仲野太賀、“ゆとりモンスター”の怪演で話題に!街中で「ムカつく」と言われても…快感!

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2006年、13歳のときに芸能界入りし、映画『バッテリー』をはじめ、数多くのドラマ、映画、舞台に出演し若手実力派俳優として注目を集めている仲野太賀さん。デビューして以来、“太賀”の芸名で活動していたが、実はずっと名字が欲しかったのだとか。

かねてから演技力には定評があったが、ドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)の“ゆとりモンスター”役、『今日から俺は!!』(日本テレビ系)での好演で認知度もアップ。映画も昨年は5本、今年は4本公開されるなど引っ張りだこに。そして今年6月、俳優として生きていく決意の表れとして太賀から仲野太賀への改名を決断したという仲野太賀さんにインタビュー。

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◆俳優になろうと思ったきっかけは…

-俳優になろうと考えたのはいつ頃からですか?-

「小学生のときだったと思います。家族でテレビドラマや映画を見るのが好きだったので、その影響もあって小学校5,6年生のときだったと思うんですよ。テレビで『WATER BOYS』(フジテレビ系)を見て山田孝之さんに憧れて。あの頃のドラマがすごく好きだったんですよね。それと同時で映画も自然に好きになりました」

-お父様(中野英雄)の影響は?-

「その当時はなかったと思います。でも、父が俳優なので、芸能界の方が近かったですね。父の周りにもそういう人たちが多かった。母が父のマネジャーをしていたので、中学1年の終わりか中2の初めぐらいに、母に相談して、オーディションを受けさせてもらってというのが始まりでした」

-初めての仕事は何だったのですか-

「一回目のオーディションで受かったのが、熊切和嘉監督の『フリージア』という映画、それが初めてのお芝居でした。セリフは一言でしたが、当時のことは今も鮮明に記憶に残っています。

3回目に受けたオーディションが『バッテリー』という映画で、それに受かって。主役の林遣都君が山田(孝之)さんが所属するスターダストプロモーションだったので、『入れてください』ってお願いをして、面接を受けて入れてもらいました」

-山田孝之さんに憧れて俳優にというお話はされたんですか?-

「そのとき、スターダストに好きな俳優さんがいっぱいいたんです。もちろん孝之さんもそうですし、竹内結子さんとか、あこがれている人がいっぱいいたので、この事務所がいいと思って。

今もそうですけど、新しい俳優に寛容というか、受け入れ態勢がすごくある事務所なので、『じゃあ試しにやってみれば?』という感じだったと思います」

-2008年には映画『那須少年記』に初主演されます。主演が決まったときはいかがでした?-

「10代のうちに自分の主演作というのは、素直にうれしかったです。毎日のようにひたすらオーディションを受けるなかで受かった作品に出してもらったという感じでしたけど、やっぱりやれるときにやっておきたかったという思いもあったので、これはチャンスだと思ってやりました」

-プレッシャーはなかったですか?-

「まだ中学生だったし、プレッシャーというよりかは、ワクワクの方が、喜びの方が大きかったかなという感じがします。主演作ができるのが自分の想定より早かったので、このタイミングで選んでもらえて本当にありがたいなぁと思いました」

-次の主演映画『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』(2016年)まで8年、シリアスからコメディーまで実にさまざまな役を演じています-

「主演であれば何でもいいわけでもないですし。僕はその頃まだ中学生でしたから、とにかくいろんな現場に行っていろんな人と出会って…ということの方が重要だったので、あまり番手は気にしていなかったです」

※仲野太賀プロフィル
1993年2月7日生まれ。東京都出身。2006年、ドラマ『新宿の母物語』(フジテレビ系)でデビュー。映画『バッテリー』、映画『桐島、部活やめるってよ』、映画『淵に立つ』、ドラマ『ゆとりですがなにか』、『1942年のプレイボール』(NHK)、『今日から俺は!!』、『いだてん』(NHK)、舞台『シダの群れ 純情巡礼編』など、映画、ドラマ、舞台、CMに多数出演。

2020年も2月7日(金)に公開される主演映画『静かな雨』(元乃木坂46の衛藤美彩さんとW主演)をはじめ、多くの映画、ドラマが控え、若手実力派俳優として確固たるポジションを確立している。

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◆舞台演劇との衝撃の出会い

-ご自身のなかで意識が変わった時期はいつ頃ですか?-

「仕事を始めてわりとすぐに映画俳優になりたいという思いが凄く強かったんです。映画が大好きで。

でも、こればかりは巡り合わせなので、そう簡単に立て続けに映画に出られるわけでもない。そのなかで18歳ぐらいのときに劇作家の岩松了さんの『シダの群れ』という舞台を見に行ったんですけど、衝撃だったというか…。

演劇を見て『こんな世界があるんだ』っていうような、扉が開けた瞬間があったんですよね。

自分が思っている理想としている映画たるものと、演劇というものは全く違うものだと思っていたのですが、実はすごく近いかもしれないと思って、演劇というものにすごい興味がわいたんですよ。

