男性が「女性」になれる時間を提供「女装メーク師」の仕事に密着

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U-29世代の「人生の選択」を描く密着ドキュメント番組『人生デザインU-29』(Eテレ、毎週火曜23:00)。3月13日の放送は、大阪難波でメークアップアーティストとして活動する井上今里さん(28歳)に密着する。

井上さんの元にやってくる客は「女性に変身したい」という願望を持つ男性たち。井上さんは、彼らにメークアップを施し、ロングヘアのウィッグやワンピースなどの衣装を提供。最後に写真を撮影する。女性になりきった時間が終わると、男性たちはメークを落とし、着替えて、帰っていく。住所は完全非公開。誰にも知られずに、女性になれる時間を提供するのが彼女の仕事だ。お客は、普段は会社員など、一般的な男性がほとんど。2年前にオープンしてから、依頼は後を立たないという。

井上さん自身がメークを始めたのは小学3年生のとき。母の化粧道具を借りて、一重まぶたを二重にすることから始めた。メークは「不細工な自分」を隠すためのツールであって、別にメークが好きなわけではなかったが、得意だったこともあり、手に職をつけようとメークの専門学校へ。しかし結局熱意を持てず、卒業後はイラストレーターや介護の仕事など職を転々とした。メークが好きになったのは、友人に女装メークを頼まれたのがきっかけ。女性は「もっと美しくなりたい」「コンプレックスをかくしたい」のが目的のメークだが、男性メークはちがった。なにか、自分を縛り付けているものから解放してくれるもの。幸せなひと時を与えてくれるものだと知った。

番組では、「女装メーク」に生きがいを見つけた井上さんの人生デザインと共に、女装体験をしにやってくる男性たちの思いをドキュメントする。

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