小沢仁志「トイレで拳銃を突きつけられ…」危機一髪!相手が下を向いた瞬間に…

公開: 更新: テレ朝POST

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1989年に誕生した東映Vシネマで社会からはみ出したアウトローを演じて30年以上、熱狂的な支持を集め、“Vシネマの帝王”として君臨し続けている小沢仁志さん。これまでに500本以上の作品に出演し、現在も数多くのシリーズを抱え、監督、プロデューサーとしても活躍。弟の小沢和義さんも俳優、プロデューサー、映画監督として活動。

2人で『笑×演』(テレビ朝日系)に「コワモテ兄弟コンビ」として出演したこともあり、共演作も多数。小沢さんはほとんどスタントマンを使わない俳優としても知られ、骨折したことも数えきれないほどだが、実生活でもあわやという危険な目に遭っていた。

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◆骨が折れても平気だが、歯医者と腹痛はダメ?

多くのVシネマ、オリジナルビデオで主演シリーズを持つ小沢さん。3月25日(水)に38作目が発売される『日本統一』をはじめ、長寿シリーズが数多くある。

「『制覇』はキリが良いから20本で終わろうって(笑)。『日本統一』は今、42作まで撮影している。これまでで一番長いシリーズが(竹内)力の『ミナミの帝王』で60作だから、多分、あれを超えたら止めるんじゃないかな。

でもさ、頭(かしら)だとか組長とかになると面白くない。戦いの現場に行けないし、会議ばっかりでグジュグジュ、『どこどこの組がどうだこうだなんて、どうでもいいよ、俺』って」

-やっぱり暴れたいですか?-

「うん。だから暴れさせてくれないんだったら、遊ばせてくれないんだったら、もう降ろしてくれって言ったの。

女が出てきて口説くシーンなんていうのは、あれ全部アドリブだから。あの楽しさがあるから、俺にとって『日本統一』はバランスが取れてるの(笑)。

『制覇』ではそれができなくなっちゃったからさ。若いときは殺していたけど、どんどんどんどん偉くなってさ。掛け合いがたまにあるくらいで、もう本当に面白くない。

だから最後の回では『最後なんだから別にいいじゃねえか』って言って暴れまくった(笑)」

-アクションシーンもかなりハードで、これまでに40回以上も骨折したそうですね-

「俺が思いついて俺がやってることじゃない?ケガっていうのは俺のミスだから認めないし、病院に行ったことないよ、現場で。

現場で俺が『これやろうぜ』って言っているわけだからさ。走っている車に崖の上から飛び降りてっていうやつもやったけど、『SCORE』のときには、デカいトラックだったから荷台も広くてまあまあ何とかなったんだけど、この間撮影したときは普通の車だったから、『屋根ちっちぇなあ』って感じで(笑)。

屋根に『エイヤー』って飛んだら、端っこに当たって崖にガーンってぶつかって、そのときに『やったな、足』って。

靴が脱げないくらい腫れ上がっていたから骨折じゃないかって言われたんだけど、そのあとアクションシーンもあるし、『いやいや骨折じゃない、多分捻挫(ねんざ)ぐらいだから大丈夫』って言って。

病院でのアクションだったからラッキーだったんだけど、下に回るやつが付いている丸い椅子に膝を曲げて足をくくりつけて、カメラマンに『膝から下を撮るなよ』って言って撮影した。

それで立ち回りをやって、グルグル回っても、俺は車輪の音を鳴らさないからね。動くときは、椅子を持ち上げて移動しているから」

-椅子にくくりつけて撮影したときは骨折だったのですか?-

「うん。折れていたけど撮影があるから、基本腫れが大きくならないように、ものすごくきつく包帯を巻いて、家でも氷のなかに足をぶち込んでおいて冷やして撮影は予定通りにやった」

-痛みがかなりあったのでは?-

「全然平気。慣れている。ダメなのは歯の痛みとお腹(なか)の痛み。『これ、やべえ。漏れるかもしれねえ』というのは、ちょっと耐えられない。この2つだけ」

※『日本統一』
横浜出身の不良青年・氷室蓮司(本宮泰風)と田村悠人(山口祥行)が日本最大の任侠団体「侠和会」の盃を受け、日本極道界統一を目指し奮闘する姿を描くオリジナルビデオシリーズ。小沢さんは、氷室と田村をみとめた2人目のやくざで命の恩人でもある「侠和会」の幹部・川谷雄一役。

※『制覇』
関西最大の組織“難波組”の二次団体“新見組”が、やがて全国制覇に乗り出す戦いを描く。小沢さんは、本州中部の独立ヤクザがひしめき合う激戦区で事務所を構える新見組芹澤組の若頭・武田信八役で白竜さんとW主演。

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◆病院に行ったら投手生命が終わる?

