犬将軍・綱吉、実は弱者を守ろうとした庶民派将軍だった

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6月2日放送の『歴史秘話ヒストリア』(NHK総合、毎週金曜20:00)は、「将軍様と10万匹の犬~徳川綱吉と大江戸動物ワンダーランド~」と題して、今からおよそ300年前に巻き起こった“大江戸ペットブーム”の真相に迫る。

この“大江戸ペットブーム”のきっかけは、「犬将軍」といわれた徳川5代将軍・綱吉がはじめた一連の政策、「生類あわれみの令」。建設したのは、東京ドーム20個分の広さの超々巨大犬小屋。年間100億円をかけて、10万匹もの犬を飼育。豪華な食事、走り放題のドッグランに、子犬専用エリアなどを完備したワンダーランドだった。さらに猫や、馬、そして鈴虫まで、ありとあらゆる動物を慈しみ、徹底的に保護。世界史上でもまれな動物天国が到来した。

「当時は犬を傷つけただけですぐに死罪!」というイメージがあるが、最近の研究では、その評価が一変。「ニッポンを住みやすくする」福祉政策の一環だったことが分かってきた。実は、この綱吉、徳川幕府始まって以来の“庶民派将軍”だったという。それは、京都の八百屋の娘として生まれた母、桂昌院の影響だった。さらに、少年時代から儒学を熱心に学んだ綱吉は、将軍就任後悪代官の交代や米の買い占め禁止、さらには捨て子の禁止や牢屋の環境改善など、弱者のための改革を行っていく。綱吉が守ろうとしたのは、動物ではなく庶民。その中で生まれた「生類あわれみの令」だったのだ。

「生きとし生けるものすべてを大事にすれば、みんなもっと優しくなれる」と考えた将軍は、動物だけではなく、庶民の生活も大々的に保護。民の負担を軽くし、捨て子や病人たちを守る、世界でも類を見ない民衆重視の政策を断行。しかし、やがてその改革に異議をとなえるライバルが出現する。それが「水戸黄門」こと徳川光圀。光圀と綱吉のあつれきの中、改革は思わぬ方向へ進んでいくことに……。

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