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1983年、映画『家族ゲーム』(森田芳光監督)で主人公の悩める高校生を演じ、日本アカデミー賞優秀新人賞を受賞した宮川一朗太さん。

テレビ、映画と順調に出演を続けるが、大人の男への転換期である20代後半ぐらいから徐々に仕事が減り始め、苦戦を強いられるようになったという。

私生活では24歳のときに結婚。2女に恵まれるが、子どもたちが中学生のときに離婚。以来、シングルファーザーとして男手ひとつで2女を育て、3年間PTA会長もつとめることに。

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◆仕事ゼロ、借金、子どもの学資保険に手をつけたことも…

1991年から2006年まで『ドリーム競馬』(FNS西日本ブロックネット番組)の総合キャスターをつとめるなど競馬好きとしても知られている宮川さん。

仕事が激減しても競馬にのめりこみすぎたことや、妻に内緒で2003年の2冠馬・ネオユニヴァースの一口馬主になったことなどがきっかけとなって離婚。

宮川さんは2女を育てながら悪戦苦闘する日々のなか、一時期は仕事がゼロになり、子どもの学資保険に手をつけたこともあったと話す。

「友だちから『学資保険を担保にお金を借りられるんだよ』って聞いて、やってみたら結構簡単に借りられるので、続いてどんどん借りていっちゃうんですよ。最初のうちは返していたんですけど、返しきれなかったです。どうしようもなくなって解約してしまいました。でも、やっぱり学資保険に手を付けちゃダメですよ。だって子どものために積み立てていたんですから」

-シングルファーザーで子育ては大変だったと思いますが-

「離婚したときは長女が14歳、下の娘は12歳だったんですけど、別居したのは娘たちがまだ小学生のときだったので、それからずっとひとりで育てていました。娘たちから離婚のことを公表しないでほしいとお願いされていたので、秘密にしていたんですけど、2人とも20歳を過ぎたので了承を得て公表しました」

-奥様がいらしたときも子育てはされていたんですか-

「やっていました。僕はどちらかと言うと父親が亭主関白だったので、そんな家庭に憧れていたんですけど、『もうそんな時代じゃない!』って元嫁に一蹴されまして…(笑)。

僕が『亭主関白でいきたい』って言ったときに、ものすごい眉間にしわを寄せて『は?』って言われましたから(笑)。すぐに『すみませんでした』って言って、カトリックの幼稚園に通う娘たちの送り迎えは、ほぼ毎日僕がやっていました」

-ドラマの撮影もあって大変だったのでは?-

「仕事のときは奥さんにお願いしていましたけど、幸いなのか不幸なのか、仕事がそんなになかった時期なので(笑)。ちょうど大人の役への転換期が難しいですよね。僕は童顔だったので、なかなか大人っぽい役というのがすぐには来なかったんです。

かと言って、学生もできないですからね。そういうこともあって育児に関わってきたんですけれども、子どものことがすごくよくわかりましたし、良い父親だったんじゃないかなっていうのはありました」

-PTAの会長もされていたとか-

「やりました。PTAの会長は別にやる気もなくなんとなく引き受けたんですけれども、不審者とか盗撮などいろんな問題があって、それをどうやって解決していこうか、どういう対策をとろうかとか、みんなで一生懸命やっていました。

個人情報の取り扱いの転換期だったので、連絡網に電話番号を載せなくなって担任の先生の連絡先ですらわからないとか、色々大変でした。でも、子どもたちのためにって思えば何でもできるんですよね。それでみんなが一緒になってまとまると大きな力になるし、子供たち全員、みんな楽しく笑顔でやっていたので、すごく楽しい3年間でした。

きっと『良いパパだったな』とか『いいPTA会長だったな』って子どもたち全員が思ってくれていたんじゃないかなという自負はちょっとありますね(笑)」

-お嬢さんたちはどのように?-

「一番うれしかったのは、下の娘が結婚するとき、婚姻届を出す前日にすごく長いラインをくれて、僕の子どもで幸せだったとか、本当にありがとうという感謝の言葉とかがすごくいっぱい書いてあったんです。それはもう泣きながら読みました。

色々と大変でしたけど、やってきて良かった、頑張ってきて良かったなぁって。下の娘が25歳のときになって初めて自分にご褒美となって跳ね返ってきたなって思いました。

『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)でも言いましたけど、『苦労は幸せの倍返しとなって戻ってくる』って(笑)」