-針金で腕を吊って撮影したこともあったと聞きました-

「それは肩の筋肉を切ったとき。動かないから、針金と棒を使って助監督が持って、映らないようにフレームで切って、操り人形みたいな状態で撮影したこともあった。引いて撮るときには助監督が映っちゃうから、上からピアノ線を張って腕を乗っけているだけ(笑)。

腕の筋肉を切る前は鼻も折ってるし、足も折っているけど平気。『病院に行きましょう』って言われたんだけど、『病院になんて行ったら現場が止まるんだから、病院になんか行かねえ。大体俺が今このケガをして何が終わると思う?俺の投手生命が終わる』って言ったら、みんなが『そっちかよ』って(笑)。

それでずっとロケ中、小石を投げ続けて、1カ月後には上から投げられるようになって、今でも俺120キロ出るよ」

高校時代は野球選手になって巨人に入りたいと考えたこともあったが、1年生のときに3年生とケンカして野球部を退部になった小沢さん。山口祥行さんや本宮泰風さんなど俳優陣と野球チーム「ブルドックス」を作り、試合も行っているという。

-今も野球をされているのですね-

「やってる。医者に言わせるとそれが正解なんだって。よっぽどひどい状態だったら手術しなきゃいけないけど、安静にしながら動かすことによって、筋肉が戻る。で、戻ってきたときにリハビリを兼ねてずっと動かしているから、全然大丈夫だって」

-今現在痛みは?-

「季節の変わり目と雨が降りそうなときにはうずくからわかる。前にPET検査を受けたんだけど、頭の上から足の裏まで全部が断面のように写るから、骨とかがんとかわかるじゃない?

それを見て医者が、『いやあ、あっちこっちよく折ってるね』って言ってた(笑)。骨折したところはやっぱり太いんだよ。だから、折れて太くなったところがあると、今度は別のところが折れたりするんだよね。

骨折もだけど、両足首の靭帯(じんたい)は伸び切っているから、ほんのちょっとの段差でも、ガクンてくじくのよ。靭帯が伸びているから。あれは痛いんだよね」

-それは戻らないんですか?-

「靭帯は手術をしないと戻らない。膝ももう半月板が壊れているんだけど、再生手術をすると走れなくなるからね。今だったらサポーターをすれば走れるから手術はしない。

でも、そんなもんじゃない?だってもう38年間こんなことをやってるんだもん。よくもっているほうだよ、このからだ。暴れるだけじゃなくてスタントもやるじゃん。ほんとに危ないとか、俺は関係ないから。

たとえば崖から飛び降りるときに、崖にカメラがいて、俺が振り向いて、『行くぞ』ってダイブするところを撮るんだったら俺はやるけど、遠目から引いて誰だかわからないようだったらイヤじゃん(笑)。

俺がちゃんとやっているということがわかるんだったら、危ないことでもオッケーなのよ。やる。見ている人が『おー』ってなるじゃない。

だけど、ちっちゃくて誰だかわからないようなシーンだったらイヤ。それではケガしたくないもん(笑)」

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◆フィリピンで拳銃を突き付けられ、あわや…

2007年に公開された俳優歴25周年記念作品『太陽が弾ける日』は全編フィリピンロケ。フィリピンには撮影だけでなく、プライベートでも訪れることが多いという。

-フィリピンでの撮影が多いですね-

「うん。だってフィリピンは本物の爆薬を町に仕掛けてOKだからね」

-でもフィリピンでは何度も危険な目にもあったとか-

「ほんともう何度も危ない目に遭っているよ。でも、用心していればいいだけの話。

危ない目に遭ったっていうけれども、不注意で巻き込まれているのもあるわけじゃない?『日本語をしゃべるやつには気を付けろ』って注意したのに調子こいてさらわれたりとかさ。

最初はみんなびびって警戒するんだけど、長くいると『意外に大丈夫じゃん』って油断したときに落とし穴がある。そこでホールドアップを食らうか、さらわれたりするのよ。

役者が誘拐されて頭に銃を突きつけられて、こっちはセキュリティがショットガンを持って取り返しに行ったこともあった。『40万寄越せ』って言われたのを4万円で取り返したけどね。

