倉科カナ「命のきらめき詰まってる」震災孤児役で主演『あったまるユートピア』

公開: 更新:

倉科カナが主演するドラマ『兵庫発地域ドラマ あったまるユートピア』が、1月24日(水)22時からBSプレミアムにて放送される。これに先駆け、17日、渋谷の同局にて試写会が行われ、倉科をはじめ、共演の堀春菜アヤカ・ウィルソン渡部豪太と主題歌を担当した前野健太らが出席した。

本作は、志賀直哉が「城の崎にて」を執筆した兵庫県豊岡市にある城崎温泉を舞台に描く地域ドラマ。神戸から豊岡に移り住み鞄職人を目指す女性(鷹宮伊織:倉科)と、城崎温泉にある旅館の一人娘で東京に出て演劇を始めることを夢見る高校1年生(城殿蓮:堀)。城崎国際アートセンターに滞在中のアーティストの妻(ララ:ウィルソン)。世の中に生きづらさを感じる3人の女性たちが、豊岡で出逢い「自分の居場所」を探し求める物語。

倉科は、「本当に不思議な作品ができあがりました。“当たり前なものは実は当たり前ではなくて、だからこそ大切に”というメッセージをダイレクトにお伝えするというより、(ドラマで描かれるのは)重い現実と突然の幻想です。でも、命のきらめきというか、日々のきらめきがたくさん詰まっているので、この作品を見てなにか残ればうれしいなと思います」とあいさつ。

堀は、「作品を見たことで終わりではなくて、見終わったあとにもずっとそっと近くにいてくれる作品だなと感じています。私は神奈川県出身で、私が城崎温泉の一人娘を演じても大丈夫なのだろうかと思ったのですが、地元の高校生とお話していたら自然と蓮になっていたような気がしました」とにっこり。

またウィルソンは、「ララはベルギー育ちの外国人なのですが、城崎の人々に出会って少しずつ心の内からひもといてもらうような感覚で自分の居場所ってどこなんだろうというのを考える女の子です。すごいメッセージ性が強くて見終わったあとに1人1人、見た人が感じるものっていうのは違うんじゃないかなと思うような作品になっていると思います」と。

蓮の恋人で城崎の魚屋・勝岡遊人を演じた渡部は、「これから地方がどんどん力をつけていくと思うのですが、一度都市に目が向いてしまった現代社会で我々がもっと自然の雄大さとか豊かさとかに気づくような時代になっていくと思います。そのきっかけになるような、城崎の温泉からわき出る湯気のような不思議な作品になったと思います」とアピールした。

そしてシンガーソングライターの前野は、「最初にその脚本を見せていただいて、魚や牛の命をもらって自分たちが生きるということが当たり前になっているけど、魚や牛からしたらどんな気持ちでその命を差し出しているのかという問いがありました。そもそも命を差し出しているっていう感覚すらないのではないか。答えがなくて自分もわからないので、どうしてっていう問いで答えていくように曲を作りました」と語った。

阪神・淡路大震災から23年となるこの日、制作統括の京田光広シニア・ディレクター(NHK神戸放送局) は、「倉科さんに震災遺児の役をお願いして土地に根づいた震災の記憶にも向き合い、うまく相まっていい作品になることを目指しました」と、明かした。美しい城崎の町並みはもちろん、志賀直哉の「生と死」の文学をモチーフに描かれる3人の女性の物語に注目だ。

PICK UP