作を連発し、アタシの心を鷲掴みにしまくっている坂元裕二さん。その坂元さんが脚本を手掛け、日テレ水曜22時枠で、田中裕子出演って……。やはり名作の『Mother』『Woman』と同じじゃない! というわけで、情報公開されたときから、放送開始日を待ちわびていた、このドラマ。やはり期待に違わぬ面白さ、味わい深さだったわ!

主人公は、幼い頃に両親から見捨てられ、施設に預けられた、広瀬すず演じる辻沢ハリカ。前半ではハリカと、それぞれに事情と孤独感を抱える大人たち(田中裕子、小林聡美、阿部サダヲ)が一緒に暮らし、少しずつ笑顔を取り戻していく過程が描かれていたんだけど、ただのほのぼのヒューマンドラマではなく、そこに偽札製造やら誘拐やら物騒な要素がからんできて、話がどこに向かっていくのかまったく読めないの。

もちろん「坂元節」とも言うべき、考えさせられるセリフ、心に沁みるセリフも盛りだくさん。後半は、瑛太演じる何やら怪しげな男が、物語を激しく搔き回しそうだし、ワクワクしかないわ!

今回ご紹介した3本はいずれも、1人でも多くの人に観てほしい作品。「放送を観逃した!」という方、今はTVerなど便利なサービスもあるので、ぜひあきらめずにチェックしてちょうだい!

(文・エスムラルダ)

PICK UP