厳粛な場でも“我慢”できない!ギャグ漫画『女子無駄』作者は敏感すぎる “面白レーダー”の持ち主だった

公開: 更新: テレ朝POST

2月14日(金)に第4話が放送される金曜ナイトドラマ『女子高生の無駄づかい』(以下『女子無駄』)。

毎回放送中にはツイッターでトレンド入りし、回を重ねるごとに視聴率も奇跡の上昇を続けていくなど、見るたびにクセになっていく“スルメドラマ”として、冬ドラマの中でも大きな話題を呼んでいる。

そんな本作は、個性派ぞろいの女子高生=JKたちが、女子高生活をただただ無駄に浪費する日常を描いた同名漫画が原作だ。

2019年には同名アニメも放送された大人気作品は、どんな風に生み出されたのか。原作者・ビーノ氏に創作の裏話を聞いた。

©テレビ朝日 顔出しNGのため、鹿のお面をかぶってインタビューに答えたビーノ氏。

◆キャラは自分のいろんな部分の分身

「バカ」「ヲタ」「ロボ」という特徴的な呼び名のJKたちが、男子ゼロの“女子高”という独特の空間のなかで、青春を浪費していくシュールで残念な毎日を描いた『女子無駄』。

本作の魅力は、なんといっても個性的すぎるキャラクターたちだ。ビーノ氏はこれらのキャラクターをまずあだ名から作り、その後に見た目や性格を肉付けして作り上げたと言う。

「それぞれの特徴を記号化したようなキャラを作り、それぞれで絡ませたら面白いんじゃないかというところから始まりました」

©テレビ朝日 ドラマ版の主要キャラ。左からロボ(中村ゆりか)、ヲタ(恒松祐里)、バカ(岡田結実

あだ名も性格も強烈なキャラクターたち。そのルーツ探るために学生時代について話を聞いてみたら、意外な答えが返ってきた。

「あんまり自分というものがなかったかもしれないですね。根っこにオタク気質はあったんですけれど、そこらへんはバレないようにしていました」

学生時代は、友達の影響を受けてファッションやスタイルをコロコロ変える“どこにも入りきれてない系女子”だったと言う。しかし、「いろんな人に影響を受けたから、いろんなキャラクターを思いついたのかもしれない」とも。

ガッツリ当てはまる友達がいるわけじゃないですが、友達の“変”な部分を少しずつかいつまんで持ってきてはいます

個性的ながらどこか「いるいる」とうなずいてしまう理由は、こんなところにあった。さらにビーノ氏は、友達だけではなく自身も「キャラクターに投影されている」と告白。

「やっていることはヲタが近いんですけれど、根っこはバカとかヤマイのほうが近いのかもしれないですね。だけどロリのコンプレックスもけっこうあります。童顔で舐められがちで、子ども扱いされることも多かったので。あと、『女の子かわいい』というリリィの気持ちもすごくわかる」

◆「ギャグ漫画を描いているとは思っていなかった」

こうして生まれた『女子無駄』の個性的なキャラクターたち。彼女たちから繰り出される“ギャグ”は、爆笑と言うより「プッ」と噴き出してしまう“ジワるおもしろさ”が特徴。どこか癖になるシュールな世界観も相まって、本作の大きな魅力となっている。そんな笑いはどんな風に作られているのか。

「笑わせようというつもりはなく、ほんわか楽しいコメディーだと思っていたらギャグ漫画だと言われて、『私、ギャグ漫画家なんだ』と気付きました」

少女漫画家志望で、デビュー当時は真面目な恋愛漫画を描いていたビーノ氏。『女子無駄』を描き始めた当初も「ギャグ漫画を描いているとは思っていなかった」と振り返る。

しかし、笑わせるつもりはないのになぜか笑われる。真面目なシーンを描いても「この“間”がシュールで面白い」と笑われ、さすがに自身の作品がギャグ漫画であることに気付いたそう。

©テレビ朝日

私、厳粛だったり、みんなが泣いたりしているような場でも、笑いを我慢できなくてこみ上げてきちゃうんです。笑っちゃいけないと思うと“笑ってしまう”んです

シリアスな場面でもついつい面白いものを見つけてしまい、常日頃笑いをこらえるのに苦労しているという、自身の“癖”を笑いながら明かしたビーノ氏。そしてそんな体験から気付いたことがあると言う。

「笑いってそういうところにあるのかなと。緊迫した空気感とかシリアスな場面とか、温度差があればあるほど笑いにつながる。みんなが『女子無駄』に求めている笑いは、そういうちょっと不謹慎なんだけど『クスっ』ときちゃうものなのかなと思いました」

◆「いい話は制限している」

『女子無駄』の魅力はやはり“笑い”。

しかし、そんな笑い満載の作品の中で、時々ほっこりする“いい話”があるのも『女子無駄』の特徴だ。

©テレビ朝日

コミックス3巻に収録されている「せいちょう」というエピソードもそのひとつ。ヲタが昔描いた漫画を読んで初心を取り戻すという話なのだが、基本ギャグでふざけているだけに、いい話がより際立つ印象を受ける。それは狙いなのかと聞いてみると…。

私は放っておくと、“いい話”を描いちゃうんですよ。だけど『あんまりいい話は求められてないから、面白い方がいい』と主人たちに止められているんです

ファンからは「ほっこりする話がたまにあるからいいよね」と言われることも多いそうだが、ビーノ氏は「やっぱり『女子無駄』は面白いものを求められているんだろうな」と実感を込めて読者の心理を分析。

「“いい話描きたい病”みたいなのがあるんですけど、何話かに1回とかに制限してます(笑)」と複雑な心境をのぞかせた。

番組情報:『女子高生の無駄づかい』第4
2020年2月14日(金)深夜11:15〜0:15、テレビ朝日系24局(※一部地域を除く)

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