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◆俳優としての転機、そしてバラエティー番組で注目の存在に

2013年、俳優として転機となるきっかけのドラマ『半沢直樹』(TBS系)に出演。宮川さんは、上司である銀行支店長の腰巾着で、部下たちには横暴な態度を取り威張り散らしている江島副支店長役で新境地を開拓したと話題に。

「我々は自営業ですから、自己プロデュースも考えないといけない。今自分は何を求められているのか、そして自分は何ができるのか。でも、ずっとそれでいけるわけでもないということもわかっていますから、どこかでちょっとずつ変えて、新しいものを出していく。そのタイミングをいつも考えながらやっています。

『半沢直樹』のあたりからは、ちょっと悪い男の役とか意地悪な役、ひねくれた役の路線で行こうと思っていましたしね。でも、それをずっとやっていると飽きられてしまうので、どこかでまた変えていかないといけないんですけど。

だからマネジャーとも相談しながら、『そろそろ良い役のほうにちょっと移りたいよね』とか、『途中で死なずに最後まで生き延びていたよね』みたいな話をして(笑)」

現役の東大生と芸能人チームが対決するクイズ番組『東大王』(TBS系)では“オセ朗太”として注目を集めている宮川さん。

得意のオセロと「漢字検定準1級」の能力をいかし、芸能人チームの司令塔として活躍。強すぎるオセロの腕前と難読漢字をはじめとするクイズの正解率の高さに驚かされる。

-漢字の勉強はいつ頃からされていたのですか-

「『漢字検定準1級』は2014年に取りました。前から何かしら肩書があったほうがいいかなと思っていたんです。母親が漢字検定の2級を取るために勉強していたんですけど、教本を見せてもらったら結構楽に取れるなと思ったんですよ。

でも、母親と一緒に2級っていうのもちょっと嫌じゃないですか、息子としては(笑)。やっぱりちょっと上を行きたいと思って1級を取ることにしたんですけど、教本を買ってみたら、とんでもなく難しくて、それで余計にやる気になっちゃって」

-その勉強が、今いかされてますね-

「それが、最初に出たときにあまり読めなくて、ちょっとぼう然としたんですよ。これは1級の勉強をしなきゃいけないなと思って、1級の本を買って、あとはネットを見て勉強しています。だいたい2週間に1回ぐらい収録なんですけれども、最初の1週間はちょっとからだを休めて、後半の1週間でダーッと勉強してという感じです」

-オセロは昔から得意だったそうですね-

「子どものときからオセロは好きだったんですけど、とりあえず角をとれば勝ちみたいなゲームだと思っていましたから。でも、そうではなくてすごく戦略的なんだって知ったときに、『これは逆にチャンスだな』って思って。

それまでの番組では、わりとみんな自由に読める漢字のところを選んで読んでいたんですね。それで東大王の方が断然頭がいいので勝つという感じだったんですよ。それで、これはオセロができる奴が1人現れたらとんでもなく番組的に画期的な出来事かなと思って、ものすごいオセロの勉強をして真剣にやりました。

今でもマスターしきれてないんですけど、とりあえず打ち方とか、いわゆる定石があるんですが、定石通りにやって、途中色々と変わってきますけど、基本をはずれずに打っていくと勝てるということがわかって、初めて勝ったときにはもう快感っていうか、アドレナリンと汗が同時にいっぱい出ました(笑)。汗びっしょりでしたね」

やらされていた感があった若い頃とは違い、今は勉強することが面白くてたまらないという。得意のパソコンを駆使し、国旗の一覧を作ったり、百人一首の一覧を作ったり…ドラマや映画の撮影の合間に勉強する毎日を送っている。

「自分が知らないことがこんなにあって、それをちょっとずつ覚えていけるということが面白いですね。特に絵とか、世界遺産とか、世界の都市のいろんなこととか、日本のお祭りとか…そういうのを調べていくとキリがないくらい面白くて楽しいです」

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◆倒れるときには前向きに

9月6日(金)には映画『スタートアップ・ガールズ』が公開される。

上白石萌音さんと山崎紘菜さんという旬な2人がW主演をつとめたこの作品で、宮川さんは2人がスタートアップするためには欠かせない子どものデータベースを管理している会社の所長を演じている。

