黒島結菜「広島の事実伝えたい」戦後70年ドラマ『一番電車が走った』で初主演

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注目の若手女優、黒島結菜が主演する戦後70年ドラマ『一番電車が走った』(8月10日19時30からNHK総合で放送)の試写会が、29日に渋谷の同局にて行われ、黒島をはじめ、阿部寛清水くるみが出席した。本作は、70年前に広島でおきた鉄道社員と少女たちの実話をもとにドラマ化。

昭和20年8月9日、一台の路面電車が焦土の街・広島を走り始めた。生き残った電鉄会社の社員が原爆投下の翌日から復旧作業を始めていたのだ。「電車が動いたら広島は復活するんじゃ!」曲がったレールに槌を振り下ろし、架線を張り直す。わずか3日後の運転再開にこぎつけた。運転士は10代半ばの少女たち。人々は復興への希望を込めて、“一番電車”と呼んだ……。原爆投下によって運命を翻弄されながらも前を向いて生きた人々の姿を描く。

黒島が演じる主人公の雨田豊子は、広島電鉄家政女学校1期生。気が強く、面倒見のいい少女運転士という役どころ。作品への出演が決まった時、「戦争に関する作品にずっと関わりたいと思っていたので、10代のタイミングでその役を演じられる事にすごく感謝しています。現場では事実の物語を演じるのはすごく難しい事だと思っていたのですが、その場で感じたままにお芝居が出来るように心がけていました。戦時中の作品ですが、撮影の現場では女の子3人が川で水を掛け合うような楽しいシーンもたくさんあります。そういう15、16歳の女の子らしさが見られるシーンもあるので、戦争のつらい状況の中で、そういう日常的な場面が救いになるのかなと思いながら演じました。この作品に関われたことはとても幸せな事だと思います」と感謝の言葉を述べた。

また、広島電鉄電気課課長・松浦明孝役の阿部は、「僕が演じた松浦ですが、毎日手帳に細かくメモを残すような几帳面な人で、とても一生懸命だった人です。広島に原爆が落ち、終戦を迎えたあの日から、そのショックも顧みず、ただひたすら前を向き、少しでも広島の復興を急ごうと努力された方だと聞いています。僕はどんな思いだったんだろうかと考えながら、現場でひとつひとつ監督と確かめながら演じていました」と振り返った。

さらに、「今年は戦後70年という事もあり、いろいろな、戦争のドキュメンタリーなどをやっています。この年になってみると本当に、辛い思いもどんどん胸にささってきます。やはり若い世代に、戦争をやってはいけないという事を、伝えていかなければいけない。今回のドラマは、そういう部分でも若い人の心に深く届くはずだと僕はすごく期待しています。この作品に参加できた事をすごく喜びに思っています」と続けた。

豊子のいとこで、広島電鉄家政女学校2期生の小西幸子役の清水は、「私は実際に幸子さんに、撮影の終盤にお会いして、1時間くらい原爆が投下されたあとの事や当時の色んな事を聞く事ができました。撮影現場は、明るい雰囲気だったのですが、その時お聞きした悲しい現実をきちんと後世に伝えていかなければならないという気持ちで役に取り組みました。本当に私もこの作品に出られた事を幸せに思います」と語った。

脚本と演出を担当した岸善幸(テレビマンユニオン)は、「平和は大切です」というメッセージをこのドラマに込めた、と明かした。

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