紀平梨花、“4回転の申し子”トゥルソワと対決へ。勝利のカギは「SP」<カナダ大会展望>

公開: 更新: テレ朝POST

GPシリーズ開幕戦の「アメリカ大会」女子シングルでは、ジュニアから上がったばかりのアンナ・シェルバコワ(ロシア)が、FSで2本の4回転ルッツを完璧に決めて、SP4位からの逆転優勝を果たした。

現地時間の10月25日(金)からカナダ・ケロウナで行われる第2戦「カナダ大会」。

注目は、4回転時代の申し子ともいえる「世界ジュニア」連覇を果たしたアレクサンドラ・トゥルソワ(ロシア)と、シニアデビューの昨季、「GPファイナル」を制した紀平梨花の対決だ。

◆男子トップ選手並みの構成に挑戦したトゥルソワ

シェルバコワと同じく今季がシニアデビューのトゥルソワは、「チャレンジャーシリーズ」でいきなり世界を驚愕させるような結果を出してきた。

©テレビ朝日

9月に行われた「ネペラ・メモリアル」SPでは、後半の3回転ルッツ+3回転ループを武器に、安定した滑りで74・91点を獲得して首位発進。

FSでは、4回転ルッツと2本の4回転トーループをきれいに決め、後半の連続ジャンプでは僅かなミスがありながらも歴代世界最高の163・78点を獲得。合計でも昨季のアリーナ・ザギトワ(ロシア)の記録を抜く238・69点の歴代最高記録を出した。

それだけにとどまらず、10月5日(土)のFSだけで競われた「ジャパンオープン」では、サルコウも入れて3種類4本の4回転を入れる男子トップ選手並みの構成にも挑戦し、ノーミスの演技を披露したザギトワを6点強上回った。

ただ、「ジャパンオープン」では後半にミスが重なったことを考えれば、「カナダ大会」ではネペラ・メモリアルと同じ4回転3本の構成で来るだろう。ライバルとなる選手も多く、緊張感のより高まる試合でどこまで自分の力を出し切れるかが注目ポイントだ。

◆紀平、勝利のカギは“SP”

そんなトゥルソワに対し、紀平も、シーズン初戦の「オータムクラシック」では、僅かなミスをしながらも224・16点を獲得と順調な滑り出しをしている。

©テレビ朝日

フリーの4回転サルコウはまだ間に合わないかもしれないが、力的にはトリプルアクセルを3本入れたSP、FSともにノーミスの完璧な滑りをすれば、合計で240点を超える可能性も持っているだけに十分に対抗できる。

そのポイントとなるのは、トリプルアクセルを入れていてトゥルソワより高い技術構成で臨めるSPで、どれだけ点差を開けるかだ。紀平自身、「昨季はSPをノーミスでやらなければいけない重要さを痛感した」と話している。

「オータムクラシック」SPでは「思い通りのジャンプが出来た」と、冒頭のトリプルアクセルで3・03点のGOE(出来栄え点)を獲得。大会1週間前に左足首をひねった影響で、ルッツから変えた最後の3回転ループは少し低いジャンプとなり、GOEはもらえなかったが、3回転ルッツをしっかり跳べれば、80点超えは余裕を持ってできるはずだ。

速い動きのプログラムをさらに滑り込めていれば、自身が持つ83・97点の歴代最高得点もうかがえるだろう。SPでトゥルソワにどれだけプレッシャーをかけられるかが、大きなカギになりそうだ。

また、「オータムクラシック」では紀平に次ぐ217・43点で2位だったエフゲニア・メドヴェージェワ(ロシア)は、FS序盤の回転不足もあって得点を伸ばせなかったが、プログラムをしっかり作り込んでくるはずで、警戒しなければいけない存在だ。

写真:アフロ

「アメリカ大会」では216・14点で2位になっていたブレディ・テネル(アメリカ)も、連戦になるが、フリーではミスをしていただけにもう少し得点を伸ばしてくる可能性も高い。<文/折山淑美>

※番組情報:『フィギュアスケートGPシリーズ2019「第2戦・カナダ大会」』
10月26日(土)よる6:56~「男女ショート」 テレビ朝日系列にて放送/AbemaTVにて配信
10月27日(日)よる9:00~「男女フリー」 テレビ朝日系列にて放送/AbemaTVにて配信

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