太宰治が「斜陽」においてかず子の恋と革命に象徴させた倫理とは?

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一度は読みたいと思いながら、手に取ることができない古今東西の「名著」を25分×4回、つまり100分で読み解く番組『100分de名著』(毎週水曜 22時 NHK Eテレ)。MCに伊集院光、武内陶子アナウンサーを迎えて送る。9月は太宰治の代表作「斜陽」をピックアップ。

「斜陽」は、1947年出版当時「斜陽族」という言葉を生み出すほど爆発的なブームを巻き起こした小説で、敗戦直後の混乱の中で没落しゆく貴族階級の人々の心情や人間模様を、情感豊かに描きだした作品だ。番組では、作家・高橋源一郎を講師に迎え、「斜陽」を新しい視点から捉えなおし、時代に対する痛烈な批判、既存の価値観にとらわれない新しい生き方など、現代に通じるメッセージを読み解く。 23日の第4回には第153回芥川賞を受賞したばかりの又吉直樹が登場する。

9月9日の第2回は「かず子の“革命”」がテーマ。かず子は、母の死をきっかけに、「恋と革命」に生きることを目指して冒険を始める。その果てに、「古い道徳とどこまでも争い、太陽のように生きる」と宣言して、不義の子を産み一人で育てていくことを決意するのだった。最初は、常識も生活力もまるでなかったかず子は、大地を踏みしめるような暮らしを通して、誰かのいいなりになるだけの「人形」から「人間」へと目覚め始める。その飛躍のためにかず子は、古い道徳や常識をぶち壊すような「恋」を選び取った。そのかず子の行動の意味とは何だったのか? 高橋源一郎さんは、太宰が、時代や社会に苦しめられている人たちに対して、表面的な政治革命ではなく、人間のもっとも深いところからの「革命」とはどういうことなのかを伝えようとしたのではないか、という。第2回は、既存の価値観を突き抜けたかず子の生き方を通して、太宰が「恋と革命」に象徴させた「新しい倫理」を読み解く。

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