森保一監督×中山雅史が語る“新生サッカー日本代表”。久保建英は「よく見えている」

公開: 更新: テレ朝POST

今年2019年9月に開幕した「サッカー カタールW杯アジア2次予選」。2022年に開催されるカタールW杯の出場権をかけて、40チームが熱い戦いを繰り広げている。

グループFの日本(FIFAランキング31位)は、キルギス(同97位)、タジキスタン(同115位)、ミャンマー(同145位)、モンゴル(同183位)とホーム・アウェーで戦い、最終予選進出を目指す。

9月にアウェーで行われた初戦は、ミャンマーに勝利。今日10月10日(木)はモンゴル戦、15日(火)にはタジキスタン戦と、負けられない戦いが続く。

その連戦の日本代表メンバーが発表された10月3日(木)、代表を率いる森保一監督と中山雅史が対談。

9月のミャンマー戦を振り返るとともに、出場選手への期待、今後の展望について語った。

©テレビ朝日

◆ミャンマー戦のプランは「思うようにいかなかった」

中山:日本代表の監督として初めて迎えるW杯の2次予選でしたが、率直にどうでしたか?

森保:やはりW杯の予選は独特の雰囲気はありましたけど、選手たちが落ち着いていたので、自分も落ち着くことができました。

中山:選手たちも、初めてW杯予選を戦うメンバーもいたと思うのですが、その様子を見ても頼もしさを感じましたか?

森保:はい。まずは経験のあるベテランの選手たちが、色んな想定外のことが起こって緊張感が高まってくるなかで、練習の時にはいい緊張感を持ちながら、ピッチ外ではリラックスできるようなすごくメリハリのきいた雰囲気作りをしてくれて。監督もそこに乗っかっていました(笑)

中山:チームとしては良い具合に若い世代、ベテラン世代と上手く融合できているということですかね。

森保:そうですね。中山さんのおっしゃる通り、W杯予選に初めて出場する選手もいるなかで、経験のあるベテランの選手たちが本当に自然体で日々のトレーニングに臨めるような、そして試合に向かっていけるような雰囲気作りをしてくれていますね。

あとは、最近の若い選手は色んな経験をしていますし、物怖じしないので、頼もしく見させてもらっています。

中山:ただ環境面では、スコールであったり、あのグラウンドであったり、ミャンマー戦は“想定外”のことが多かったように感じました。

森保:そうですね。ただ想定外のことも想定内だと思って、それを乗り越えていこうと言っています。選手は日本の恵まれた環境からミャンマーに行って、(グラウンド状態など)劣悪な環境に身を置いたときにも、すごく落ち着いて準備してくれました。

ただ監督としては、まともに練習もできないですし、選手たちのモチベーションもすごく心配していました。選手たちが怪我をするかもしれないグラウンド状態だったので。選手たちは、すごく集中して乗り切ってくれました。

中山:では試合のプランとしては、自分の思っていたようにはいかなかった、ということですか?

森保:はい。全くいかなかったです。

中山:全くいかないなかで、試合自体はいい流れだったように感じました。開始早々に先制できましたし、その後に追加点も取りました。欲を言えば3点目でトドメをさしてほしいというのはありましたが…。

森保:おっしゃる通りです。

中山:ただ、立ち上がりは非常にいい状態で入っていったなというのが見受けられました。

森保:そうですね。先制点が割と早い時間に取れたので、より落ち着いてプレーすることはできたと思います。

ただ、全てが本当に良かったわけではなくて、最後3点目4点目を取って試合を決めることができなかったのは、これからの課題というか、修正しなければいけないところだなと思います。

ミャンマー戦の後半は、少し相手に流れが行きそうなチャンスが出てきて。そこで選手たちが上手く対処できていなければ、恐らくもっと相手にチャンスを作られてピンチの場面が増えていたのかなと思いますが、しっかりとリスク管理して、バランスを保ちながら集中力を持続して戦ってくれたので、今後も続けていってほしいなと思います。

久保建英は「よく見えている」

中山:これからモンゴル・タジキスタン戦と2試合続きますが、大迫(勇也)がいないということに対しては、どう感じていますか?

森保:大迫がいないのは、チームとしても痛い部分はありますけど、これまでの代表活動のなかでも大迫がいないときに試合はしてきていますし、アジアカップでも大迫が怪我でプレーできない時に勝ち抜いて決勝まで上がったという経験もあります。

大迫がいれば大迫の良さを出していきますが、違う選手が入ってくればその選手の良さを活かしていくということも、チームのコンセプトの大枠の中で考えていきたいです。

中山:今回、鎌田(大地)選手がFWで登録されていますが、フランクフルトでは中盤の選手ですよね。FWで入れた意図は何でしょうか?

