東京五輪を縁の下から支える“壁職人”。クライミングの「ルートにメッセージを込める」

公開: 更新: テレ朝POST

テニスの現役を退いてから、“応援”することを生きがいにしている松岡修造

現在は「松岡修造の2020みんなできる宣言」と題し、2021年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けてがんばる人たちを応援している。

今回修造は、東京オリンピック新競技のスポーツクライミングに関わる人物のもとへ。

金メダル候補の楢﨑智亜(ともあ)・野口啓代(あきよ)の2人がオリンピック出場を決めている競技だが、もう1人、日本代表といえる人物がいると聞き、都内のクライミングジムを訪ねてみた。

そこでドリル片手に何やら作業をしていたのが、岡野寛さん。開口一番「僕は東京2020で、ルートセッターの1人として参加する予定になっています」と修造に語った。

ルートセッターとは、クライミングの壁にホールドと呼ばれる突起を設置する人のこと。その配置を考え、ルートを作る。オリンピックでは、世界各国からわずか7人だけが選ばれ、岡野さんはその1人なのだ。

世界最高峰の岡野さんのルート作りには、ある極意がある。

「みんな登っちゃうと競技として成績がつかないので、やっぱり“落ちどころ”みたいなところはあるんですよ。たとえば、ボルダリングだと失敗して落ちますよね。でも、選手もだんだんそのやり方がわかってくるんです。『これできるかもしれない』って選手が思って、観客もそう思って、会場がすごくいい雰囲気になるんです」(岡野さん)

極意の1つ目は難しすぎず、簡単すぎない。絶妙な難易度のルートを設定すること。岡野さんがルートを手がけた2019年の世界選手権では、日本のトップクライマー森秋彩(あい)が何度も何度も挑んで攻略し、会場が大盛り上がりとなった。

そして岡野さんの極意。2つ目は動きの美しさを追求すること

動きの美しさとは一体何なのか。岡野さんが実演のために壁に登ると、クルっと横に回転した。実は、体を回転して足をつけなければいけないよう、絶妙な位置にホールドを配置したのだ。

ルートにメッセージを込めるというか、『これおもしろい!』とか『かっこいい!』とか思いながら作っているんですよね。選手がルートを見て、これこういう風に登るとかっこいいなとか、伝わって共有できるとすごくうれしいです」(岡野さん)

ルートにメッセージを込め、選手の美しい動きを引き出す。それこそが岡野さんの2つ目の極意だった。

ルートセッターとして今年でなんと20年目。理想のルートを試行錯誤し、1年後の東京オリンピックを目指している。

修造:「岡野さんにとってルートセッターっていうのは?」
岡野:「一番の影武者じゃないですかね? 作品というか自分がデザインしたものを、選手が登ってはじめて成立するという。やっぱり選手がスターでいてほしいですよね

縁の下からクライミングを支える、岡野さんのできる宣言は「影武者として選手を輝かせ、スポーツクライミングの魅力を伝えたい」。修造は「レッツできるルート!」と岡野さんにエールを送った。

※番組情報:『TOKYO応援宣言
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系

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