取り返した後、その2人には『お前らの命は1人2万円だ。ばかやろう。人の言うことを聞かねえで。ギャラから2万円引くからな』って(笑)」

-すんなり2人を返してもらえたのですか?-

「すんなりではないけどな。無傷では返してもらった。そのとき俺はフィリピンの将軍と仲良かったからね。『海賊仁義』(2005年)という映画のときも、戦車と一個小隊50人が演習中のそばでロケをやっていたから協力してもらって、俺は一個小隊と戦車と戦っていたんだから。

演習中のやつらが『これ、実弾抜いたほうがいいよな?』なんて言うから『あたりめえだろ。抜いてくれよ、全部』って言って。そうじゃないと入っているのが実弾だからさ。

日本だと撮影で使うのはモデルガンだから、『今、出た、音?』みたいな感じだけど、俺らがフィリピンの撮影で使っているのは実銃で、弾が空砲なだけだからね。

40度の暑いなかフィリピンで撃ちまくってると、ガバメントが熱で曲がっちゃうしね。火薬量が多いのと暑さで。でも、やっぱり迫力が違うからね。

戦車のシーンは空砲なんて作ってないから、戦車の砲撃シーンは俺ら実弾でやったからね。『ちゃんと狙ってやってくれよ』って。俺が立っているすぐ近くに撃つわけだからさ。『大丈夫か?あいつほんとにうまいんだろうな』って(笑)。

実際には狙っている場所よりちょっと手前だったけど、戦車の砲撃はすごいね。爆風で吹っ飛んだから」

-危ないですね。小沢さんはフィリピンには結構頻繁に撮影でも行かれているので、向こうの方もご存知でしょうね-

「うん。向こうの新聞の取材を受けたこともあるからね」

-それでも殺されかけたことがあったと聞きました-

「それはもうかなり前のことだし、撮影じゃなくてプライベートで行っていたときなんだよね。

トイレで用をたしていたら銃を突きつけて来て、『こっちを向け』っていうから両手を上げて振り向いたわけ。でも、用をたしている最中だから、相手のビーサンに小便がかかっちゃってさ、相手が下を向いた瞬間に銃を取り上げて解体した。

銃がガバメントだったからね。ガバメントとベレッタだったら、俺は目隠しの状態でも組み立て7秒、解体5秒。ジャッキー・チェンが映画でよくやっているじゃない?銃を取り上げてネジを外してばらすやつ。あれができるからさ。

銃を扱うシーンが多いから海外の特殊部隊と一緒に訓練したことも何度かあって、銃の扱いには慣れているんだよ」

-オリジナルビデオは一時、下火になったこともあったといいますが、また人気がすごいですね-

「ずいぶん前ね、下火になったのは。盛り返したのはやっぱり配信じゃない?

『日本統一』は、まさかここまで化けるとは思ってなかったんだよね。やっぱり(本宮)泰風とヤマ(山口祥行)を、次世代のスターを作らないとVシネ、オリジナルビデオ、俺たちの武器がないじゃんって。

若い奴がどんどんメジャーにならないといけないからって、(哀川)翔さんとか白竜さんとかを口説いて、俺たちのギャラを下げて、オールスターであいつらを支えようって始まったんだよね。

で、20作ぐらいいったときに『もう20本だしなあ』って言ったら、泰風が『ぜひやらせてくれ』って言って。

『泰風がそんなに言うなら、あと10本ぐらいやってみるか』って言っている間に、配信が入ってきて、配信に乗っかったときに、ビデオショップにいけない若いやつが気楽に見られるようになって広がったんだよね」

バラエティー番組に出演するのは、Vシネマとオリジナルビデオの布教活動だと笑顔で話す。次回後編では渡瀬恒彦さんとの思い出、ディズニーランド愛についても紹介。(津島令子)


※『日本統一38』シリーズ最新作(3月25日リリース)
販売:オールインエンタテインメント
出演:本宮泰風、山口祥行、北代高士武田幸三、小沢仁志ほか


※『日本極道戦争 第五章』シリーズ最新作(2月25日リリース)
販売:オールインエンタテインメント
出演:小沢仁志、阿部亮平赤井英和螢雪次朗、小沢和義、成瀬正孝ほか

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