森保:本人が一番活きるところは中盤の攻撃的なポジションかなという風に思っていますが、これまでの彼のプレーを見ていると、トップ下でありながら、もうトップみたいな動きもしていました。

3月のキリンチャレンジカップの際にもトップとしてプレーしていますので、ある程度計算ができるというのもあってFWで登録はさせてもらっています。

ただ、試合の流れ等々を考えて、FWで使うのか2列目で使うのかというのは考えていきたいと思います。

中山:後は、浅野(拓磨)選手がまた召集されました。これはやはり最初からというよりも、ここぞという時ですか?

森保:最初からも使えるとは思いますけど、“ジョーカー”としてもすごく力を発揮する選手なので、そこは両方考えていきたいと思います。

中山:多分ぎらぎらしてくると思いますよ。自分の経験からすると、本人は多分先発から行きたいと胸の中で考えていると思いますし、それが監督に通じるかですよね。

森保:いつも伝わってきます。浅野だけじゃなく他の選手も「使ってくれ」というのがこの時期はすごいですね。目を合わせないようにしています(笑)

中山:でもいいですね。そういうぎらぎらした感じが、チームをより熱くする、鼓舞することにも繋がっていますよね。

森保:おっしゃる通りです。ぎらぎらしたところを本当に見たいと思っていますし、日本代表に集まってくる選手は自分が1番だと考えていて当然だと思っているので。

ただ、代表として集まってきてくれる時には、自分のプレーももちろんアピールしますけど、チームの中の1人としてプレーしてくれるので、すごく嬉しいなと思います。

中山:久保(建英)選手は、どう評価していますか?

写真提供:アフロ

森保:一言でいうと、「うまい」ですね。

中山:うまいですよね!本当にうまいし、よく見ていますよね。

森保:いま言おうと思ったこと…

中山:あー、すいません(笑)僕が言っちゃだめなんです。お願いします。どうですか?

森保:よく見えていると思います(笑)試合中に自分が動いて相手を動かすこともできますし、相手が動いているのを見て自分がプレーすることも両方できるので。パスも使えれば、局面の突破もできる。

中山:いろんな選択を持っていて、それを実現させるところにボールを置けているっていうのも見受けられていて、そう考えるとやはり末恐ろしいなと思うのですが…。日本代表の中で核になる選手として見ていますか?

森保:その可能性はあると思います。一緒に練習している選手は、そういうところを感じているのではないでしょうか。

ただ、いろんなアクシデントがありますし、相手にも研究されてきて難しい局面は絶対に訪れると思うので、そういうところでどう乗り越えていくかを楽しみに見ていきたいです。

中山:大事に大事に、というところですか? それよりも、もっと厳しくいきますか?

森保:もちろん厳しいことを要求していきたいと思いますけど、大事にはしていきたいと思いますね。

体ができあがってないなかでJリーグや海外でもプレーしていて、日本の宝ともいえる選手だと思いますので、大事にするところは大事にして成長につなげていけるように、我々もサポートしていきたいと思います。

◆モンゴルは「簡単に押し切れるような相手ではない」

中山:次の対戦相手は、モンゴルです。相当引いて荒いプレーをしてくるチームと聞いていますが、対策は考えていますか?

森保:まずは、相手がどういう戦いをしてきても、我々もアグレッシブに勝利を目指して戦うということはやっていきたいと思います。

ただ、簡単に押し切れるような相手ではないと思いますので、パワーゲームだけに頼らず、相手のことを揺さぶって守備を突破する、そして得点するということも選手たちには賢くやってもらえるようにしたいです。

中山:タジキスタン戦はアウェーですが、ミャンマー戦もアウェーで過酷な状況のなかでの戦いでした。今回もそういう状況が予想されますが、現地の様子は情報として得られていますか?

森保:そうですね。(チームスタッフが)現地に行ってくれて、現地の環境等々は情報として入っています。

中山:極端な話、勝てばいいんですよね。それがスムーズなプロセスなら一番いいけれども、そうじゃなくて、武骨で泥臭くても勝ち切る力っていうのが必要だと思うので、それを代表として見せてくれれば、僕は満足です。

森保:そこがベースだと思っています。

中山:期待しています。

森保:先輩たちがやってきたことはちゃんと継承して…

中山:ポイチがやってきたことでいいから(笑)ポイチなんて言っちゃって、やばいな、俺(笑)森保監督がやってきたこと…。

森保:全然いいです、ポイチでいきましょう(笑)広めてください!そしたら、僕も肩の荷がおりて、プレッシャーが少しなくなるので。

 

※番組情報:サッカー FIFAワールドカップ カタール2022 アジア2次予選 日本代表×モンゴル代表
今夜10月10日(木)よる7時~ テレビ朝日系列にて生中継 ※一部地域を除く

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