宮川さんもかつて個人事務所を立ち上げて活動していたこともあるため、スタートアップの大変さはよくわかるという。

※映画『スタートアップ・ガールズ』
ITと医療で起業を目指す天才肌の大学生・小松光(上白石萌音)と、大企業に勤めている安定志向のOL・南堀希(山崎紘菜)。性格も考え方もすべてが正反対の2人が新プロジェクトのビジネスパートナーになることに。だが、自由人すぎる光に振り回されっぱなしで…。

-撮影はいかがでした?-

「僕は1日で撮り終わったんですけど、大変楽しい現場でした」

-今の時代にピッタリの若手起業家のお話ですね-

「そうですね。起業というと、ちょっと固い感じがしますけど、スタートアップと言うとすごく親しみやすい言葉ではありますよね。

もともと主演のお二人とはご一緒したいと思っていたので、とても良い機会だったんですけれども、残念ながら僕は萌音ちゃんと一緒のシーンがなかったんですよね。でも、撮影現場でお会いできたのでうれしかったです。

『すごい、髪の毛ピンクだ』ってビックリしたんですけど、『ピンクの髪だけど、一緒に写真撮っていい?』って言って、一緒に写真を撮ってもらいました(笑)」

-いつもの上白石さんとはまったく違うイメージでしたね-

「そうですね。萌音ちゃんは歌も歌っているし、本当に活動の場が幅広いので。でも、今回は多分あまりやったことがない天才肌の役で。どちらかと言うと庶民派ですけど、今回は紘菜ちゃんの役のほうが庶民派の役でしたね」

-宮川さんは2人が起業するためには絶対に必要なデータベース会社の所長役ですが、演じられていかがでした?-

「今は若い人たちがすごく起業されていますからね。僕らが若かった頃に比べてハードルが低くなっていて、起業しやすくなっているということもありますし、投資家という人たちが今はすごくいっぱいいるので、そういった投資家の人たちを集めやすいというのもあるでしょうね。うらやましいですよね。

昔は本当にクラウドファンディングとかもほとんどなかったですから。今はすごく気楽に簡単に大勢からお金を集められる良い時代になったなぁって思います。ネットを活用して発信しやすくなってますし。

だから、この映画を見ていいなぁって思ってくれる人たちがいっぱいいてくれると良いなあと思いますし、スタートアップに限らず、僕の人生もそうですけど、常に新しいものや自分をいかせる道が何かないか、とりあえずやってみようよって。

一歩踏み出す勇気というのは力がいるんですけど、自転車と一緒だって。こぎ出すときには力がいるけど、回り出すともう楽なんだよって。だから、『とりあえず一歩踏み出してみようよ』って言っているんです」

-ポジティブですね-

「それはもう。僕はもう全てポジティブです。倒れるときには前向きに(笑)。生きざまですから。とりあえず僕は休みはいらないので、全部仕事を入れてくれって言っています。これまでまとまった休みが欲しいと言ったことないし、それこそ年末年始も別に仕事があったら全然それで構わないんです。仕事が大好きなので」

とにかく仕事をして、時間があると勉強してという感じが理想だという。この日もバッグのなかにはきれいに見やすくまとめられた勉強の資料がたくさん。充実した毎日を感じさせる爽やかな笑顔が印象的。(津島令子)

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※映画『スタートアップ・ガールズ』
9月6日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
配給:プレシディオ
監督:池田千尋
出演:上白石萌音 山崎紘菜 渡辺真起子 宮川一朗太 神保悟志 山本耕史

テレ朝POST

森本智子アナウンサーには、ずっと大切に思っている仕事がある。「スミスの本棚」。2010年から2014年まで続いた「ワールドビジネスサテライト」(以下WBS)の1コーナーは、第一線で活躍する経営者、文化人、俳優、作家が珠玉の一冊を紹介する企画で、森本さんはインタビュアーとして100人以上を取材した。今も「本を開く時間が最高の贅沢」と語る読書家の森本さんに、人生に影響を与えた本や「スミスの本棚」の思い出、仕事に対する考えを聞いた。共感した中村天風の考え人生に影響を与えた本はとの質問に、森本さんがまず

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