スヌーピーの生みの親・シュルツが『ピーナッツ』に込めたメッセージとは?

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様々な大きな出来事にスポットを当て、残された映像や決定的瞬間を捉えた写真を最新ヴァーチャルで立体的に再構成、事件の“アナザーストーリー”に迫るマルチアングルドキュメンタリー『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』(NHK BSプレミアム、毎週火曜21:00~)。5月15日の放送は、「スヌーピー最後のメッセージ ~連載50年 作者の秘めた思い~」と題して、スヌーピーの生みの親、チャールズ・M・シュルツにスポットをあてる。

2000年2月13日、50年もの間、一度も休むことなく続けられてきたアメリカの魂とも言うべき4コママンガ『ピーナッツ』が連載を終了した。そのタイトルは知らなくても、主人公のチャーリー・ブラウンが飼っているユーモラスなビーグル犬、スヌーピーと言えばピンとくるのでは? 世界中の人を魅了し、日本でもたくさんのファンに長く愛され続けているこの物語は、数々の名言が散りばめられた、終わりなきストーリー。登場人物はみんな満たされない思いを抱えながら、前を向いて生きていく。この物語はいかにして生まれ、何をもたらし、そして終わったのか?

生涯をかけてこの連載を描いたシュルツは、最終回が印刷された2月12日、連載終了を見届けるかのようにこの世を去った。彼が息を引き取った翌日(13日)が、最後の作品・17897作目の掲載日に……。

「なぜシュルツは、負けてばかりのチャーリー・ブラウンを主人公にしたのか?」「なぜ登場人物は皆、片思いをするのか?」こうした疑問がシュルツの作品には見え隠れする。

その理由のひとつ、シュルツの人生最大の挫折は、『ピーナッツ』の連載が決まった時に起きた。連載決定を機に当時好きだった赤毛の女性、ドナ・ジョンソンにプロポーズするが、断られたのだ。その経験は『ピーナッツ』で共通する「実らない片思い」の話につながる。連載開始から11年目にチャーリー・ブラウンの片思いの相手として登場する赤毛の女の子。この"赤毛の女の子"の姿は決して描かれなかったが、シュルツは一度だけシルエット姿の姿を描いている。その意味をドナに伝えていた。「誰もが、自分の叶わなかった恋の相手を思い浮かべられるように」と……。これはシュルツが負っていた心の傷に漫画を通して向き合っていた証拠でもある。

番組では、子どもの頃に読んだ『ピーナッツ』に魅了され、いつかシュルツのスタジオで働くという夢を叶えた女性、ペイジ・ブラドックや、33年も付き合った友人ディーン、シュルツと晩年を共にした妻のジーンら、生前のシュルツを知る人々らの証言を交えながら、知られざるアナザーストーリーを紹介する。

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