それで、そのときにもらったチラシの中に『岩松了ワークショップオーディション』というのがあったので、事務所の人に初めてそのチラシを持っていって、『これを受けさせて欲しい』って言って受けに行きました。

それでワークショップオーディションに受かって岩松さんの舞台に出演することになったんですけど、岩松さんとの出会いというのはすごく大きかったですね。自分のこだわりみたいなものが広がったし、世界が広がった感じがして。すごくすてきな出会いだったなと思います」

初めて岩松了さんの舞台に出演したのは2011年に上演された『国民傘-避けえぬ戦争をめぐる3つの物語-』。以降『シダの群れ 純情巡礼編』(2012年)、『二度目の夏』(2019年)など多くの演出作品に出演。映画、ドラマでも話題を集めるようになっていく。

2012年には映画『桐島、部活やめるってよ』に風助役で出演。この作品は主演の神木隆之介さんをはじめ、東出昌大さん、落合モトキさん、浅香航大さん、鈴木伸之さん、松岡茉優さん、橋本愛さん、山本美月さん、大後寿々花さんなど、若手注目俳優陣が多数出演していることも話題を集めた。太賀さんは桐島の代理としてバレー部でレギュラー入りするが、実力差に苛立ち、自らを追い込んでいく小泉風助役で出演している。

「原作を読んだときに『絶対にやりたい』と思った役でした。僕自身は風助を弱い奴だとは思っていなくて、深いところでの強さや希望を捨てない部分など共感するものがあって…。

オーディションのときはめちゃめちゃテンションがあがっていたので何も覚えていないんですけど、『風助をやらせてください』と言ったみたいです(笑)。

あの作品は高校生たちの雰囲気を出すために撮影を合宿で行ったりしていたので、友情や絆も生まれました。すてきな出会いがたくさんあって、本当に心から携われて良かったと思える作品です」

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◆“ゆとりモンスター”の怪演で「ムカつく」と言われ快感

2016年、太賀さんは宮藤官九郎さんが脚本担当のドラマ『ゆとりですがなにか』に山岸ひろむ役で出演。岡田将生さん演じる29歳の食品会社営業マン坂間正和を振り回す後輩モンスター社員ぶりが話題に。

-モンスターぶりが強烈でした-

「僕は宮藤さんの作品が大好きで、出させていただくのは『あまちゃん』(NHK)に続き2度目なんですけど、『木更津キャッツアイ』や『マンハッタンラブストーリー』はDVDボックスも買って持っています。宮藤さんの書く山岸という役が本当に面白くて魅力的で、『ゆとりですがなにか』に参加できたのは、本当に自分のなかで大きかったですね」

-かなり反響があったのではないですか-

「自分の人生のなかで、このドラマがいちばん初めに日の目を浴びた瞬間だったので、うれしかったです。街を歩いていても、『ゆとりですがなにか』の話をしている声が聞こえてきたりして。『山岸ムカつくね』って言っているのが聞こえてくるんですよ(笑)。今までそういう経験がなかったので、すごいうれしかったです」

-「山岸ムカつく」と言われてどうでした?-

「役者冥利に尽きるというか。やるべきことをやれたのかなっていう感じがしました(笑)。

友だちからは会うたびに『お前嫌いだ』って言われましたけどね(笑)。でも、ここまでの悪役を演じることはあまりなかったので、演じていて面白かったです」

-同じ事務所の岡田将生さんが主演でした-

「岡田君とは僕が中学生のときに学園ドラマで共演していて、そのあとも何度も共演していたので、すごく良くしていただきました」

-ここまで嫌な役を演じて接するということはなかったのでは?-

「確かに。顔を見るたびに怪訝な感じは出されました(笑)」

-ご自身でテレビを見ていかがでした?-

「脚本もすごく面白かったんですけれども、出来上がったドラマもあれだけ素敵なキャストがいて、水田さんの演出もあってすごく面白かったなって思いました。興奮しましたね。とてもうれしかったです」

山岸役は評判になり、スピンオフドラマ『山岸ですがなにか』も製作された。次回後編では1泊3日の弾丸「カンヌ国際映画祭」、主演映画『静かな雨』の撮影裏話を紹介。(津島令子)

ヘアメイク:榎本愛子
スタイリスト:石井大

(C)2019「静かな雨」製作委員会 / 宮下奈都・文藝春秋

※映画『静かな雨』
2020年2月7日(金)より全国順次公開
配給 キグー
監督:中川龍太郎 出演:仲野太賀 衛藤美彩 古舘寛治 川瀬陽太 河瀬直美 萩原聖人 村上淳 でんでん

大学で生物考古学研究助手をしている行助(仲野太賀)は、たい焼き屋をひとりで営むこよみ(衛藤美彩)と出会い、少しずつ親しくなっていく。しかし、こよみが交通事故で1日経つと事故以降の記憶が消えてしまう後遺症を負い…。

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